店主の読書日記 JUL2003 タイトルリスト 作家別リスト

2003/7/31

 そういえば、これも今月読んでましたわ。『ライン』(西村しのぶ/講談社ワイドKC )3巻。
 このマンガを読むと手先の器用な年下のカレシが欲しくなります(笑)。
 しかも、このマンガを読むと手芸欲がむらむらと! しかし、ミシンを買って4ヶ月以上も箱も開けやしない私がマンガの1冊ごときで手作りに没頭することもないでしょう……。(←自分を知ってる)

 そういや、昨年もミシンを買ったのだ。それなのに、なぜまた買ったかというと、ある日家に帰ったら箱ごと新品未使用のミシンがなくなってたからだ。
 泥棒……。
……が、入ったわけではなく、犯人は合鍵を持つ、うちの母だった。
「ちょっと借りたから」。
 しかし、本人に無断で車で運んでいってしまうのはいかがなものか。それから、1年半経つが一向に返却されない。
 それはともかく、先週末帰ったら
「糸、通しておいてよ。これ自動糸通しじゃなくて不便ー。やっぱり、ミシンはブラザーじゃないとダメだね」
と、理不尽な文句を言われました。

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2003/7/30

 私の部屋は3階以上なので、めったに蚊が入ることはないのだが、昨日からなぜか1匹まぎれこんでいる。
 これが非常に素早くしぶとい。
 さすが、布団が吹っ飛んだこともあるくらいの強風地帯の私の部屋に入ってくる根性のある蚊だ。足に止まっても叩くといない。近くにいるのに絶対つかまらない。
 寝ようとすると「ウィーン」という周波数の高い音を立てながら耳元に来やがる。電気をつけるとどこかに去っている。消すとまた近寄ってくる。
 妙に意地になってしまった私は、夜中3時まで蚊との根競べをしたのでした。
 結果は私の惨敗だったのだけど。

 と、いうわけで一晩で読みきってしまった『囚われて――復讐のベラドンナ』(カレン・モリーン、田村達子訳/講談社文庫)下巻。
 この小説、ほとんど漢字2文字で語れるのがポイントだった。
 美(少)女、拉致、監禁、競売、貴族、調教、緊縛、隷属、奉仕、双子、宦官、脱出、潜伏、復讐。
 単語はアレでも講談社文庫です。フランス書院文庫でなく。あんまり期待しないように。(何を?)

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2003/7/29

 そろそろヤバい、と、思ったので十二国の録画をチェック。
 なんと6/17から溜めてました。
 6/17放映分は延国主従の出会い編で、若殿時代の尚隆は思わぬカッコよさでありました。鎧を着で村上水軍(パイレーツ・オブ・セトウチアン)と戦う尚隆が意外。
 水軍って、陸のような鎧はつけないと思っていたからなあ。(水没したら上がって来れないじゃん?)
 小説を読むときは頭の中で映像化しているけど、すべてを映像化してるわけでもなかったみたいだ。
 でも、女達が「若〜♪」と船を漕ぎながら来るシーンは、クライマックスなのに笑った。
 尚隆、波乱万丈みたい。(古)

 ところで、既に公開してる、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」ですが、広告戦略でジョニー・デップの名前があまり露出されないのは不思議。オーランド・ブルームは街頭の大きなビジョンに登場したり、色々プロモーションしてるのに。
 これは、「バイオ・ハザード」で女性客確保のためにゾンビ隠しをしたように、「コレリ大佐のマンドリン」でロマンチック戦略のためにニコラス・ケイジ隠しをしたように、スカっと爽快海洋冒険ロマンのためにジョニー・デップ隠しをしたものか。


2003/7/28

 実家に帰る道のりは遠いので、みっちり本が読めるなあ(笑)。
 『囚われて――復讐のベラドンナ』(カレン・モリーン、田村達子訳/講談社文庫)上巻。

 1951年のニューヨーク。仮面とドレスの美貌の女が支配する、不思議なナイトクラブ、「クラブ・ベラドンナ」があった。彼女の目的は、「閣下」と呼ばれるイギリス人と、その仲間の貴族を探すこと。18歳の少女だった自分を拉致し、運命を狂わせたものたちに復讐するのだ。

