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接近遭遇

その1
 ここボルチモアにはお巡りさんがたくさんいます。パトカーもとても沢山走っています。おそらく警察はボルチモア市内外いずれでも最大級の雇用を創出している存在のはずです。こんなに沢山お巡りさんがいるのに治安が全米でも悪い方で有名なのはどうしてでしょう。フィラデルフィアだって決して褒められたものではないのに、もっと少ないお巡りさんの数で少なくともボルチモアより治安がマシなのはどうしてでしょう。
 そんなボルチモアでは、お巡りさんと関わり無しで生きていくのは無理かもしれません。そしてフィラデルフィアでは5年間一度もお巡りさんのお世話にならなかったひらぴーとあこちゃんもついにボルチモアでお巡りさんに・・・・。
 それはアカデミー賞の日でした。テレビの前ですっかり酔っぱらってできあがっていたひらぴーの耳にドアをノックする音が。そして覗き穴の外にはお巡りさんが。何事かと思いドアを開けると、お巡りさんが異常はないかと聞いてきます。なんのこっちゃ?と思っていると、電話が911(警察・消防・救急車の非常通話番号)につながっているはずだと言うのです。電話を確認しろと言うので、酔っぱらっているひらぴーは電話機の表示を見ただけで問題ないよと答え、お巡りさんにはお帰りいただきました。その後、訳のわかんないお巡りさんの訪問だねといいながら念のため受話器を取ってみたら、なんと発信音は無くガーガーと雑音がするだけです。接続の問題かとあれこれ試したのですが、改善する気配が無いので電話線を引っこ抜き、問題を翌朝に先送りすることに。そして翌朝は何事もなかったかのように電話が復旧していました。
 その後、半月ほどして電話の不通トラブルが再発したのですが、再度電話線を引っこ抜いて一晩放置したところ復旧したので、電話会社に連絡せねばと思いつつやはりそのままにしていたところ、3度目の電話不通が発生です。例によって一晩電話線を抜いておけばいいだろうと思っていたのですが・・・・。
 ドンドンドン、ドンドンという音で目が覚めたひらぴー。時計を見ると夜中の3時。こんな時間に何事だろうと思い、玄関に行くとドアの外には再びおまわりさんがいるではありませんか。眠い目をこすりながらドアを開けると、911に電話したかとの質問。寝ぼけながらも、そういえば寝る前に電話線を引っこ抜いたことをようやく思い出し、電話回線が異常で電話線は抜いてあるから繋がるはずがないと言い、ついでに前にも同じ事があったとも付け加えました。電話会社には連絡したのかと聞かれたので、「夜中に起こされたくないからしなくちゃ」と答えたら、一応安全の確認だけして、お巡りさんは帰っていきました。特に何も言いませんでしたが、きっとお巡りさんも「夜中に余分な仕事は増やして欲しくないので電話会社に直してもらってくれ」と心の中では思っていたことでしょう。
 その後電話会社に修理に来てもらい、技術サービスの人が「そのトラブルは昔はよくあったけど最近は全然聞かないなあ」と言いながらあれこれチェックしていましたが問題が特定できず、結局念のため配線盤の接続をやり直して帰ってきました。その後は異常はおきていません。

