ロサンゼルスで生きる

1996104日私はロサンゼルス国際空港(通称LAX)に着いた.時差と睡眠不足とでふらふらになりながら,とりあえずホテルまでここから1人で行かなければならない.LAXは巨大だ.ターミナルが8つもあって何がなんだかさっぱりわからない.タクシーに乗るのが一番簡単だが,不当な料金を取られることが良くあるのでパス.シャトルバスという乗り合いバスに乗ることにした.乗り場のおじさんに行き先を告げると,車を手配してくれた.free way(日本で言う高速道路.ただし無料)を通ってWestwood地区にある予約済みのホテルへ.それにしても車が多い.free wayも蜘蛛の巣のようにはりめぐらせれているという感じ.まずculture shockをここで感じる.その日は研究所の教授と会ってこれからの仕事について簡単に話をして,夕方は隣の研究室にいるT先生に食事に連れていって頂く.夕食はMongolian restaurantでBBQ(北海道で言うジンギスカン)を食べた.T先生にはこれから様々なhelpを頂くこととなる.


    
社会保障番号の申請 銀行口座を開く ガス 運転免許 引っ越し コンピューター preschool 交通事故 帰国
家捜し アパートの契約 ケーブルテレビ 電化製品 車の故障 インターネット ホームレス 税金
電話 車の購入 家具の購入 電話会社のtrouble AAA Kelly Blue Book Receiptの重要性 Smog check
保険 水道,電気 在留届の提出 Moving Sale 消費税 苦情の言い方 Tax Filing


社会保障番号 (social security number)の申請
social security numberとはもともと納税するときの手続きに必要な物だが,個人の身元確認(ID)として使われている.なにはさておきこれを申請しておかなければ銀行口座も 開けなければ,家を借りることもできない.もよりのofficeに出向いて,申請書に必要事項を書き込み,passport,IAP-66と一緒に提出する.申し込んでから1-2週で届くが,しばしば遅れるので,申請時にreceiptをもらっておくといい(これがあるとあとで問い合わせるときに楽だし,申請 済みの証明になるので,social security numberが届く前に銀行口座を開くときにもこれを見せればOK).receiptは自分からくれるように言わないと渡してくれないのできちんと言うこと(こ の国は,とにかく何でも自分から話して権利を主張しないと損をすることが多い ).

銀行口座を開く
saving accountchecking account2つを開設する.savingは普通口座で,今こちらでは利息が2%以上と数年前の日本と同じレベルである.checkingは小切手の引き落としに使う口座で,利息はなく自分の財布代わりとなるもの である.銀行に行き,これらの口座を開きたい旨話すと申請用紙を渡され,必要事項を書いたら終わりである.social security numberのことを聞かれたら,今applyしているというか,申請時にもらったreceiptを見せる.家族(配偶者)が後から渡米して,自分と共同名義(joint account)にする時はこの時に言っておく.そうすると後で家族が着いたらサインを登録 しに来るよう言われる(サインを登録しないと小切手が切れない).どちらの口座も最低額が決まっておりこれを下回ると手数料を取られるので要注意.小切手の申し込みもするが,でき上がるまでtemporary check使うように渡される.social security numberが決まったらすぐに銀行に知らせること.口座を開いたら日本から送金しても らうことになるが,電信扱いでは地域にもよるが3日間ほどで入金される.CITI Bankは海外旅行や海外長期赴任者にとって便利なサービスを提供している.日本で口 座を作っておくと,外国のATMからその日の交換レートで現地のお金を引き落とすことができる.手数料も少なreasonable.一日に50万円まで引き落とせるというのも魅力的.(アメリカでは安全のため,一日に300ドルまでしかATMから引き出せないことになっているが,CITI Bankのcash cardを使えば大抵のATM機から日本円で50万まで引き出せる).海外送金も電話一本で可能である.(ただし,その前に現地の銀行の口座番号を日本のCITI Bankに登録しなくてはいけないので渡米後すぐに送金するというのは無理.登録は文書に銀行名や口座番号を書き入れて,印鑑またはサインをして送り返さなければいけない).

