2003/7/16
会社が広告を出した本や、あとは業務の資料になりそうなものと、結構雑誌が回覧で回ってくることが多い。
中でも武骨な外観のくせに、読み始めると熱い気持ちになってしまうのが経済誌。
だいたい経済誌というのは成功した人(会社)へのインタビューなどが中心だから、経済誌を読むということは無数のサクセス・ストーリーを読むということ。しかも、ただラッキィで成功したわけじゃなく、苦労や挫折があったりする。ある意味、少年誌より熱い世界といってもいい気がする。
んで、今回、私が読んで目頭が熱くなったのが、そごうの課長のインタビュー。
そごうといえば私も昔バイトをしていた、ってそんなことはどうでもよくて、2000年7月に経営破綻した(実質倒産)会社。
会社更生法の手続きが今年の1月に終了したそうで、予想より2年も早い立ち直りだそうだ。
そごうの破綻は私には結構なショックで、それは近くのそごうが閉店になってしまった方にもわかってもらえると思う。近所の千葉そごうは破綻した後も、駐車場をタダにしたり、ミレニアム・カードなる会費無料の顧客カードを作ったりで、がんばってるなあ、と、思ったものだ。
課長というポストは基本的に管理職の中で一番現場のそばにいるポジション。こういう立場の人にインタビューするのは、TOPにするのとはまた少し違って面白い。
当時の店長に逆らってTVカメラを店内に入れたこと、がんばれというお客様の声援……などなど生のエピソードは読ませるのだが、ちょっと泣きそうになるのが、これ。
マスコミ対応で業界から評価されたので、ヘッドハンティングがあったでしょう、という質問だ。いくつかあったヘッド・ハンティングを断ったことについて、こう答えている。
「だって、『がんばろうよ』と部下に言い続けていた僕が逃げ出しちゃ、卑怯でしょう?」
くうう。
ドラマなんかだとありがちの、すごく当たり前のセリフだ。でも、家庭のある人が、生活を背負いながらその言葉を言えるってことはスゴイ。
そごうでは丸3年、ボーナスが出てないという。現実に立ち向かってがんばっていくのは大変だ。
そして、そういう人のアタリマエのセリフは何より響いてくる。
掲載:『日経ビジネスアソシエ』日経BP社 「重松清のニッポンの課長」