店主の読書日記 FEB2003 タイトルリスト 作家別リスト

2003/2/27

 『聖霊狩り――天使のささやき』(瀬川貴次/集英社コバルト文庫)読了。
 毎回違う化け物が出るこの本、今回の担当化け物は天使である。
 天使も化け物になりうるんだなー、というのが今回感心したこと。織天使セラフィムが化け物となって、主人公をヒロインを襲う。
 この場合の天使は、ラファエロの宗教画に出てくるようなぷくぷくとした愛らしい顔立ちだが、頭の下に羽が6枚ついた空飛ぶ生首である。でも、宗教画のセラフィムもそんな感じだし。天使は位が高くなればなるほど、人間離れした形態になってくのが定番なのさ。ふっ。
 私はこの事実を知った時、天使に抱いていた美しい憧れが霧散しました。高位の天使はほとんど化け物図鑑っす。
 興味がある人は自分で調べてみてくださいまし。


2003/2/26

 前にTOPで、ブイトーニの冷凍パスタに凝っていると書いた。冷凍パスタなんてグータラ以外のなにものでもないが、あれからも日夜グータラ加減に磨きをかけている。
 最近のお気に入りは、ベーコン・ビッツ。
 旅行に行って、バイキングの食事の時に赤い細かい物体をサラダのそばで見たことはありませんか? それが、ベーコンをカリカリにして砕いたもの。
 アメリカ人はなんでもトッピングするのが大好きだ。
 オニオンフライやら、無数のトッピングのバリエーションを持っている。
 私が先日買ったのもアメリカからの輸入食品。これまたアメリカらしく、主原料はベーコンではなく大豆だった。大豆でニセベーコンを作って、ベーコンのフレーバーをつけてあるのだ。本当にアメリカ人はローファットが大好きである。
 しかし、これが、ただ葉っぱちぎっただけのものを確実に「サラダ」に変えてくれる優れもの。
 ほうれん草を買って洗ってザクザク切って、ベーコン・ビッツを振りかけて、ノンオイル・ドレッシングをかけるだけでサラダの出来あがり。
 その間、5分。

 今度はパンにモッツアレラチーズを乗せた上に散らしてみようっと♪


2003/2/25

 遅ればせで『テニスの王子様』(許斐剛/集英社ジャンプコミックス)17巻ゲット。やっぱり週刊誌連載って、コミックス刊行が早いねえ。
 今回は、いよいよ、青学と並ぶ関東もうひとつの雄、氷帝の跡部が登場。
 私は久しぶりにマンガを読んでクラクラしました。
 だって、サーブを打ってひとこと、

 俺様の美技に酔いな

 ですぜーっ。わーはっは!
 こいつ、バカだー(笑)。
 一応、全日本クラスの実力者という設定なのだが、読み終わって本を置いて、彼が中学生ということにまたクラクラっと……。


2003/2/24

 『海洋堂クロニクル』(あさのまさひこ/太田出版 )読了。
 面白かった。海洋堂という、名前は知られているが社員50人程度の会社をフューチャーした1冊で、こういう本も珍しい。
 ビジネス書で1社を取り上げる本はある。でも、この本はビジネス書ではない。
 内容は、興味のある人だけ読めばいいと思うのでここでは書かない。

 この本を読んで私が一番考えたことというのは「オタクとして生きていくこと」だった。
 俗にいうオタク文化だけに関わっている人だけが「オタクという生き様」ではないのではないか? もしかして、すべてのモノ作りに関わる人間は作り手の立場に入った時から「オタクとして生きていく」ことを選択してしまったのではないのか?
 そんな風なことを考えてしまったのだ。
 海洋堂がこれだけメジャーになったのは、チョコエッグという大ヒット商品抜きいは語れない。しかし、チョコエッグ以降も快進撃を続けているのは、たぶん、この「オタクという生き様」を選択した人達の集団であることをやめていないからなのではないかと思う。
 だいたいのモノを作る日本人が、こだわりや愛着やプライドや、そんなものをなくしてしまって、オタクという分野にはそれが色濃く残っているせいかもしれない。
 だいたい、今や貿易摩擦を起こさずに輸出できるのは、皮肉なことに(オタクを嫌うひとからとってね)ゲームにしろアニメにしろオタク文化だものね。
 私はオタク礼賛でもオタク卑下でもないのだけれど、「オタクという生き様」を選択してしまったら、ちょっと気合入れていかなきゃなあ、と、思った1冊。