 ……という、サスペンス系お得意の復讐ものがたりでございます。
 物語はイタリア系アメリカ人で主人公ベラドンナの友・トマシーノの語りで進む。語り口の饒舌さは、人によって好みが別れるところだろう。
 この人は、第二次世界大戦中にパルチザンとして働いている時に捕まって、男性機能を双子の兄弟ともども失わされたという過去を持つ。男性なら、「ひー」と泣きながら読んでしまうかも。詳細はここで紹介いたしませんが。ええ、ちょっとだけ引用しかけて半泣きになったので、書きませんが。
 上巻をひとことでいうと、「復讐助走編」。
 ベラドンナが心と体を癒して、いよいよ復讐をはじめるか、というところで終了。つまんなくはないけど、過去話と復讐譚がサクサク行くといいのにな、とは、ちょっと思う。
 主人公のベラドンナ(アリエル)の過去話下巻のお楽しみなのですね。
 上巻終わりのシーンは、18歳の美少女(しかも拉致してきた)の競り。競り落とす男達は「調教」とか「隷属」とか言ってるし。お楽しみとか言ってちゃマズイか。
 

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2003/7/27

 久しぶりに金曜夜に実家に帰った。土曜日は朝7時半に起床。
 休みなのに。最近、目覚し時計が壊れたので携帯のアラームで起きていたせいだ。休みなのに解除を忘れていたよ。
 ぼーっとしたまま応接間に下りて、TVをつけてチャンネルをぐるぐる回し見していたらBS2で「十二国記」が始まった。
 うわー、『東の海神・西の滄海』だあ。放映するの知らなかったよ。
 そういえば最近十二国って見てなかった。割と追いつめられていて、ビデオにだけとって見られないまま4、5回たまるという日々だった。つーか、実家じゃないとBS2なんて見られないし。

 しかし、やっぱり早起きして書類を書いていた妹が「うるさい」というので、録画して本日視聴。土曜日はビデオの「フィフス・エレメント」を見て、スターチャンネルで「ロック・スター」(前に見たのに!)、「レプリカント」を見たので、なんかテレビばっかり見てる感じ(笑)。
 ついでに、昼食を食べながら、借りてきた「世界遺産」のビデオを母と見る。
 すごく体は休まったけど、目は疲れたかもしれない。


2003/7/26

フィフス・エレメント  「フィフス・エレメント」を見る。
 裏テーマは、ゲイリー・オールドマン。今回の彼の役は宇宙の絶対悪と通じる悪党役だ。でも、絶対悪から見ると三下なので、かなり情けない。また、その情けなさがハマリ役という感じ(笑)。
 この人が演ずる悪役というのは、常に情けなさが漂うなあ、なぜか。
 劇場公開当時のキャッチは「見たことのない未来」だったみたいだが、未来社会の映像イメージは何かの焼き直し感が強い。(ゴルチエの衣装は面白かったけど)
 でも、あんまりあた新しすぎない方がいいかも。ものすごく新しいものは、世間に受け入れられるとは限らないもんね。

 この日はスター・チャンネルが無料放送の日だったので、9時から「ロック・スター」、11時から「レプリカント」を見る。
 「レプリカント」のジャン・クロード・ヴァンダムの猟奇殺人犯とおサルのようなレプリカント(二役)は面白かったです。ストーリーにツッコミどころは色々あるけど、アクションものって、まあストーリーは適当でもいいのさ(笑)。
 しかし、どの映画でも猟奇殺人犯って、どうしてああ、タフなんだろう。


2003/7/25

 うっかりしてました。シリーズ3作目が出ていたとは、すっかり見落としていた『猜疑』(ジュディ・マーサー、北沢あかね訳/講談社文庫)読了。

   シリーズ1作目の『喪失』は、主人公・アリエルが見知らぬ部屋で気づくところから始まる。見知らぬ部屋というのは自分の部屋で、つまりアリエルは記憶を失っているのだ。同じ部屋にいたのが、シェパードのジェシー。
 たぶん、冒頭から犬が出てるくるあたりも好きな理由なんだろう(笑)。
 結局、3作目を迎えたところでもアリエルの記憶は戻っていない。

 アリエルはTV番組「オープン・ファイル」のスタッフで、ある日、番組にコメンテーターとして登場したのをきっかけに、昔の知り合い(らしき)男から電話がかかってくる。
 彼の名前はジョン・スパークリング。二年前に妻殺しの容疑をかけられ審理不能になっている。陪審員の意見がまとまらなかったせいだ。
 彼の立場は依然、グレーのまま。ジョン(ジャック)に取材を申し込んだアリエルは、その事件に巻き込まれていくが……。