家捜し
さて翌日より家捜しである.T先生がつき合ってくれて,大学周辺(Westwood,Brentwood地区)のアパートを探す.私は妻と子供が1人なので,one bed room(日本で言う1LDK)のアパートを探すことにする(もっと広い部屋の方がいいのだが,その分家賃も高いので我慢することにする).大学周辺は比較的安全で日本人も多く住んでおり,妻や子供も早くこちらの生活に慣れるだろうと考え,なんとかここで見つけることにする.家捜しの基準は個人で異なるが,まず安全な地域というのが大前提である.子供がいれば近くに遊べる公園があるかというのもポイント.学校に行くような子供がいれば,その地域の学区が良い学校かどうかと言うのも重要(学校は地域により施設そのものも極端に違うし,働いている先生の能力や質も異なるらしい.いじめを放置したりといった問題がこちらでもたくさんある).あとは家賃との折り合いである.こちらのアパートは大抵冷蔵庫,電子レンジ,食器洗い機,ガス台,グリルなどは備え付けられている.さらにプールもかなりのところで利用可能である.駐車場はone bed roomで1台分,two bed room以上では2台分が用意される.しかし室内照明は少なく,あとで自分で買い足す必要がある.探し方は新聞広告を見て電話をしてみるか,実際にその地域を歩いてアパートの前の看板にVacancy(空き部屋あり)のサインを探す.そしてマネージャとコンタクトをとって部屋を見せてもらい,値段の交渉をするというながれである.あるいは不動産屋にお願いして情報を提供してもらい,自分で部屋を見に行くということもできる(手数料はかからないことが多い).時期的に10月は部屋の空きが少なく,物件は少なくかなりの面で妥協せざるを得なかった.選んだところは職場から1.5マイル程のところで,近くに大きな公園があり,スーパーまで歩いていくことがてきる.プール,Jacuzzi(露天風呂みたいなもの?),トレーニングジム,サウナもついているが家賃は1300ドル!である.高い.他にも色々見たがどうもここ以上の物はなく決めることにする(10/8).ここWestwoodSanta Monica beachまで車で10分,自分の足で走っても40分,LAXまで15分,Down townまでも車で20分と便利な場所にある.

アパートの契約
家主と賃貸者との取り決めについて,詳細に示された契約書を全て確認して納得してからサインすべきなのは言うまでもない.日本の礼金に匹敵する物はないが,敷金に匹敵するdepositが家賃の1月分請求される.各地域によりdepositの上限が決められているようで,私の地区は2月分以上のdepositは請求できないとのこと.3月以上のdepositを請求されることがあれば問い合わせた方がよい.depositは引っ越しの時基本的に返してもらえるが,自分が住んだことにより部屋が傷ついて修繕が必要だった場合は実費として差し引かれる.このため,これから住む部屋の壁のどこに傷があるかなどにつき,マネージャーと一緒に確認しておくことになっている.これをしておかないと引っ越すときに変な言いがかりをつけられて,自分の身に覚えをないような修繕費を請求されることがある.契約は半年か1年単位が多いが,場合によっては1月単位の契約もできる(良心的なアパート会社).短期間ほど家賃が高くなる.私は6カ月で契約をした(1年契約でも家賃は同じ).契約の時に銀行の残高証明が必要あった.またtemporary checkは支払いできないと言われ,cashier checkを銀行で購入し支払いを済ませた.

電話
アパートの契約の時に,utility(電気,水道,ガス,電気,ゴミの処理など)の手配について説明されるが, それに従って敷設の手続きをする.電話はlocal calldistant callの会社を別々に契約する必要がある.local callの会社は各地域によって指定されている.まず最寄りのlocal callの営業所(私の地域はGTEという会社)に行き,新規契約したい旨を告げると,formに必要事項を書くよう告げられる.そのあとここからGTEの別のofficeに電話をして,電話番号や契約内容を確認するが,色々なことを聞かれるので英語がかなりできる人に代行してもらった方が良い(ちなみに私は自分でしました).聞かれる内容は,名前,住所,勤務先,社会保障番号,銀行の口座番号, ここまではよいが,これからは様々な電話回線のoptionの有無を聞かれる.言葉巧みに勧められるが,全てNoと言っておいた方が無難.電話帳に名前を載せるかどうか聞かれるが,載せないと言うと逆に特別料金を請求される.名前を載せるときは,名前をinitialに名字をローマ字にするよう伝えた方がよい(いたずら電話の防止.料金はかからない).さらにlocal callはflat rateにするか(unlimited),かけた分だけ電話代を請求されるようにするか聞かれる.これは一番重要.unlimitedは半径15マイル以内のlocal callであれば基本料金だけで,何時間かけても無料という契約の仕方でこちらで一般的である.internetを利用するなら絶対こちらである.基本料金は1月20ドルちょっとと安い.最後に長距離電話(distant call)会社をどこにするかを聞かれる.大手はAT&T,MCI, Sprintの3社だが他にもたくさんの会社が参入しており,値下げ競争はすさまじい. 大手も日本への接続に24時間いつでも特別料金で応じるキャンペーンしているが,期間が6カ月など限られているところが多い.私ははじめ大手と契約してキャンペーンの申し込みをして,6カ月日本まで1分間39セントという低料金で利用していた.その後キャンペーンが終了すると倍近い値段になるので,当時一番安い料金で接続していたマイナーな会社と契約して,今度は1分間30セントで最低2年このレートを保証してくれることになった.安いと回線品質が心配されるが,実用上全く問題ないので気に入っている.