2003/2/23

「読んでみたい」
と、タイトルをあげたら、
「持ってるよ」
というので、
じくモン氏に借りて読んだ『「連続殺人犯」の心理分析』(ジェイソン・モス、ジェフリー・コトラー/講談社)。
 猟奇殺人つながりのようで、なんとなく嬉しいんだか不気味なんだかは迷うところである。

 作者のジェイソン・モスは大学生。共著のコトラーが担当教授。と、書くとタイトルからして卒論に毛が生えたようなものに見えるが、ちょっと違う。
 これはジェイソンくんのグルーピー日記である。それとも、ジェイソンの文通日記か?
 普通の文通マニアと違うのは、相手が名だたる連続殺人犯だったこと。ジョン・ウェイン・ゲーシー、チャールズ・マンソン、ジェフリー・ダーマー……。
 彼がすごいところは、お返事が来やすいように、相手の嗜好にあわせたお手紙を書くところだ。
 例えば、ジョン・ウェイン・ゲーシーは男性ばかり30人以上を殺害したことで有名な殺人犯。ジェイソンは同性愛嗜好があり、近親相姦にも興味がある(ジェイソンには弟がいる)少年を装う。
 マンソンはカルト集団の長だから忠実なシモベを装い、別の殺人犯相手には悪魔崇拝を標榜したりする。

 本人は連続殺人犯の心理研究といっているが、ちょっとイっちゃってる研究レポートだと思う。それだけに、読んでいて疲れてくるのだ。
 連続殺人者のまわりにむらがるグルーピーは、本人が犯罪をおかしてなくても、やっぱりどこかイっちゃってるのかもしれない。


2003/2/22

 あの人に会えるかもしれない。
 土曜日の近所のオフィスビル。この日、この時間帯は「あの人」に会えるかもしれなくてワクワクしてしまう。
 初めて会ったのは、たぶん2ヶ月くらい前だったと思う。
 ウクレレからの帰り道、いつもの通りを通ったら、目黒川に近いオフィスビルの入り口にあの人がいたのだ。初対面の私にびっくりするほど気安く挨拶してくれて、それからその場所を通る時は会えるかもしれないという期待だけで嬉しくなってしまう。
 先週の土曜日は会えなかった。
 今週は会えるだろうか。
 ……いた!
 今日は少し勇気を出して自分から近寄ってみた。挨拶からはじめてほんの少したった時、50代くらいのスポーツ・ウェアのご夫婦連れが通りかかった。
「あ、いたいた。こんにちわ〜」
 二人でこちらに近づいてくる。
 私は「あの人」との二人の時間が邪魔されたことを少し残念に思いつつも、色んな人に人気者なことがわかって少し誇らしい。

 ……ということで、近所で自ら「お手」をしてくれるラブラドールに会えるというお話でした。


2003/2/21

 『ココ・シャネルの向日葵』(夏季真矢/中央公論社)読了。夏季真矢の複雑系ミステリ3部作の2作目。
 話は1作目の『
贋作工房』から続いているが、一話完結しているので、ここから読んでも大丈夫。
 絵画、ニューヨーク、パリ、陰謀と愛と犯罪と、私の好みの素材が散りばめられているのに、そんなに熱中できないのはなぜだろう。
 たぶん、強烈な視覚化をもたらさないせいだろうと思う。
 絵をテーマにした小説や評論を読むと、どうにかすると現実の絵よりも魅力的に脳内変換してしまう。有名な画家の絵なんて直接触れるらわけもないのに、手触りさえ感じるほど、五感すべてを刺激するような文章が多いのだ。
 評論家などは出来不出来がわかる目だけ神様に与えられて、その目を使って描く才能は与えられていない人々だ。そういう人達の文章は、まるでアイドルを語る10代の少女のような熱っぽささえあったりする。
 ドラマチックを見せながら、そこいらの根っこなるところが妙に冷めているのがこの書き手。もしかしたら、あんまり絵が好きな人ではないのかもしれない。
 でも、食べ物に関するところはちょっといいぞ。