 今回は、元上司でありアリエルの恋人のヘンリーが見どころ。アリエルには新しい恋なんか訪れちゃうし、中年の悲哀たっぷりである。
 恋人が自分ではない男に心惹かれていくところを見守る姿は普通はカッコ悪いのに、今回の物語のヘンリーは素敵だ。恋の苦さが堪能できる、大人っぽい一冊でもある。
 アリエルとヘンリー、ヘンリーの一人息子、アリエルの新恋人の関係などが入り混じって、複雑で先の見えない物語になっている。ジャックとアリエルの関係も、めくるめく恋の間にタイトルでもある「猜疑」が挟まって複雑だ。
 でも、恋のゆくえはともかく、最後にカッコいいところを持っていったのはやはりヘンリー。
 オヤジ好きの私としては満足の一冊(笑)。

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2003/7/23

 最近のお気に入りランチは、「権米衛」のおにぎり。(渋い)
 玄米と白米があって、1個が大きいので満腹感もある。売りきれていても、ご飯さえあればすぐ握ってくれるところも好き。
 その中でも一番お気に入りなのが「めんたいチーズ」。
 これ、実は握りたての熱々が一番うまい。熱々ご飯でチーズがトロリととけてご飯に染み染みになって、めんたいはほんのり熱が通って。
 握りたての熱々を食べるには、ちょっとコツがある。12時前に作り置きしておいたものは売れてしまって、なおかつご飯が残ってるという微妙な時間を狙うのがポイント。
 しかし、作り置きがなくなるのと、ご飯がなくなる時間差は10分くらいしかないのだ。この微妙なところを狙って、目的の握り飯をゲットするかが手腕の見せ所である。
 ……って、下らないところに情熱を傾けてるなあ。へヘっ。


2003/7/22

 大正11年、道玄坂を歩いていた森鴎外は何物かに崖から突き落とされる。次に気がついた時にいたのは現代2002年の道玄坂だった!
 『タイムスリップ森鴎外』(鯨統一郎/講談社ノベルス)読了。
 鴎外こと本名・森林太郎(愛称モリリン♪)の現代になじんでいく素早さは結構笑える。
 考えてみれば、明治、大正だって世の中が劇的に変わった時代だったんだよね。しかも、情報が今みたいに氾濫してなかった時代に洋行するなんて人種は、よっぽど柔軟性がないと勤まらない。ドイツ留学もした鴎外が柔軟性があるのは当たり前かもしれない。でも、携帯メールでさえもすぐ使えてしまうのは、すげえや。現代人でも使えない人だっているのに(笑)。
 もちろん、文学の流れに追いつくために本屋に行くシーンもある。まず、自分の本を探してしまうあたりがカワイイぞ、モリリン。

 森瑤子。
 森真沙子。
 森雅裕。
 森博嗣。
 森奈津子。
 五人の森がみつかったが、鴎外はなかった。

 感動しました。
 普通の書店の「『も』ではじまる作家」の棚で、私は森奈津子を見たことがありません(笑)。できたら、モリリンにモリナツを読んで欲しかったぞ。宮部みゆきを読むシーンはあるんだから。

 レジで支払いを済ますと、林太郎は喫茶店に入ってさっそく『龍は眠る』を読み始めた。(中略)
 三杯目のコーヒーがなくなりかけたころ、読み終えた。
 林太郎は大いなるカタルシスを味わった。不覚にも涙がにじむ。

 『邪馬台国はどこですか?』の後に読んでしまったので、ちょっと作品的に薄い感じ。つーか、もしかして、これは既にバカミスですか?

*タイトル、本文とも作品中の「鴎外」は旧漢字です。ものによって文字化けするみたいなので、すべて「鴎外」に統一しました。

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2003/7/20

 『QKの季節』……いや、『球形の季節』(恩田陸/新潮文庫)読了。
 東北のとある町に4つの高校があった。その学生を中心に奇妙な噂が蔓延する。5月17日、エンドウさん。
 女の子たちはこっそり奇妙なおまじないに熱中し、そして、その日がやってきた……。
 てな、内容のモダン・ホラーでございます。

