ニュースレター

第2号 1997.3


ニュースレター第2号遅くなってすみません。
今年はいろいろタイの村を訪問しました。とてもいい勉強になりました。

タイでは環境問題を考えている人たちが少しづつ増えていますが、まだまだ問 題に対して情報や一般の人の意識は遅れています。ネットワークはほとんどあり ませんし、安全な製品を生産しても、自分たちの流通のルートもまだまだありま せん。今までNGOのプロジェクトでやっていましたが、外国からの援助も少な くなって、いくらいいプロジェクトでもやめざるを得ません。タイのNGOは外 国からの援助をもらいなれてきましたので、プロジェクトがないと自分の経済が 苦しいので別の仕事をやることも少なくない。そうすると国内で自立する力は育 ってきません。いくら立派な木に見えても、根元が弱いと倒れてしまいます。現 在のタイのNGOの問題です。

最近自分の両足を使って立ちたいNGOが増えています。つまり民芸品や織物 などを開発して村の経済を助けます。村の経済の自立と豊かさのために、2年間 、守ろう地球とNGOと村で組んで民芸品や織物などの開発の仕方を指導してき ました。おかげさまでよく売れています。タイの村やNGOなどとても喜んで、 自立の援助となり経済問題などかなり解決するようになりました。でも守ろう地 球にとってよく考えてみると、このまま続けると本当に村のためにいいことでし ょうか。

つまり民芸品や織物に対して、
@織物はタイの村でお母さんやおばあさんなどが伝統的に続けています。田ん ぼから帰って余った時間で織ります。昔は売り物にせず大事にして、娘の嫁入り 道具にとっておきました。今は、貧困問題に対する経済援助として、とくに東北 タイの干ばつのとき織物は大事な収入源です。織物や民芸品などが広がれば、自 立生活のための活動が広がります。最近国内より外国向けの輸出が活発になりま した。大量生産してたくさん売るほど豊かになります。



しかしよく考えてみると、タイでは織物や民芸品は日本のように美術品ではな く、生活のために必要な品です。当然安く買えるので、高く売って、とくに外国 にもっと売って、もうかっているのは流通の人です。もうひとつ、手作りなので 大量生産できません。1個1個作る労働時間を考えてみると、ねないで一生けんめ いに外国向けに大量輸出するために作っている村人の生活は、私たちが村を豊か にすることと矛盾しています。 これから問題になるのではないでしょうか。

こう考えながら、守ろう地球はただ買いつけるのでなく、村と組合を作りまし た。外国の市場にたよるより国内の市場中心にして、伝統文化に若者を育てない といけません。タイ人の意識も、外国製品より国内品を買う運動をしなければな りません。守ろう地球の指導も1個1個やらせるより、村といっしょに考えて作り ます。そして利益も分け合います。 こういうシステムがいいかはわかりません 。ただ彼らは農業をやめて日本向けに体をこわすまでがんばって作ります。村に とっていいことではありません。

Aタイは農業の国なので農業は重要です。土の問題で、作物がなかなか栽培で きないのでみんな農業をやめて民芸品を作るのは大間違いと思います。土をよく する研究をしなければなりません。私の知っている村では前に民芸品を作って、 野菜は市場で農薬野菜を買って食べます。何のために、日本のためにいいもの( 民芸品)を作って、自分たちは悪いものを食べるのでしょう。いま村は自分で野 菜を栽培して食べています。

今年、民芸品中心より、村の無農薬農業のために新しい品物を作りました。カ レーペーストとチリペーストです。できるまでに1年間かかりました。まわりか らよくいわれました。無農薬材料を使うのはむずかしいですよ。1年間菜食仏教 団体から玄米ビーフンを限定量輸入してとてもいい勉強になりました。食べ物は 民芸品よりむずかしいです。本当の無農薬の厳しい基準で食べ物を作りたいけど 村の技術や機械のお金もないし、作ってすぐ送っても日本まで時間がかかるので 、無添加なのでコクゾウ虫が出ています。日本でいくら意識がかわってもかなり むずかしいです。

こういう問題があったのでやり方を変えました。袋詰めのことは工場と契約し て、村は無農薬栽培だけやることにして、カレーペーストとチリペーストが生ま れました。タイに無農薬大豆がたくさんあるので、肉のかわりに使う新しい発想 です。そして村ばかりに環境を意識してもらうのでなく、工場や企業にも意識し てもらいます。

いまタイ国内でも自然のお店がふえています。本物がどうかの基準がまだ甘い です。せっかくいいものをもっても中途半端になってとてももったいないです。 これからタイの人々に環境意識を考えさせます。守ろう地球は夢をどんどん実現 しています。

私は守ろう地球を始めたとき、うそをつかないで、できるだけ安価で本物の天 然材料を使いたいと思いました。私はタイのバンコクで自然のお店(ほとんどN GOがやっています。外国の援助がなくなったので自然食品や薬草や薬などを売 っています)を走ってまわりました。自然食品店はタイでまだ2、3年前に始ま ったばかりなので、かなり高いです。つまり一般の市場の何倍もします。そして 一般の意識がまだまだ低いです。経営も非常に苦しいです。そして彼らはNGO の援助でながく育ってきたのでビジネスがへたです。マーケティングやお客さん の調査はほとんどありません。値段の決めかたもかなり高いです。

村の方はどうでしょう。私も本で紹介されていた、いろいろないいプロジェク トの村を見てまわりました。本と実際はかなり違います。みんなプロジェクトし かやらないので、プロジェクトがないともうだめです。たとえば今年トウガラシ が高いから種をまくけど、お世話の仕方がわからないので、最後まで育てた人は ほとんどいません。有機栽培の市場ははっきりしないし、タイの村は有機栽培よ り経営中心なので、結局農薬かけたほが安定だと思って
る村も少なくない。

そしてタイのNGOがやってる自然食品をいくつか、守ろう地球が日本で売っ てくれないかといわれました。守ろう地球は売ってあげたいけど商品を選ぶ基準 はきびしいです。口よりまず目で見る。そして仕様書を書いてもらう。タイの自 然食品をいくつか見ました。とてもいい品物ですがやはりまだ中途半端です。た とえばカレーペーストでも、無添加ですが材料は市場で買った農薬野菜を使いま す。また薬草シャンプーでも、成分を見ると界面活性剤を使います。せっかくい いもの作ったのに中途半端になってしまう。私はよく聞きました。「どうして薬 草シャンプーに香料や色をつけるのですか。」 「タイ人は色や香りが好きだか ら、入れないと売れません。経済的にやっていけません。もし日本向けに輸出す るときは入れないでやってあげます。」 やはり守ろう地球と考え方が違います 。本物のいいものを作るときはお客さんにたよるより、お客さんに教えてあげな ければなりません。日本のためにいいものを作っても、タイの川が汚染すると私 はつらいです。

今回新しく開発してタイで初めて農家と工場と契約してカレーぺーストを作り ました。本物をあつかう守ろう地球はいいモデルになりたいと思います。でも実 際的に大変だと思います。無農薬栽培の農家まだ少ないし、国内市場がはっきり しないとなかなか増えません。だから無農薬の材料を使うと一般の市場の7倍く らい高くなり、採算が合わないです。だから小さい工場でやりたい所はなかなか いないです。

今回カレーぺーストの材料はまだまだ高級品を使っています。ブームで作って もらうより無農薬でがんばっているタイの村に希望を与えたいと思います。1個480 円で採算は合わないかも知れません。もしみんなどんどん無農薬を作れば材料 少し安くなるかも知れません。がんばります。

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