私的2002年ベスト10 |
昨年に引き続き、2002年に私が読んだ本という基準のベスト10です。 一昨年に比べて、第一次選考で(←そんな大したもんかいっ)あがった本は15冊。それだけ豊作な年だったんでしょう。 ところで、ノンフィクションを結構読んだのにベストにあげられたのは1冊だけ。読んだものにちょっと偏りがあったものねえ。やっぱり猟奇殺人ものはオススメしにくいのよ、いくら私でも。 |
■ボーン・コレクター■
(ジェフリー・ディーヴァー、池田真紀子訳/文藝春秋)
とうとう今年は去年の『極大射程』みたいなケッサクには巡り合わなかったな〜、と、思っていたら最後の最後で大ヒット。 | |
■象と耳鳴り■
(恩田陸/祥伝社)
ミステリでありながら、『ボーン・コレクター』とは正反対のような作品。まず連作短編集であること、登場するのは基本的には市井の人であること、そして、刑事事件もあるが多くは日常の謎であること。 | |
■模倣犯■
(宮部みゆき/小学館)
今年の映画公開に合わせたわけではないが、読むのが遅くなった。でも、個人的にはいいタイミングで読んだと思う。 | |
■ハサミ男■
(殊能将之/講談社ノベルス)
前々から面白いということは聞いていたけど(って、こんなのばっかりじゃん(笑))、本当に面白かったメフィスト賞受賞作品。(メフィスト賞はハズレも多い) | |
■なつこ、孤島に囚われ。■
(西澤保彦/祥伝社ノンポシェット)
ミステリとしての出来はともかく(ともかくかいっ)、森奈津子という作家を私に教えてくれた意味で、今年もっとも貢献度が高かった作品。 | |
ミステリは以上。今年はSF作品もランクイン。 |
■西城秀樹のおかげです■
(森奈津子/イースト・プレス)
で、『なつこ、孤島に囚われ。』ではじめて森奈津子を知った私が、モリナツ・ショックを受けたのがこれ。終末SF作品としては日本最強なのではないか?(そう思うのは私だけですかそうですか) | |
■さよならダイノサウルス■
(ロバート・J・ソウヤー、内田昌之訳/ハヤカワ文庫SF)
宇宙船が出ればSFではない、ということを雄弁に教えてくれる作品。SFをSFにしているのは、なによりもセンス・オブ・ワンダーなんだから。センス・オブ・ワンダーの意味は、まあ読んでみればわかるはず。 | |
昨年はちょっと意識してファンタジーと児童文学も読んでみた。 |
■緋色の皇女アンナ■
(トレーシー・バレット、山内智恵子訳/徳間書店) 子供向けの本として出版されているのがもったいないような内容だった。ピザンチン帝国の王女の話……っていうの自体が珍しいし、内容も大人の鑑賞に充分堪える。こんな作品が普通に子供向けの作品として書かれるあたり、イギリスの児童文学はまったく油断がならない。 | |
■ゴースト・ドラム−北の魔法の物語−■
(スーザン・プライス/ベネッセコーポレーション) とうとう我慢できなくて、絶版本ベスト10に登場。たぶん、どこかでは読めるはずなので機会があればぜひ読んでみてください。この作家がたいして注目されないあたり、日本のファンタジー文学界って、やっぱり分母が小さいんだろうなあ。 | |
唯一のノンフィクションがこれ。 |
■アニメーションの色職人■
(柴口育子、保田道世/徳間書店)
これは本としての出来より何より、アニメーションの色職人である保田道世さんに敬意を表して。 | |
以上、きわめて私的ベスト。 今年もいい本に巡り合えますように。 |