   読み終わってわかった。私はホラーがあんまり好きでないのだ。
 T・J・マグレガーの『繭』を読んだ時に、最後に「謎が解決されてねーぞーっ」と叫んだものだった。
 ホラーってジャンルは、謎は謎のままでオッケーなのだ。マグレガーはミステリも書く人なので、ついミステリのつもりで合理的解決を期待してしまったのは私が悪い(笑)。
 今回も、ホラーと書かれていたので、心して読んだつもりだったのだが……。
 今一つ物語りに入り込むのが大変なのはテンポのせいだろう。前半は舞台の谷津という「眠ったふりをしている」町のように、やや冗漫に進む。前半の10Pに2週間、それ以降は1日で読んだということで、そのテンポの違いがわかるだろう。(まあ、移動でまとまった時間が取れたせいもあるのだけど)
 これは初期の作品だというから、書き進んでいくうちに加速度的に作家として進化していったのかもしれない。
 こんぺい糖のおまじないとか、蔵を模した校舎とか、なぜかキャラクターより道具立ての方が視覚的だ。『六番目の小夜子』みたいにドラマにしたら、かなり印象的なものになりそう。

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2003/7/19

運動靴と赤い金魚   「運動靴と赤い金魚」を見た。
 内容をよく見ずに借りてしまったけど、イラン映画だ。映画が始まって、タイトルが出てきてもさっぱり読めなかったよ(笑)。(もちろん、最後に流れるキャスト・スタッフの名前などもサッパリ読めない)

 主人公は9才の男の子・アリ。両親と妹のザーラと仲良く暮らしているが、生活は貧しい。
 ある日、修理に持って行ったザーラのたった1足の靴をなくしてしまう。2人はアリの運動靴を時間差で取り替えて学校に通う。
 そんなある日、アリが学校の壁で目にしたのはマラソン大会のお知らせ。3位入賞までは賞品が出て、3等はなんと運動靴なのだ。アリはザーラのために3等になろうと走る……。

 主人公役の少年の常に悲しげな顔は特筆もの。彼のイメージは八の字眉毛のうるうるした三白眼。
 よく見ると眉は下がってないのに、困って泣きそうな顔がデフォルトいう哀愁溢れる少年なのだ。さすが、3500人の中から「哀愁」というキーワードで主役を射止めただけはある。
 物語的にものすごく新しいとか波乱万丈というのはない。こうストーリーが進むだろう、と、思う通りに進んでいく。この素直さが、この映画のよさだろう。
 見終わって妹にストーリーを話してあげたら大笑いしていた。なんでだろう。どこの映画評を見ても「心温まる佳作」って書いてあるのに。ことさら脚色したつもりもないのになー。


2003/7/16

 会社が広告を出した本や、あとは業務の資料になりそうなものと、結構雑誌が回覧で回ってくることが多い。
 中でも武骨な外観のくせに、読み始めると熱い気持ちになってしまうのが経済誌。
 だいたい経済誌というのは成功した人(会社)へのインタビューなどが中心だから、経済誌を読むということは無数のサクセス・ストーリーを読むということ。しかも、ただラッキィで成功したわけじゃなく、苦労や挫折があったりする。ある意味、少年誌より熱い世界といってもいい気がする。

 んで、今回、私が読んで目頭が熱くなったのが、そごうの課長のインタビュー。
 そごうといえば私も昔バイトをしていた、ってそんなことはどうでもよくて、2000年7月に経営破綻した(実質倒産)会社。
 会社更生法の手続きが今年の1月に終了したそうで、予想より2年も早い立ち直りだそうだ。
 そごうの破綻は私には結構なショックで、それは近くのそごうが閉店になってしまった方にもわかってもらえると思う。近所の千葉そごうは破綻した後も、駐車場をタダにしたり、ミレニアム・カードなる会費無料の顧客カードを作ったりで、がんばってるなあ、と、思ったものだ。
 課長というポストは基本的に管理職の中で一番現場のそばにいるポジション。こういう立場の人にインタビューするのは、TOPにするのとはまた少し違って面白い。

 当時の店長に逆らってTVカメラを店内に入れたこと、がんばれというお客様の声援……などなど生のエピソードは読ませるのだが、ちょっと泣きそうになるのが、これ。
 マスコミ対応で業界から評価されたので、ヘッドハンティングがあったでしょう、という質問だ。いくつかあったヘッド・ハンティングを断ったことについて、こう答えている。