「僕、ほんとは夕梨の玉子焼きおにぎりが一番好きなんだけどな。ほら、あのジュンジュンに熱くしたゴマ油で作ったトロトロのスクランブル・エッグに、めちゃくちゃ美味しい生醤油をジョワッと垂らして、一気に握っちゃうやつ。ゴマ油と海苔の風味が混じって、あつあつのご飯をぱくっとすると、トロリ玉子が出てくるんだ」

なんてセリフは、ちょっとウットリしちゃったもんね。

 今回のお話は贋作と偽札がらみ。
 偽札の製作課程で、
「そんなのじゃ自動販売機も騙せないぜっ!」
と思うのは『奪取』後の弊害か?(笑)


2003/2/20

 さて、台湾の中国時報という新聞の時報文学賞2002年推薦賞を取った作家で夏曼・藍波安(しゃーまん・らぽんあん)という人がいる。日本語訳されたものはないので、どういう作品を書くかちっともしらないが、googleなんかだと結構ヒットするので有名なのかもしれない。
 中国語のページでは「原住民作家」と肩書きがついている。日本語の「原住民」とはちょっと意味が違うのかもしれないけれど、台湾の先住民族・ダウ族の人だそうだ。
 で。
 文学論とか読書日記ではなく、今回はこのダウ族の風習について。
 ダウ族の人は、その人生で何回か名前を変えるそうだ。もっとも新しい世代の長子が生まれた時にその長子を中心とした名前に変更する。
 だから、この人の名前の藍波安という部分は息子の名前なのだそうだ。
 夏曼は「〜の父」。
 ここまで読んで、何か思い出しませんか?
 そう、私はバカボンのパパはダウ族出身だという仮説を立ててみました。いずれ、学会に発表したいと思います。(←ウソ)


2003/2/19

 鉄仮面の子供向けリライト版に味をしめ、『三銃士』も読んでみました。
 『痛快世界の冒険文学21/三銃士』(藤本ひとみ/講談社)。
 えーと……三銃士ってこういう話だったっけ?(笑)
 何しろ、私が読んだのが講談社文庫版『ダルタニャン物語』全11巻の1巻のみ。(「友を選ばば三銃士」) 読んだのが高校時代なので、細部なんかほとんど忘れてしまっている。
 リライトした作者が作者だけに、妙に華やかで宝塚を見てるようなんだけど……。
 東逸子さんのイラストもすごい。繊細で美しい画風は前々からファンだったが、こうしてみると美少年剣士の新聞小説にキャーキャーいってる気になってくる。
 いやもう、ダルタニャンなんてお馬鹿さんの猪なのに、顔は天使のよう(笑)。アラミスがまた美形で……ああ、世の中には三銃士で妄想している腐女子もいるんだろうなあ……。(遠い目)
 しかし、この本のミレディはいい。
 天使のような美貌に邪悪な心を持った悪女。もう、徹底的に悪女。やっぱり、痛快時代劇には、こういう根性の入った悪党が必要だーね。

 鉄仮面のひみつ2、更新。


2003/2/18

 『お葬式』(瀬川ことび/角川ホラー文庫)読了。
 前に読書日記を読んだ
さんから、「同じ作者が続いてたりマニアックだね〜」といわれたのだが……その通りっ!
 そうさ、マニアックさ。だって、この作家、別PNだけど瀬川貴次と同一人物だもん。
 同じ名義で現在5冊本を出している。瀬川貴次はライトノベルで、瀬川ことびは一般向けで行くのかな?
 ホラー短編集だが基本はお笑いなので、恐いものがキライな方にもオススメ。
 特に『12月のゾンビ』は、私、ホラーで初めて吹き出して笑いましたよ。