電話会社のtrouble
アメリカの競争経済は消費者に利益をもたらすことが多いが,行き過ぎが招く弊害も多い.最近長距離電話会社の顧客獲得競争が激化している.それに伴い契約会社が自分の知らない間に勝手に変更されて,高い料金を請求されるという事件が頻繁に起きている(Telephone Slamming).長距離電話会社の変更はlocal callの会社に変更する旨を告げるだけ良いので,電話の持ち主でなくても簡単にできてしまう.一応local callの電話会社は本人に変更の確認を原則的に取ってから,手続きを始めることになっているが,この辺は徹底されていない.だから長距離電話会社のほうから勝手に顧客の電話を変更することができてしまう.もしこんな事件に巻き込まれたら,電話会社に強硬に抗議をして自分の正当性を主張しよう.苦情を受け付ける公共機関もある(Federal Communications Commission ).私は大手の電話会社からマイナーな会社に変えたが,それから半年以上経 っても,前の会社からどうして会社を変更したかについてしつこく聞かれている.さらにとどめは,もしswitch backしてくれるなら,100ドルの小切手を送るという勧誘さえ来ている.日本に帰国する直前にswitch backして100ドルもらってやろうかとも思っている.1人の顧客を失うことが会社にとってどれだけ重要なことかを垣間見たような気がする.

車の購入
ロサンジェルスは車がなければ生活するのが難しい社会になっている.広大な都市空間にたくさんの高速道路が走っていて,もちろん料金はただである.買い物に行くにも車は必須だ.カリフォルニアは特に日本車が多い.こちらに住んでいる人も口をそろえて日本車がいいと勧めてくれる.日本人にとっては嬉しいことである.私は94年式トヨタカローラDXを中古(走行距離37000マイル)で14000ドル程で購入した.日本からすると中古車の値段はとても高く感じるが,売るときも高く売れる.ところが買って3週後に自宅から50マイル程離れたところで突然道路の真ん中で動かなくなってまった.原因はバッテリーの摩耗とアルタネータの故障だったが,牽引されて近くのトヨタで修理する羽目になった.当然保証が効くと思ったが効かず,おまけに料金を通常の倍ほどの600ドルも請求された.−こんな私の体験から言うと,やはり新車それも故障の少ない日本車を勧める.ロスには日系のdealerもたくさんあり,交渉の時も言葉の心配はいらないことが多い.ただし保証についてはきちんと確認しておくこと.カローラやアコードなら新車でも20000ドルと少しで手に入いる.私のようにお金のない人はやはり中古車ということになるが,結局は整備費や修理費にかなりの出費を覚悟しなければならない.車を買うとその時にdealerから仮の登録票が渡され,それをフロントグラスの内側に貼る.これがないと盗難車両と見なされるので要注意.あとでDMV(department of motor vehicle;車両管理局)という機関から正式のものが送られてくるので,それがきたら 仮の登録票は不要.新車の場合はナンバープレートが送られてくるので,自分で 車に取り付ける.登録票はコピーを車の中に入れておく.また後にピンクスリップと呼ばれるownershipの証明書も送られてくるが,これは売却や登録の時に必要になる重要書類で, 車に入れずに大切に家で保管しておく.登録は毎年,各々の車でその時期が決められているので,遅れないように手続きを済ませる.この時新しい登録票と登録を表すステッカーをもらう.ステッカーはナンバープレートの所定の場所に貼っておく.登録料は車によって異なり,私の車は240ドル程であった.車を個人から買う手もある.dealerより安く買えるが,さらに故障のriskが伴う.値段はblue book という車種年式によって車のおおよその見積もりが載っている本を参考に,妥当な値段かどうかを確認してから交渉すること.この本は図書館や銀行などにある.