「だって、『がんばろうよ』と部下に言い続けていた僕が逃げ出しちゃ、卑怯でしょう?」

 くうう。
 ドラマなんかだとありがちの、すごく当たり前のセリフだ。でも、家庭のある人が、生活を背負いながらその言葉を言えるってことはスゴイ。
 そごうでは丸3年、ボーナスが出てないという。現実に立ち向かってがんばっていくのは大変だ。
 そして、そういう人のアタリマエのセリフは何より響いてくる。

掲載:『日経ビジネスアソシエ』日経BP社 「重松清のニッポンの課長」


2003/7/15

 浜松町は、私にとって長い間、「ロクな本屋がないところ」だったのだが、数年前、貿易センタービルにBOOKS談が出来てから変わった。
 規模が割と大きくて、なにより山手線の改札から1分で濡れずに行けるという立地のよさ。
 今まで飛行機の中で読む本を買うのも、羽田の書店で少ない候補の中から選ぶしかなかったのに(マンガは最新刊しか置いてないし)、ビバ! 浜松町!(通勤経路ではないから、たまにしか寄らないのだが)

 先日行ったらマンガ棚のエンドで「中国伝奇の世界」というテーマ陳列をやっていた。模造紙にパンダのイラストを貼り付けて看板作りも気合が入っている。
 私はこういった本屋独自企画のテーマ陳列も好きだ。
 前にオフィスの近くにあったABC(青山ブックセンター。愛用するが1年前に退店。その後、私のオフィスがある地区は本屋ひとつない不毛の土地となった)のディスプレイも好きだった。書店の性質上、写真集などのテーマ陳列が多いのだが、そういう風に見せてもらわないと、中々知ることが出来ない本とめぐりあえるのは嬉しい。絵本のリサとガスパールのシリーズに会ったのもそこだった。
 ABC青山本店には、ミステリ担当がいて、かなり濃い展示もしてるみたいだ。羨ましい。

 と、まあ、企画陳列があると絶対見てしまうくらい好きで(笑)、今回も時間がないくせに見てみた。
 横山光輝の『三国志』を筆頭とした三国志のマンガは当然として、川原泉の『中国の壷』まで押さえているあたりがすごい。
 三国志でも『GoGo玄徳くん!! 』(白井恵理子/希望コミックス)が置いてあったのが感動だった。
 基本的にサラリーマンがほとんどの書店で、こんなマイナーなものが置いてあるとは思わないじゃないですか。(←誉めている)
 ええ、さっそく買って帰りましたとも。
 今まで探してたけど、置いてる本屋がなかったんだもん♪

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2003/7/14

 前々から気になっていた『邪馬台国はどこですか?』(鯨統一郎/創元推理文庫)を読む。
 読んでみてびっくり。結構マジメな歴史ミステリじゃないですか。(どうもバカミスの人というイメージがあってさ)
 マジメといっても、「真面目な歴史ファン」には噴飯モノの短編集かもしれない。でも、ミステリなんて、高等な遊びの文学だし。
 だいたい、歴史ミステリで「きちんとした大ボラ」を吹くのは難しい。まず、知識と資料が大量に必要。
 そして、書くのが大変な割に、せっかく書きあがったものはマニアから突っ込まれたりする。(絵描きの皆さんなら、せっかく苦労して苦手なメカを描いたのにメカフェチからクソミソに言われるとこを想像してください) 労多くして儲けが少ない。これだけ出版されているミステリの中で、歴史ミステリの絶対数が少ないのも仕方ないだろう。
 だから、私は歴史ミステリというだけで点が少し甘くなってしまう。歴史にうといけど、歴史ミステリ好きだしね。

 この本では、表題作の「邪馬台国の場所」をはじめ、「本能寺の変の真実」、「明治維新の秘密」など、いくつかの誰でも知っている歴史的な事実を扱って、それを一般常識から引っくり返している。
 私が一番好きなのが、「キリストの奇蹟」の巻。
 うまく使えばこれだけで1冊の本が書けるはずなのに、惜しげなく短編に使ってしまうあたりが太っ腹だ。