2003/2/17

三銃士  さて、どうせなら三銃士の映画も見てやれ、と、思ってビデオを借りてみた。なじみ深いリチャード・レスター版(日曜洋画劇場で3回は見た)に手が伸びるところをぐっとがまんして、クリス・オドネル版『三銃士』を。
 クリス・オドネルはダルタニアンの無鉄砲さとか若々しさ出てていいと思う。思うが、アラミスがチャーリー・シーンか〜。ホットショット。(←別の映画です)
 どうも私のアラミス像からするとムチムチしすぎている感じ。(そこがチャーリー・シーンの魅力のだけどさ)
 宿敵ロシュフォールがダルタニアンの父の敵になっていたり、王妃アンヌ・ドートリッシュがオーストリア王女になっていたりと大胆なアレンジが見られる。いいのだろうか?
 まあ、いいか。内容はチャンバラ活劇だしね。
 デュマの原作だって剣戟あり、恋愛ありの痛快時代劇だから、ある意味とっても正しい姿でしょう。


2003/2/16

 ちょっと週中に仕事でイヤなことがあったので、お涼さまを読んでみました。『クレオパトラの葬送―薬師寺涼子の怪奇事件簿』(田中芳樹/講談社ノベルス)。
 美貌で賢くて、でも、その美点をすべてひっくり返すくらい性格の悪いスーパー公務員。世間的な評価がどうあれ、しがないサラリーマンでいる限り私はこのシリーズが大好きだ!(笑)
 今回の舞台は香港に向かう豪華客船。
 私はてっきり、この豪華客船クレオパトラ8世号があとかたもなくタイタニック(真っ二つに折れて沈没の意)だと思ったのだが、沈みも壊れもせず生き残った。
 かわりに色々ボロボロなわけだけど……何となく、だんだん破壊に鈍感になってしまって、都庁のひとつやふたつ跡形もなくなっても驚かなくなってるあたりコワイ。破壊はエスカレートするって、こういうことね。


2003/2/15

パネルクイズ アタック25  引き続き在東京のtalkさんに、帰っちゃう前にお目にかかる。
 日記で児玉清について書いたのを読んで下さっていて(ありがとうございます)、児玉清萌えにはたまらないゲーム『パネルクイズ アタック25』を教えてもらった。
 『パネルクイズ アタック25』といえば、25年も続いている長寿番組。日曜の午後という微妙な時間帯ながら、常に10%以上の視聴率を維持しているというではないか。『美女か野獣』で、鷹宮さんが「視聴率12%を超えました」で大騒ぎだったのに、すごいぞ。さすがは桜木恭一郎。(←番組違い)
 ゲームとしての『パネルクイズ アタック25』はPS2向け。
 入力した自分のプロフィールを児玉清が読み上げてくれたり、取ったパネルにコメントをつけてくれたり、ファンにはたまらない構成となっている。……らしい。

(よし、○番を取るぞ)
児玉清: 「○番に赤が入る!」
児玉清: 「うーん、そう来ましたか」
(こ、児玉清的には、ここのパネルはお気に召さない……?)
という、ハラハラドキドキが楽しめるのだ。

 私がなんでこんな詳細に見たこともないゲームを語れるかというと、talkさんが臨場感たっぷりに再現してくれたから。
 しかも、ひとり『シャーロック・ホームズの冒険』(声の出演:露口茂、長門裕之)まで見せてもらって、こんな面白いもの私だけで見てていいのかと思いました。
 ありがとうございます、talkさん。


2003/2/14

 ぎっくりちゃんのおかげで何をしても痛いリオハです、こんにちは。
 腰はほったらかすとヤバイと脅されたので、午前中休んで医者にいった。そういえば、ここ半年くらい右肩もずーっと痛かったので、ついでにレントゲンを撮ってもらう。
 結果。
 腰は骨に異常もなく、椎間板にも異常はなく、筋肉の痛みと診断。ヨカッタ。
「で、右肩なんですけど」
先生はレントゲンを取り出して指差す。
「ここんとこ、石灰化してますね」
 え?
 石灰化というとキシリトールが働きかける初期虫歯……ではなく?
 どうもレントゲン技師の人が「痛いでしょう? かわいそうに〜」と言っていたはずだわ。でも、腰に比べれば右肩なんてへへんのへんって程度だったのになあ。たまに急激に動かすと感覚がなくなるくらいで。