注意1
後で話すようにカリフォルニアでは車を運転するときに保険に加入していなけ ればならない(liability;対物,対人保険のみ).つまり車を買って自分の家に乗って帰る時には保険をかけていないと違法である.しかしdealerはcollision(車両保険)をかけないと車を引き渡せないと口をそろえて言う.collisionさえかけてあればOKというので,顧客はそれを信じてしまうが(特に良く仕組みがわからない日本人)これは違法である.法律ではcollisionの義務はない.必要なのはliabilityである.車には保険の証書を必ずいれておくこと.

注意2
とにかくこちらのdealerは即日車を販売して,客に車を運転させて帰らせることを第一に考えて話を仕 掛けてくる.顧客を他の店にとられたくないために,とにかくこの場で売ってしいたいわけだ.また値段の交渉も店頭にあるこの車が欲しいと言わなければ,具体的な話に入れない.つまり,客が一応買う意志を少しでも示さなければ,自分の腹のうちは見せないのである.一応見積もりを出させて何度か交渉して値段を下げさせるが,とにかくいくらにすれば今日車を持って帰るかと聞いてくるので,一日目は交渉を決裂させるつもりで値引きを希望した方がよい.そしてその値段を念頭に,他の店に行って交渉するのが賢いやり方である.ねばれば必ずdiscountに応じる.

注意3
車の登録時期は各車で決まっている.たとえば私の車は2月である.これはたとえば12月にこの車を購入したとすると,3カ月後に再び登録料を支払わなければならないということである.中古車の購入時には注意.(新車は購入時が新規登録になる)

注意4
個人売買の場合は,とにかくきちんと全てを確認した方がよい.前オーナーが登録料を長年払っていなく,その車を買った新しいオーナーが,滞納分を支払わされたなどと言う話もある.さらに登録の時は排気ガス検査を受けて,基準に合格しないと登録できない仕組みになっている.

保険
カリフォルニアでは全てのドライバーに最低の対人(bodily injury liability: $15000 per person, $30000 per accident)と対物(property damage liability: $5000)保険加入を義務づけている.ところが法律通り保険に加入している人は60%程である.保険の保証金額が低いが,保険料は特に我々留学で来ている者に対してはべらぼうに高い.アメリカの運転記録のない人は不慣れと見なされるからである.私はAIUという保険会社を通じてこちらの保険に加入したが,これを使うと割引がある.私はbodily injury liability: $15000 per person, $30000 per accidentの他にoptionとしてproperty damage liability: $25000, medical payments(事故時の自分の医療保険): $5000, uninsured motorist coverage(事故の相手が無保険の場合に自分の医療費を払ってくれる): $50000/$100000 per person/accident,collision(車両保険)deductible $250(最高負担額250ドル)を購入した.もともと私は日本出国の前にAIUの海外赴任者総合保険というものにはいっていたので,対人保険はさらに日本円で2億まで保証されている.こちらにも補償額の高い保険はあるが,その分保険料も高い.留学生はこの最低限の保険だけで運転している人がかなりいる.事故を起こして死亡事故となれば,その処理に大変苦慮するだろう.AIUの保険は非常に有用で,健康保険,火災保険や事故など総合的な保証をしてくれて,おまけに保険料もreasonableである.健康保険もこちらの保険では受診できる病院が指定されることが多いのだが,この保険は基本的にどこの病院でもOKで,24時間緊急時に日本語で病院の紹介もしてくれる.病院に行くと保険証を見せるだけで支払いはしなくとも良く,薬代は自分で立て替え,あとで請求すれば払い戻しされる.家族の誰かが事故や病気のため,日本から救援を頼むとき,その旅費も支給される.保険加入の手続きは日本でしかできないので注意.

