2003/10/15
今さら「シックス・センス」(1999年、アメリカ)を見る。
いやー、びっくりした。
素直で人を疑うことを知らない純真な私は(やりすぎは逆効果だぞ、リオハ)、オチで見事に驚かさ れました。 2度楽しめるかは人によるだろうけど、一度っきりの初見の幸福っていうのも世の中にはあ るのだ。
たまらなくなって、見終わったのが夜中の1時近かったのにもう一度初めから鑑賞。(字幕入れて3倍 速で早見だけどさ)
ななな、なるほど。もう一度見ると、きちんと伏線を張っているわ。エライなあ。
たとえば、少女の家に向かうバスからお墓を見た次のコール少年の反応。2度目に見ると計算された シーンだったことに気がつく。
それにしても脚本がうまい。
監督はインド人だそうで、確かにアングロサクソンとは考えのベースが違いそうだ。学童向けの雑誌 に「真夏の心霊写真特集」なんて載ってる日本だから逆にわからないのかもしれないが、霊魂というも のについてのキリスト教の考えは自由ではない。だから、ホラーは日本人の方が優れたものを作れるベ ースは持っているはずなんだけどね。(世界にマーケテイングできるかは不明)
あきっぽい私にしては、ラストまでの107分をほとんどじっと見続けた。なにしろ、画面がとてもき れい。フィラデルフィアという古い街が舞台なのも手伝って、カットカットが素晴らしく美しい。たぶ ん、撮影監督がいいんだろうな。恐がりでめったにホラー映画を見ない私に夜中に見させるとは相当の もの(笑)。
霊が見える少年・コール役のハーレイ・ジョエル・オスメントについては、賞賛されつくしているの でもういいだろう。『運動靴と赤い金魚』のお兄ちゃんみたいな、困り顔がベースのくせに、演技力は ものすごい。
彼の演技をばっちり受け止めるのが、トニー・コレットの母親・リン。
離婚してシングル・マザーでコールを育てているが、自分の子供は友達になじまないし、学校で変な 絵を書くし、部屋の机の上には「お前を殺してやる」とびっしりかかれたルーズリーフが置いてあるし 、なにやらカルトめいたテントさえ作っている。えーと、まだあったな、盗癖か。とにかく、何も知ら ないお母さんにしてみたら、心痛で心の休まる暇のないはずだ。(たぶん、何もない空間に話しかけて る姿も一回くらいは目撃してるだろう)
それでも、たまに爆発はしても、懸命に自分の子供を守って育てるお母さんにはそれだけでエライ。
母と息子の交流シーンでは、やっぱり泣いた。
心優しいけれど、問題ばかり起こす精神を病んでいるらしき愛しい息子。リンお母さんはかなり息子 の将来を心配していたのだと思う。でも、彼女に本当の福音をもたらしたのは、この息子なのだ。
ちなみに、DVDの日本語音声では、この役を勝生真沙子さんがやっていて、私はそれだけのために 日本語音声で聞いていた(笑)。……って、いいこと書いてたのに最後でだいなしですかそうですか。 (どなたか、声の出演のデータの見かたを教えて下さい)
この母親と対照的なのが、女の子の幽霊のお母さん。
実は、2回目に見た時は日本語の字幕と英語の字幕を両方出していたのだけれど、日本語音声と3種類 全部が違っているセリフがあった。
日本語字幕 「ひどい母親だな」
日本語音声 「お前が犯人だったのか」
原文 「お前が彼女を具合が悪いままにさせておいたのか」(日本語直訳)
日本語の意訳はとてもわかりやすい。
でも、英語の元のセリフはかなり練りこまれたものだと思う。たとえば周囲から褒められたり同情し てもらえる立場を楽しんで子供を虐待する。そういう事例もホントにあるし、そんなどす暗い人間の恐 さをヒタヒタ感じるセリフだ。短いセンテンスなのに。
まあ、これも脚本のうまさだよね。
しかし、最後にびっくりしたのが、ケースのあらすじ。
「このあらすじ、ウソじゃーん」と思い、よくよく再読してみると全然ネタを割ってないのだ。いや 〜、私には書けません、あんなの。今回は色々おじさん、参っちゃったなあ。
『シックス・センス』(1999年、アメリカ)107分
監督 :M・ナイト・シャマラン、音楽 :ジェームズ・ニュートン・ハワード、脚本 :M・ナイト・ シャマラン、撮影 :タク・フジモト
CAST:ブルース・ウィリス、ハーレイ・ジョエル・オスメント、オリビア・ウィリアムズ、トニー・コ レット