 そんなわけで、しばらく筋弛緩剤を飲むことになりました。
 やっぱり体がどこか痛くなったら、そそくさと病院に行ったほうがいいですよ、みなさん。


2003/2/13

 昼に軽いぎっくり腰になったせいで、部の新年会に不参加となりました。おかげで、というか、そのせいで見れたドラマが「美女か野獣」。
 実は、時間があれば見たい番組なのよ。最近、、八嶋さんがお気に入りだから♪ (同じ理由でココリコミラクルタイプもチェックしているわたくし)
 本日の回はなかなかよかったです。
 児玉清演じるアナウンサーは、たぶん、オヤジスキーのツボをつくはず。全日本のオヤジスキー達、松嶋菜々子と福山雅治が出てるからといって、チェックを怠ってはいけません。


2003/2/12

 なぜ『仮面の男』のロケにヴォー・ル・ヴィコントが使われているか知っているかというと、
Roadshow別冊のムックを買ったからなのだった。
 銃士の制服の資料代わりに買ってもいいや〜、と、思ったらディカプリオのアップばっかり。インタビューもディカプリオだけなので、ものすごく不満だ。マルコヴィッチとかジェレミー・アイアンズとかドパルデューのインタビューなんて、きっとものすごく、ああ、ものすごくっ!……面白いはずなのに。  でも、どっちかというとレオナルド・ディカプリオ写真集の目的で出てるので無理ないか。
 いや、でも、全国の100万人オヤジスキーを考えた作りをしてくれても、って、思うのは私だけですかそうですか。


2003/2/11

 最近、どーも読書スピードが失速ぎみ。昨日の『裸のフェニックス』なんて読み始めたが1月初旬だから、1ヶ月もだらだら読んでいたことになる。
 いかんなあ、ということで、本じゃなくてマンガの方で消化することにしました。『ブルボンの封印』(藤本ひとみ原作、森川久美/講談社漫画文庫 )。
 鉄仮面で検索するとこの作品が必ずひっかかるのだ。
 最後まで読んでみたら、結局は恋愛ロマン。あんまり調査の役には立たなかったわん。(←マンガで調査しようという態度にも問題あり)

 でも、このマンガでわかったのは、ヴォー・ル・ヴィコント城がニコラ・フーケのものだったこと。
 ヴォー・ル・ヴィコントといえば、ディカプリオの『仮面の男』でベルサイユ宮殿として使われていた建物ではありませんか!
 世界史にウトい私、ヴォー・ル・ヴィコントは『仮面の男』を見るまで知らなかったのだけれど、どうも、この城がフーケ転落のキッカケだったらしいのね。フーケは横領罪で逮捕され、そのまま釈放されることなく獄死。
 それというのも、ヴォー・ル・ヴィコントのあまりの壮麗さに「王よりいい城に住むとは!」とルイ14世が怒ったというのだ。悔しがったルイ14世が「いいもんね、もっといい城作っちゃうもんね」と作ったのがベルサイユ。そのヴォー・ル・ヴィコントをベルサイユとして撮影するなんて、ああ、歴史って皮肉!
 ルイが『仮面の男』のDVDなんか見たら憤死するかもしれない。


2003/2/10

漂う提督  『漂う提督』というミステリを読んだことのある方はいらっしゃるだろうか?
 作者は、G・K・チェスタトン、アガサ・クリスティー、ドロシー・L・セイヤーズ、F・W・クロフツ……と、そうそうたる巨匠たち。そう、これはリレー・ミステリという珍しい本だったのだ。
 参加する作家は、自分の担当分に加えてその時点での解答編も一緒に提出しなければいけない。内容はともかく(うん、ともかくだなあ)、その解答編が結構おもしろかった記憶がある。