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2003/7/13

 近所でSONY製品を中心とした家電バザールがあったので行ってみた。
 VAIOとかVEGAとかが売っている中に、なぜか梅干しとかサンダルが売っているのがご愛嬌。(私は梅干しを味見し、サンダルを買った)
 DVDも売っていて、母親と小学生の娘二人の3人連れがパッケージを見て、選んでいた。
「お母さん、これどんなお話?」
という娘の質問に、
「殺人鬼が、人間を輪切りにして食べちゃう話よ」
と、ごく何気なくお母さんは答えていた。
 うーん、お母さん詳しいなあ。
 つーか、そんなのをサラっと子供に説明していいのだろうか。人んちの子供ながら、ちょっと不安になったリオハであった。


2003/7/12

 今日も会社に来ちゃったよ。先週の日曜から続けて出てるから、1週間が長いなあ(笑)。
 こんなに働くとは、「キング・オブ・ぐーたら」の風上にもおけません。もっと、積極的にぐーたらしなくては。
 積極的にぐーたらというと有給消化なのだが、昨年は消化しきれずに捨ててしまった。同期では、あと2名ほど捨てたみたいだけど、この3人は「家庭に居場所のないお父さん」と、呼ばれている。

 さて、今さらながら『アルコール』(西村しのぶ/集英社YOUNG YOUコミックス)を買う。
 雑誌掲載の時に読んでいたので、のんびりと。
 主人公・ミサオはお酒が飲めない体質なのにバーテンのバイトをしている女子大生。彼女がバイト代をつぎこむのは、東南アジアのビーチへの旅行。暑いまったりした中での酩酊感をこよなく愛しているのだ。

 うーむ。読んだら南の島に行きたくなってしまった。
 だらだらうだうだと、南の島の暑さで酩酊感を味わいたいぞ、とっても。
 さっ、有給を取って南の島へ行……。
 ……。
 …………。
 とりあえず、仕事を片して帰ろう……。

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2003/7/11

 あ、試写会は7/9でした。ま、いいか。
 『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』の上映時間は1時間36分。
 試写会が終わってからも話したのだけど、上映時間っていうのは大切だと思う。最近は大作志向で2時間を越える作品が多いが、2時間人を惹きつけておくというのはとても大変なことだと思うのだ。  私が映画を見てて飽きないのは、約90分。(←お前はお子ちゃまか!)
 人間の集中力が続く限界というのは90分らしくて、だから学校の授業は1コマが90分以内に設定されているとか。
 やっぱり、2時間を越える映画ってツライよ〜。
 よっぽど気力と体力が充実してないと、映画館に見に行く気にならないもん。ビデオでだらだら観るのは別としてさ。

 だから、この映画でも、食いたりないところはあっても、90分ちょいにまとめたところは評価したい。
 なんにでも、ちょうどいい間尺ってあるはず。なんだか書いてて自分の胸につきささるんだけど(笑)、心地いい長さは大切にしないとね。

 昨日の日記で書けなかった、トゥーラのお父ちゃんのラブリィさを書こうと思ったら、別のこと書いちゃったい。
 オヤジスキーにオススメ♪ オヤジだけでも一見の価値あり。


2003/7/10

My Big Fat Greek Wedding  試写会で『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』を見る。原題は"My Big Fat Greek Wedding"(ギリシャ式大げさウェディング)。
 なにしろ前情報はほとんどナシで見に行ったので、新鮮でした。

   ギリシャ系アメリカ人・トゥーラは、両親のギリシャ料理店で働いている。典型的ギリシャ人の父親は心から子供達を愛しているが、古い家長制度の元でちょっと頭が硬い。「早く結婚しろ。30歳なんて、もうバア様だ」。
 ある日、トゥーラは自分改革を決心! 大学の講習を受け、髪形もファッションもスマートになった彼女は、イアンという教師と恋に落ちる。しかし、父は「ギリシャ娘はギリシャ人と結婚する」と頑固に考えていた……。

 という物語。
 日本だとマーケティングで女性だけをターゲットにしているようで(公式ホームページは見事なほどのピンクの洪水だ)、私もロマンス映画かと思っていた。
 実は大間違いで、一緒に行ったれおんさんによれば「ギリシャ嫁入り物語」。
 日本ではあまり知られていない、人情に厚くラブリィなギリシャ系の人々の生活がばっちりわかる。しかも、大家族の絆も固いギリシャ系としては、これはファミリーの物語といってさしつかえないだろう。  映画の中でトゥーラは叫ぶ。
「あなたは、たった2人。私には27人も従兄弟がいるのよ!」。
 折々にそうした大家族が集まり、歌い、踊り、騒ぐ。