水道,電気
これらはDWP(department of water power)という市の施設がサービスを提供している.指定されたところに電話してサービスを受ける.depositとして200ドル程とられた.水道は家賃に含まれていた.電気代は2カ月で60ドル程度である.水は特に南カリフォルニアでは雨がほとんど降らないため,何百キロも離れた水源から引いてきているのだが,こちらの人は節水という概念がない.事故か何かで消火栓が壊れて大量の水が流れ出し道路が水没していることが良くあるし,庭に水をまき終わっても止めずに流しっぱなしにしていることが良くある.またロサンゼルスしないは緑が多いが,この緑を保つために毎日スプリンクラーで大量の水を散布している.

ガス
指定のガス会社に電話して契約する.depositが20ドル程度で,料金は1月10ドル以下である.

ケーブルテレビ
アンテナを介してテレビが見られるところは,特に無理をして加入する必要も ない.家ではbasic serviceに加入しているが50CHほど見られて,月30ドル程である.日本の放送はフジTV系の放送が毎朝6時から一時間ほどあり,週末にはドラマ等が3時間ほど放送されている.衛星アンテナを介して,NHKの衛星放送を見ることもできる(月50ドル程,初期費を除く).

家具の購入
もともと引っ越しの回数が多かった私は家具というものをほとんど持っていなかった.こちらのアパートは収納スペースがとても多く,本棚などは買う必要がなかった.洋服入れも棚がたくさんあったのでそこに積み上げている.洗濯機と乾燥機は共同で使用できるものが大抵のアパートで備え付けられてる(もちろん使用するときは実費を払う.洗濯は一回75セントから1ドル25セント,乾燥機は50セント程度).結局買ったものはテレビ(19インチ)with VCR(260ドル),テレビ台(75ドル),室内照明2個(一つ30ドル),パソコンラック(60ドル),テーブル(15ドル−知人から),fax(170ドル),Futon mat(80ドル程のものを3組),掛け布団,毛布(3 組で100ドルほど),冷蔵庫(私のアパートでは冷蔵庫は自分持ち.知人から150 ドルで購入)ぐらいのものだった.引っ越し慣れした人間は,ものを増やさないと言う鉄則を良く知っている.布団はFuton matとして簡単に手に入る.ただし日本の物とは品物が違う.しかし快適である.家具に凝る人はこちらに来てから色々な店で探してみるといい.値段は恐ろしく安い家具屋もあれば,antique専門の店もある.レンタルで済ますという手もある.帰国の時楽.

在留届の提出
アメリカに3カ月以上滞在する人は速やかに日本領事館に在留届の提出を行わなければいけない.Down Townの在ロサンゼルス日本国総領事館に出向いて,所定の用紙をもらってくる.もちろんその場で必要事項を記入して提出しても良いし後で郵送も可.

運転免許
ロサンジェルスに住んで車を運転する場合は場合は,速やかにカリフォルニア州が発行する運転免許証を取得する必要がある.国際免許証でも運転はできるが, こちらの免許証はIDとしての役割があるため,取得しないと大変不便である.つまりこれがないと小切手を切ることができなかったりする.買い物するにも大変不便である.(IDとしてパスポートがあるがいつも持ち歩くにはめんどうである.)免許証はパスポートを持参してDMV(車両管理局)に行き申込用紙に記入し,12ドル払えばその場で筆記試験を受けさせてくれる.試験は○×式で日本語で受けることもできる.合格すると一年間有効の仮免許証が発行されて,一年以内に実技試験を受験する.実技試験には予約が必要.こちらは2回まで不合格でも3回目で合格すれば受験料不要.試験で使用する車は自分で用意するが,自動車保険の証明書を必ず持参すること(レンタカーでも可).試験官と二人で車に乗り右折,左折,駐車,高速道路など基本的な運転技術をチェックされる.合格するとその場で写真を撮られて仮免許証が発行される.アメリカ市民だと4-6週で免許証が送られてくるが,そうでない場合滞在の合法性が調べられるため一般に時間がかかる.これは不法移民で悩むカリフォルニア州がその阻止のために行っているシステムだが,実際のところきちんとvisaの交付を受けて入国していることが試験の申し込み時に確認されているのに,もう一度その合法性を確認するというのは良くわからないシステムである.単なる外国人に対する差別との批判もある.私は2カ月半でやっと交付されたが,妻は4カ月以上かかった.何度もDMVに電話したがらちがあかなかったので,サクラメントのmain officeに苦情の電話をしたら,パスポートやIAP-66などをfaxしてくれと言われ,それから程なく交付された.
免許の交付が遅れている時に確認すること
最近こちらに来た邦人が,運転免許試験に合格しても,その交付が異常に遅れる例を多く聞くようになった.DMVからサクラメントのofficeにきちんと書類が行っていなかったり,写真の写りが悪くて本人と確認できないためにそのままになっていたりと原因はたくさん考えられる.6週経っても免許がこなければ,サクラメントのofficeに電話して何が問題か確認した方がよい.また運転免許試験の時に提出した出入国カード(I-94)が免許の交付手続きの時のものと異なれば(つまり試験に合格してから,米国を出国してまたこちらに帰ってきた場合は,I-94が新しくなってしまう),移民局で本人と確認できなくなり,そのまま放って置かれてしまう.こんな時もサクラメントのofficeに電話して事情を話し,新しいI-94を送るなどの対応をとらなければ,免許証は永遠に手に入らないだろう.ご注意.