 同じような企画で最近出たのが『裸のフェニックス』(ヴィレッジ・ブックス)。現代女流ミステリ作家が13人、リレー形式で書き繋いでいく。
 舞台は高級会員制スパリゾート。
 ……いやあ、リレー形式っていいですね(笑)。死体が5つですよ、5つ! 最近、こんなに被害者大盤振る舞いのミステリ、読んだことがない。
 これは、やっぱり、次の作家がどうにかするだろ、と、やっちゃった結果なんだろうなあ。
 でも、途中もそれほどガチャガチャしてないし(『漂う提督』は読んでいて疲れた……)、結末もある程度きれいにまとまっているんで、いいんじゃないでしょうか。こういうのは、どっちにしろ「お祭り」なわけだし。
 キャラクターのぶれはあるけど、そんなのはリレー小説ならではのスパイスさ!
 今回は、主人公の夫・ダグラスにキャラクター大賞をあげたい。書く作家によって、夫の鑑→エロオヤジ→小悪党と変遷を重ねていった末、読み終わってみたらキング・オブ・ヘタレであった。彼こそ、13人の女性作家にいいようにもてあそばれてしまった男、だろう。

『裸のフェニックス』:マーシャ・タリー編、ネヴァダ・バー、J・D・ロブ、ナンシー・ピカード、リザ・スコットライン、ペリー・オショーネシー、J・A・ジャンス、フェイ・ケラーマン、メアリ・ジェーン・クラーク、アン・ペリー、ダイアナ・ガバルドン、ヴァル・マクダーミド、ローリー・キング
/加藤 洋子、高橋恭美子、山田久美子、小林浩子、中谷ハルナ


2003/2/9

 talkさんが上京されてるので、お目にかかる。
 JRの駅で待ち合わせたtalkさんはダーリンの(真に受けないように)Zac.さんと登場。最初っからあてられそうな男二人のイチャイチャぶり。(だから、本気にしないように)
 午後1時集合で、夜11時まで語りました。
 楽しゅうございました。
 そして、なぜだかお二人のナイトライフに詳しくなりました……。ははははは……。(遠い目)

 でも、
「俺達の『もえる』は『燃える』ですから!」
には、私、感動いたしました。
 そうそう。やっぱり好きなものは「燃えるぜバーニング!」だよね。


2003/2/8

 たぶん、今年最後の鍋。
 6人に声をかけて5人が出席という、なかなか大人数(我が家にしては)となりました。人だけならもっと入れるんだけど、ひとり暮らしだから食器の絶対数が少ないんだよねえ。
 これ以上だと「とんすい」が足りません。
 用意も手伝ってもらったので、家主はラクでした。ありがとうございます。この場を借りて、心よりお礼申し上げます。


2003/2/7

 『聖霊狩り――さまよう屍』(瀬川貴次/集英社コバルト文庫)読了。
 平安時代の陰陽寮から脈々と続いてきた特殊機間、御霊部。
 祟り神を沈めるという目的があるだけに、構成メンバーはそれぞれに特殊な能力を持っている。
 今回は御霊部の籠目部長が登場。籠目部長は、サトリの化け物。人の考えていることがわかってしまう、回りの人から見るといやーな能力である。しかし、この部長にも天敵はいた。
 それは、老人相手にも勝手な煩悩を抱ける女子高生・萌だ! ある意味、サトリにとって、もっともいやーな能力を持つ人間だろう。

 サトリの化け物に会ったら、ボーイズ・ラブ。(男性のサトリだった場合)


2003/2/6

 『七人の役小角』(夢枕獏監修/桜桃書房)。
 役行者神変大菩薩1300年遠忌記念だそうで……それっていったい、何?
 坪内 逍遙、司馬遼太郎、黒岩重吾などの大作家さまの作品から、永井豪のマンガまで入ったアンソロジー。
 伝奇小説ファンにはものたりないだろうし、司馬遼好きには他の部分がつまらないだろうし、なかなか難しいもんだな、と、思った1冊。