その2
 ここボルチモアにはお巡りさんがたくさんいます。パトカーもとても沢山走っています。おそらく警察はボルチモア市内外いずれでも最大級の雇用を創出している存在のはずです。こんなに沢山お巡りさんがいるのに治安が全米でも悪い方で有名なのはどうしてでしょう。フィラデルフィアだって決して褒められたものではないのに、もっと少ないお巡りさんの数で少なくともボルチモアより治安がマシなのはどうしてでしょう。
 そんなボルチモアにはパトカー、自転車のお巡りさん(フィラデルフィアでもよく見かけます)に加え、騎馬警官もいるのです。ある日の夕暮れ、ダウンタウンで路面電車待ちをしていたところ、突然蹄の音が鳴り響き、騎馬警官二人と二頭が目の前を駆けて行くではありませんか。そして何やら前方の車に叫び、呼び止めました。どうやら単なる交通違反のようですが、すでに結構楽しい見せ物です。何しろお巡りさんは逃走を警戒してか馬から降りないので車を上から見下ろしているし、運転席と馬上とでは距離があるのでやたら大きな声で叫ぶしで、まわりの人たちの注意を否が応でも引いています。結局違反切符すらも馬上で切り、ようやく放免された車が走り去った後、お巡りさんもようやく馬を降りて馬を引きながら来た方向へと戻っていきました。と、突然馬が立ち止まり、天然肥料を路面にボトリ。ちょうど都合良くその現場の目の前にゴミ捨て場があり、ちょうど良い大きさの段ボール箱をお巡りさんが拾って肥やしを処理。さらにちょうど都合良く、そこにゴミ回収車が到着し、笑いながらその箱を回収して行きました。

その3
 ここボルチモアにはお巡りさんがたくさんいます。パトカーもとても沢山走っています。おそらく警察はボルチモア市内外いずれでも最大級の雇用を創出している存在のはずです。こんなに沢山お巡りさんがいるのに治安が全米でも悪い方で有名なのはどうしてでしょう。フィラデルフィアだって決して褒められたものではないのに、もっと少ないお巡りさんの数で少なくともボルチモアより治安がマシなのはどうしてでしょう。
 さて、ボルチモアのあるメリーランド州はハイウェイの取り締まりが多いことでも有名(らしい)。フィラデルフィアとの間を往復すると、あちらこちらで捕まっていますが、そのほとんどはメリーランド州内です。いちおうハイウェイの制限速度は時速65マイル(104キロ)なのですが、ほとんどの車は時速75から85マイル(120から136キロ)でとばして行きますので、捕まるチャンスはいくらでもあります。そしてメリーランドの警察は、際だってとばしている車でなくても捕まえるのです。集団の最後尾は結構危険かもしれません。ひらぴーは中くらいにとばす人で潜在的に捕まる可能性があるのですが、今まで無事なのは基本的に右車線を走り、後方にも結構注意を配っているからです。それでも、いくら注意していても回転灯を消した背後のパトカーを夜に見つけるのは簡単ではありません。ある晩は斜め後ろの車がつかまりましたが、突然背後でサイレンが鳴ったときはひらぴーも結構ビビリました。斜め後ろの車が路肩に寄せ、パトカーがその後ろにつくのを見たときにはホッとしたものです。さて、捕まった車とひらぴーの違いは単純に車線の違いです。その車とは数分間ほぼ同じ速度で走っていました。その車は左の追い越し車線をずっと走っていて、中央車線にいたひらぴーは右からじわじわと抜いたのでした。つまり速度はほぼ同じで、ひらぴーの方が少しだけ速かったのですが、ひらぴーはその後車線変更をして一番右車線に移動したので難を逃れたようです。パトカーがサイレンを鳴らしたのはひらぴーが車線変更をしてから間もなくでした。
 またある日は、追い越し車線で他の車を抜きにかかっていたひらぴーの背後からパトカーがグングン迫っているのを発見しました。ちょうど追い抜きをほぼ終えていたひらぴーはすかさず右に車線変更しましたが、ひらぴーの前の車はまったく後ろを見ていない典型的なアメリカ人ドライバーのようで、パトカーがぴったり背後にくっついても気づかず、ついに数秒後にはサイレンが鳴り響きました。「あ〜あ、捕まっちゃよ」ときっと本人も周りのドライバーも思ったにちがいありません。ところが観念して路肩に止まろうとした車を無視してパトカーはさらに先へととばしていきました。どうやら現場に向かう途中か何かで、ただ邪魔な車に道を譲らせただけのようです。いやーあの運転手はかなり肝を冷やしたに違いない、これからは少しは安全運転を心がけるかと思いきや、何事もなかったかのように前と変わらずとばしていきました。アメリカ人ドライバーって全く学習しないのね。こりゃ、きびしい取り締まりが必要な訳だ。


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