 この映画はインディペンデンス系で低予算で作られながら、アメリカで10ヶ月の大ロングランヒットを記録した。
 もしかして、そのヒットの要因というのがギリシャ系の家族パワーかもしれない。なにしろ、ギリシャ系移民はこぞって見に行ったみたいだから。
 映画化されたきっかけは、ギリシャ系でトム・ハンクスの妻のリタ・ウィルソン。彼女が映画の元になった主役のニア・ヴァルダロスの一人芝居の舞台を気に入ったのがはじまり。
 そして、トム・ハンクスの会社がプロデュースすることになり……というのは、さんざん報道されているから説明の必要はないかもしれない。
 映画では、花婿のイアンは大変な文化的ギャップに立ち向かう。ギリシャ系の妻を持つトム・ハンクスも、たぶん、映画みたいなBig Fatな経験をしてきたんだろうね。(私はちょっとトム・ハンクスの見方が変わったよ(笑))
 その経験がこの映画に出資させたとしたら、いよいよギリシャ家族パワーはあなどれない。


2003/7/9

 ちょっと前にBBSでドリアンが話題になって読んでみたくなったのが、『マジシャン』(高階良子/秋田文庫)。
 なぜかというと、ドリアンという果実を初めて知ったのが、このマンガだったから。
 物語は天才マジシャン・葵昌吾と少女・由貴のまわりで起る事件をめぐる連作短編。基本的にどこから読んでもいいので、書店で見つけたらドリアンの回だけ読んでもオッケーだ。
 物語の中で起る事件(殺人もある)のトリックを見破るのは、いつも昌吾で、このトリックが……とかいうのは今回どうでもいい。いや、どうでもいいとか言っちゃ失礼だな。
 本編以上に巻末の解説にインパクトがあったのだ。
 解説をしているのは、引田天巧。あの、プリンセス・テンコーである。

 マジシャンの目から見た『マジシャン』は本当にウソがなくキッチリ取材をしたものだ、とか、きちんと読んで書いてある解説で、それは好感が持てるものなのだけれど、今回私をふっ飛ばしたのは余談。

 引田天巧は24歳。
 15年間、ずーっと24歳。

 これだ。
 なんでもバービーで有名なMatel社からテンコー・ドールが出ているそうで、この契約がとても厳しいらしい。
 髪の毛の長さは変えていけない。太ってはいけない。やせてはいけない。年齢は15年間24歳でいなければならない。
 うーむ。Matel社と契約すれば、15年間も24歳でいられるのか。
 こりゃ、アンチエイジングに励む女性に朗報……って、そういう話じゃないか。

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2003/7/8

 最近、個人的に皇なつきブームで、遅ればせで中華世界に浸っている。(他の国もあるけどさ)
 中で一番大化けしそうだなあ、と、思ったのが『黄土の旗幟(はた)のもと』(皇なつき/角川書店 あすかコミックスDX)。
 明朝末期、李自成率いる農民反乱軍に身を投じた青年・李公子を中心に描く物語で、史実をベースにしている。私はもともと歴史にうといせいか、丸っきり知らなかった。
 だいたい、日本では三国志以外の中国の歴史大河ロマンはあまりポピュラーではないと思う。(あとは、『項羽と劉邦』くらいか?)
 舞台は時代のはざま。あとがきで「中国歴史好きの間では○末○初という言い方がある」と書かれていたが、それでいえば明末清初になる。時代が変わる時代は、色々なところにひずみが出来て、色々なところで苦悩があるのだろう。

 役人である李公子も思いっきり悩んでいる。法律通りに物事を運ぼうとして、苦しむのはいつも貧しい人だ。私財をなげうって米を施したり、焼け石に水と知りながらも奔走している。
 そんな民から信頼厚い李公子を、ヘッドハンティングに来たのが反乱軍の親玉・李自成。

 血が一滴も流れぬ戦などあるか!
 生きていくためには食わねばならん。食うためには戦わねばならん。それが今という時代だ。
 だが確かに俺たちは一寸殺しすぎるかもしれん。
 李公子よ、俺はこういう男だ。戦う他に為すべきことを知らん。だから、あんたのような男が欲しいのだ。

 李自成は続ける。

 どうだね、李公子。この闖(あばれうま)の手綱を把る気はないか。

 くうう。思わず転職してしまいそうな殺し文句!
 このカリスマ性のある男の行く末を見てみたい気にとてもなるが、続きは出てないみたいだ。

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2003/7/7

 笹の葉さらさら〜♪
 さて、七夕である。皆様におかれては短冊にお願いは書かれましたでしょうか?