2003/2/5

  『痛快世界の冒険文学9/鉄仮面』(さとう まきこ、フォルチュネ・デュ・ボアゴベイ/講談社)読了。
 
1/27の日記で、『仮面の男』の正体はルイ14世の双子の弟というのはありえない、と書いたら、AIさんよりBBSにツッコミが入った。
 それでもって、一応、調べてみたら、史実は割と問の余地ありなのね。
 とりあえずモトネタを知らないとイカンと思い、小説『鉄仮面』を探してみました。
 そこで、まずびっくりしたのが、『鉄仮面』の原作者はボアゴベイという人だったこと。私はデュマだとばっかり思ってましたよ。
 ボアゴベイ(1821-1891)の原作を翻訳して新聞小説として発表したのが、黒岩涙香。その人気ぶりは新聞小説の大流行をまねき、番台はからになるし(←微妙にウソ)、大変なものだった。
 黒岩涙香の小説を元に、また翻案して小説を書いたのが、江戸川乱歩。
 そして、江戸川乱歩で育った世代が、また自作で鉄仮面を扱って、日本では脈々と「鉄仮面系」とでもいうべき作品が育っていったようだ。
 ボアゴベイは、現在は本国フランスでは忘れかけられた作家らしい。日本での方が有名、って、『フランダースの犬』を思い出すエピソードだねえ。(日本人観光客があまりに来るので、日本人のためにフランダースの犬の銅像を立てたという故事)

 さて、ボアゴベイの小説は日本語で読めるが、元は新聞小説なので量が膨大。
 そこで私は考えた。
「子供用にリライトされたやつを読めばいいじゃん」。

 しかし、これが現在ではほとんど発行されていないのよ。
 私が小さい頃は少年少女名作文学全集が複数の出版社から出ていたものだが、最近は昔の名作は読まんのか?
 ……読まんのか。
 そうだよなあ。カルピス劇場が終わっちゃうくらいだもんなあ。
 今回読んだ本は、世界の名作を人気作家がリライトするもの。どっちらかというと、リライトよりは「翻案」されている。
 なにしろ、原作には「鉄仮面」は出て来ないのだ。(原作のタイトルは『サン・マール氏の2羽のつぐみ』) 主人公がかぶせられているのは、布の仮面。作者は「『鉄仮面』が出て来ない『鉄仮面』もなー」と思って悩んだそうだ。「鉄仮面」以外のタイトルでは発行しにくいし、タイトルが鉄仮面なのに肝心の鉄仮面が1ミリも出てこなかったら、全国でちゃぶ台がひっくり返されまくりだろう。
 だから、この本にはちゃんと「鉄仮面」が登場し、その正体もボアゴベイの小説とは、ちょーっと違っている(らしい)。

 もうちょっと鉄仮面に興味がある人は、別項「鉄仮面のひみつ」をどうぞ。


2003/2/4

 『奪取』読了。
 いや〜、下巻に入ってからは早かった。描写が煩雑なとこは、ざざっと読んでしまったからだろう。  著者は関連事項の取材と克明な描写に定評があるらしいのだが、あんまり詳細だと私はダレてしまう。そこがまたたまんない、っていう向きもあるので、好き嫌いなんだろうなあ。
 『カリオストロの城』みたいなスピードをこよなく愛する私としては、この本が2/3のボリュームだったら、いや、せめて3/4のボリュームだったら、大絶賛してるだろう。即、年間ベスト10入りだ。
 何も長いことを否定してるわけでなく、例えば大河ロマンならこの厚さでじっくり読むのもいい。でも、この作品は痛快コン・ゲーム小説なんだもの。ぴゅーっと熱が冷めないうちにイッキ読みしたじゃありませんか。

 しかし、それを差っ引いても上出来の部類なのは確か。
 色々、紆余曲折はあるけど、最後まで軽妙洒脱に軽く、なおかつ深くマニアックに物語は進行する。
 そして、最後にしかけられた「仕掛け」にニヤリ。
 辻ファンとしては、好きだなあ、こういうの。


2003/2/3

 『奪取』(真保裕一/講談社文庫)上巻、読了。
 BBSで竹内哲さんと旅人さん、さらには猫宮さんの「おもしろい!」という書き込みを見て、とっても読みたくなった1冊。
 さすがに人のオススメはハズレない。読み始めからぐいぐい引っ張る面白さ。
 あらすじは出版社提供のものから。

 1,260万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札造りを二人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫ったが…。
 日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した、涙と笑いの傑作長編サスペンス。

 上下巻で、上巻だけでも495Pと厚い。でも、面白いのでペロっと1冊を読んでしまう。
 特に上巻の手塚道郎編では、パソコンとプリンター(Canonだろうな)を持っていたら「やってみちゃおうかな」と試したくなるような偽札作りの風景が繰り広げられる。
 主人公は、市販の素材でまんまと銀行のATMを擦り抜ける偽札を作ってしまうのだ。(ここいらはディテールを読んでいるだけでも楽しい)
 さあ、その方法は?

