大阪の思ひ出

:あらたな思いの巻:

...「え〜、皆様、大変長い時間(ほんとに長いよな〜)お疲れ様でございました〜、まもなく高速道路をおりまして、市内へとむかいます〜」

っというアナウンスにほへっ?と毛布から顔を出す。れ、もう着いたの?い、今何時だ?腕時計を見ると、6時15分前。すげー。9時間は熟睡してたんだ...。やっぱ1年ごとに老体化していくんだなぁ〜、かなあり疲れてるぞ、私。と、シートを半分だけ戻してカーテンを開けてみた。

目の前には、いつもの見慣れた景色が広がっていた。2日前は高層ビルが朝日を浴びていたけれど、今はにょきにょき元気にまっすぐ伸びた森の木々が、おひさまの光を体いっぱいに浴びていた。道路と同じ高さにどこまでも広がる茶畑が続き、ところどころに建てられた風車がくるくると回っている。遠くの山には薄いピンク色をした霧がかかり、その先にはぼんやりと桜島が見える。視線をどこまでも遠くへ伸ばしながら、えっちゃんは大阪を思い出していた。マロンさん、モンブラン(やっぱり変だ)さん、クーヘンさん、師匠、LiquidRedさん、それからかずぞう。みんなとても明るくてのびやかで、それでいて思いやりに溢れていて、素敵な人ばかりだった。一人一人色々な苦労や困難なこともあるだろうけど、それをたくましく前向きに切り抜けてるっていう感じがした。

「縁ってあるんよ」

っというかずぞうの言葉を思い出した。かずぞうはよくこの言葉を口にしたな。こういう出会いも、こうなるのも、縁があるから。そうかもな。えっちゃんが今こうやって相棒と遠くはなれているのに、それでもこんなに続いているのも縁かもしれん。さらにこの先どうなるのかなんて、正直わからんけど、とにかくえっちゃんは今、幸せだ。おとうさんおかあさん、どうもありがとう。お友達になれたみんな、どうもありがとう。相棒にはとにかくありがとう。そしてそして、こんなに素敵な出会いの場所を作ってくれたぱたさんに、心からどうもありがとう。

ぱたさん、ぱたさんは物凄く素晴らしいことをしてくれているのだぞ。これは天皇からもらえる勲章やそこらへんにある色んな賞なんかよりももっともっと価値ある尊いことらしいぞ、えっちゃんは物凄くそう強く感じるぞ。独り言とも呟きともとれるほどの小さな声で、周りの人がまだ眠っている中、えっちゃんは一人感動する(ロマンチストだから♪...否、関係ないか?)。

昔、友達が日本語を勉強している時にふと私に漏らしたことがある。

「ボクはネ、『ガンバル』という意味がよくわからなかったね、でもある人から『ガンバロウ』って言われて意味を聞いたら『一緒に努力しよう』ということだ、とおそわったね。ダカラボクは『ガンバロウ』という言葉がそのときにわかって、そして好きだね。そして『ガンバル』は自分だけのことだからキライダネ。だからボクハいつも『ガンバロウ』と言うことにしているよ」うーん、ソウダネ、いい解釈ダネ、と当時は頭を撫でてやったくらいだったけど、今はあの時の彼の言葉が物凄くよくわかる。

楽しかったし、たくさんのことを教えてもらったなー...と過ぎ去った思い出を何度も何度も繰り返し確認するえっちゃんを乗せたバスが、とうとう停留所に到着。すでに筋肉痛を感じつつバスを降り、家に電話する。が、まだ寝ているようで留守電に切り替わり、「えりこです、今着いたので、お風呂沸かしといてください」とだけ伝言し、とにかく物凄い疲れを感じたので、こんどはタクシーを探す旅を始めなければならない(田舎は、これだから嫌ねぇ)えっちゃんだったのでした。

おわり  




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