 昔、会社でやったキャンペーンで、短冊に願いごとを書いてもらって、それを取りつけた笹をナイル川に流すという企画があったが(なぜ、ナイル……)、似た企画は全国で行われているらしい。
 高知に行った時、高知の空港でもやってたし。
 今年はうちの近所でもやっていた。上はオフィス、下はレストラン&ショッピングというビル。バラエティ豊かな人が参加している。
 絵馬を読むように、短冊も読んでていてなかなか面白い。
 ○○くんとうまくいきますように(はぁと)、などというものはもちろん多いが、中には

 じぃじが早くよくなりますように

とか、

 倫子が素敵な女の子になりますように 母

なんていう、目頭が熱くなるようなものもあれば

 お願いします!
 主人が早くよくなって車椅子に乗れますように

という、切羽詰った感じのものもある。(最初の「お願いします!」がものすごく必死な感じだ)

 私が一番印象に残ったのが、これ。

 平岩さんが会社に来ますように
 兼清ちゃんが一人立ちできますように 
 いい仕事にめぐりあえますように
 松原さんの話が短くなりますように
 (出社拒否か!?)
 (後輩のことだろうな)
 (うんうん)

 うわははは。
 思っていても、お星様くらいにしか言えないことってあるよね?(笑)


2003/7/4

 同期会。
 アメリカ本土から一時帰国中の同期をかこみ、辞めた同期にも声をかけたので総勢8名で、恵比寿の筑紫楼へ。
 こういう集まりだと、やっぱり人の消息交換会になりがちで、この1日でずいぶんゴシップに詳しくなった気がした。
 ところで、その中の誰かについての同期(アメリカ生活6年)の発言。
「仏壇みたいな髪型で」。
 仏壇……。
 髪型の表現では、生まれて初めて聞いたよ。
 こういう表現ではアメリカでポピュラーなのだろうか。(いや、まさか)
 それとも、外国暮らしが長くないと身につかないグローバル感覚ってヤツなのだろうか。


2003/7/1

 もともと海外ロマンスは嫌いでななくて、某所でロマンチック・サスペンス専門店の仮想書店なんかをこっそり開いていたりする。
 たぶん、最初に読んだジュディス・クランツの影響が大きいのだろう。
 ブロックバスターと呼ばれるほど本を売る人で、もちろん内容も大型で派手。脇役やチョイ役までも、その人生や心理を細かに語られる。だから、大体ブ厚いボリュームなのだけど(笑)、濃密で面白かった。50人くらいが出演するグランドホテル方式ロマンス小説といえば、なんとなく感触はわかってもらえるだろうか。

 ところで、アメリカの人気作家というのは日本とはケタ違いで、グリシャムとかマイケル・クライトンはハードカバーの初版で300万部を刷る(刷るんだよ。総合計で売った数じゃないんだよ!)そうだ。ロマンチック・サスペンスのメアリ・H・クラークも、それよりは落ちるが、ものすごい数を売るらしい。
 そう、ロマンス小説とあなどってはいけない。人気作家はハリウッド俳優なみにお金を稼ぐのだ。
 で、お金になりそうな、ものなら輸入しちゃう日本企業、なんでもマンガ化しちゃう日本市場で、なぜか海外ロマンスのマンガ化は、最近まであまりみかけなかった。(版権が高いのか?)
 ハーレクインがシリーズで出しているが読み応えでは、今一つ。
 んで、私のオススメは『シルバー』(藤田和子/小学館フラワーコミックススペシャル)。
 裏切られ、父を殺された貴族の娘の復讐の物語。ええ、コッテコテです(笑)。2時間サスペンスなら、「愛して信じて裏切られた女の復讐が今、始まる――整形美女の影」てなアオリが新聞についていることでしょう。
 だから、割と物語の予測はつくのだが、なんといっても悪役であるチャールズがスゴイ。
 この美貌に恵まれた悪い男は、日本のマンガでは死に絶えつつあるブラウサーなのだ!(ひらひらのブラウスを着て似合う人) 美形でブラウサーで不幸な子供時代を過ごし野望を持つ。こんなにわかりやすいキャラを、すごくカッコ良くかける藤田和子ってすごい。

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