2003/8/31
週末、寝込む。
1日19時間くらい寝たかな。ペネロペ・クルズもびっくりだわ。
テレビはうるさくてつけられないけど、本は読める程度だったので、軽いものを何冊か。
『女王陛下の薔薇1――夢見る蕾たち』(三浦真奈美/中央公論新社C★ファンタジアノベルズ)読了。
あまりにインパクトのあるタイトルゆえ、書店に並んでいるのを見た時から気になっていた1冊。
私が予想した内容は、宮廷版伊賀忍法帖デシタ。女王陛下の密偵達が陰謀渦巻く貴族社会の悪をバッタバッタと……って、時代劇の見過ぎですかそうですか。
読み始めると、当然私の予想と違って(当たり前だ!)いたのだが……むむむ、面白いっ。
物語をひとことで説明すると架空歴史小説。
ブレニム帝国の富裕な商人の娘・エスティを主人公に据え、寄宿学校時代の友人で大方の予想をひっくりかえして史上初の女王になったセシリア、帝国の植民地・パガンの藩主の娘・ブランカなど少女達の成長物語(になるんだろう、たぶん)。
ちなみに出版社提供のあらすじは以下の通り。
獅子と薔薇の紋章の下、帝国に史上初の女王が誕生した。しかし女は「家庭の天使」である時代、その統治は困難を極めた。古き慣習に昂然と立ち向かう若き女王、彼女を助けたいと真摯に願う、平凡な一人の少女。夢を諦めずひたむきに生き、精一杯咲き誇ろうとする薔薇たちが、時代を、世界を動かし始める。
私は海外ロマンスが好きなのだけど、それはバーバラ・T・ブラッドフォード他、ものすごく高品質な波乱万丈の大河ロマンが読めるせいだ。(BTBは当たりハズレがあるけどさ) 日本のどんなベストセラー作家より初版を売る作家のロマンス小説は、バカに出来ないほどスケールが大きかったりする。
この物語は、そういう日本には存在しない種類のロマンス小説になる可能性が、ちょっとある……気がする。まあ、まだシリーズ1冊目を読んだだけだし、結論は保留にしよう(笑)。
ブレニムはブリテン、パガンはインド。少し歴史を知っていれば簡単にモデルの予想はつく。
セシリアはずばり、エリザベス1世だ。
でも、単純にエリザベス調を読みかえられるかというと、ちと違う。パガン(インド)への定期航路が出来てプレニム人(英国人)が家族を伴って赴任しているあたりは、同じ女王でもヴィクトリアの時代あたりのことだろう。婦人は「家庭の天使」であるべき、という社会通念もヴィクトリア時代の堅苦しい考えだ。
だから、架空歴史小説。
実在の歴史を舞台にしたら、どんなに読者層が広がるだろう。と、夢想しても仕方ないか。
ヴィクトリア時代にもしもエリザベス1世のような女王が現われたら、という、楽しい空想世界(だと思うんだけど、違うかな)を楽しむことにしよう。