 後をひきつつ、読了日記続くの巻。


2003/2/2

 昨日、スペースシャトル、コロンビアの事故があった。
 私なんか86年のチャレンジャーの事故の思い出もはっきり覚えているクチなので、それなりにショックだ。
 SF読みとしては普通に日常的に「宇宙への憧れ」に触れているわけだし、普通の本読みとしては『君についていこう』(向井真起男)で素顔のアストロノーツ達に触れた。
 真起男ちゃんは千秋ちゃんのダンナだからして、そこにいる宇宙飛行士達は皆「仲間」なのだ。明るくくったくのないアストロノーツ達。宇宙飛行士を心配しつつも応援して、誇りに思ってる家族の人達。思い出すと、知らない人なのにちょっと涙が出そうになる。

 私が小さい頃は、宇宙飛行士は夢だった。本当に夢だった。
 その当時、日本人で宇宙飛行士になれる可能性はあまりなかった。「アメリカに生まれていればなあ」と、言った子もいたと思う。
 だから、アメリカに生まれた子供が宇宙飛行士に憧れるというのは、とってもよくわかる。子供だけじゃなく、すべてのアメリカ人にとって、宇宙飛行士は今でもぴっかぴかの憧れなんじゃないだろうか。
 9.11のテロからこっち、アメリカのイヤなところがいっぱいクローズアップされた。それでも、この事故の後の調査で「有人宇宙飛行を国民の80%が支持」しているということを聞くと、やっぱり尊敬してしまう。
 開国以来、あの国はチャレンジング・スピリットの国だった。
 86年の事故の後、大統領の演説で
「今回の犠牲は悲しい出来事だが、我々はチャレンジャーであることをやめてはならない」
と、言っていたのにはまいった。やっぱり、どこかで絶対かなわないところがあるみたいな気がする。
 (向井千秋さんもいっていたけど)Noリスクの宇宙開発なんてどこにもないのだ。
 常にリスクを頭において、最高のスタッフと技術でチャレンジする。
 その姿は、やっぱり、ぴっかぴかのアストロノーツ達に変わりない。
 今回の犠牲者の方には衷心から哀悼の意を捧げます。そして、これからも遠くからこっそり宇宙開発を応援しています。


2003/2/1

シベリア超特急2  『シベリア超特急2』を見る。本当は1からちゃんと見たかったんだけど、2しか置いてなかったのよ。
 原作、脚本、監督、主演、
水野晴男
 前評判に比べると、すっごくマトモ。1941年の満州里のホテルで起こった殺人事件という推理劇で、あんまり破綻してないし、どんでん返しもちゃんとしてる。(某映画のトリックのぱくりには目をつぶる)
 脇を固める俳優も、淡島千景、草笛光子、中村福助、長門宏之と超しぶい。あぶなげない演技が安心していられる。
 が。
 そのすべてをひっくり返すのが主演のマイク水野だーーーっ!
 いや、もう、ホントに迷演技。重要なシーンなのに、聞いているだけでヘナヘナと力が抜けていくセリフ 回しは、もう、あきれるを通して愛してしまったよ。前々から『シベ超』はすごいと聞いていたが、こういうことだったのか。
 どうもそう思ったのは私だけではないらしく、1は、カルト的な人気が出て、知る人ぞ知るヒットとなった。DVDだって、 「劇場公開完全版」「特別編集版」「豪華愛蔵仕様版」と、なんと3つものバージョンが出ているのだ。すごいよ、マイク!
 しかも、シベ超3が3月に公開。
 勢いとどまることを知らず……である。



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