電化製品
アメリカは電圧が115Vと日本の100Vと比べると少し高い.日本の電化製品をこちらで使用するための変圧器も売っている.私はコンピュータ,モニター,プリンター,電気炊飯器,ドライヤーなどをこちらに持ってきて使っているが問題ない.TVは周波数が日本と違うので,VCRのモニターとして使う場合の他は使用できない.VCRは日本と同じ方式なのでそのまま使用可能.TVは1994年以降の製品にはcaptionといって,英語の字幕が番組によって利用できる機能が付いている.hearing能力のない人が英語の番組を理解するのに有用.

引っ越し
まず新しい家捜しから始める.新聞や,自分の足で歩いてマネージャーから話を聞いたりしてももちろんいいが,私はUCLAのhome pageに大学が管理しているアパートを見つけた.とにかく今のアパートの家賃が高いので,安いところに引っ越したかった.1997年4月でアパートの賃貸契約が切れ,以降月単位の契約になったので,引っ越す1ヶ月前にアパートのマネージャーにその旨を伝えれば引っ越しできるようになっていた.大学のアパートは家賃がone bedで705ドル,two bedで755ドルで既婚の学生のみが入居できるアパートだった.さっそくアパートのmain officeに行って話を聞くと,今新しく建てているアパートの入居者を募集していて,今(4月)申し込んでもすでに300人が待っているとのこと.しかし,9月までには何とか入居できるのではとのことであった.その場で20ドルを払ってtwo bed roomのwaiting listに載せてもらった.また入居前までに,結婚証明書と子供の出生証明を提出するように言われた.(既婚者だけが入居可のアパートに入居するには,必ずそのことを証明する文書を要求される)これらの証明書は,日本から戸籍謄本を取り寄せて,領事館に提出して請求すれば10日ほどで発行してくれる(料金は12ドル程度).5月の終わりにマネージャーから電話があり,6/23以降,新築アパートに入居できるがどうかとの問い合わせがあったもちろん入居する意向を伝えて,最終結論は部屋を見せてもらってから決めると答えた.5/27に部屋を見せてもらい,気に入ったのでその場で契約した.
翌日,今のアパートのマネージャーに6月末日で引っ越すことを告げた.これは口頭ではだめで,きちんとその旨を文書にして提出すること.
引っ越す3週間前,郵便局にいって,住所変更の手続きを済ませた.できれば引っ越す30日前までに完了すると,郵便物の転送がスムーズに行くとのこと.
GTE(電話会社)に電話し,住所変更を告げると,新しい番号を教えられた.7/1からこの番号は使用できるようにした.
Gas会社に電話してサービスをキャンセルした.というのも新しいアパートはgas料金を大学側が支払ってくれるのであった.
DWPに電話して住所を変更する旨を伝え,7/1から電気が使えるようにした.(水道は同じく,大学が支払ってくれる)
ケーブルテレビ会社に電話して,サービスをキャンセルすることを伝えた.(ケーブルテレビの代金も大学持ち)
新アパートの契約は7/1からだが,マネージャーと交渉して,6/23に鍵をもらいその日から荷物を運び入れてもいいようにしてもらった.もともと家具はほとんどなかったので,自分車で全ての荷物は運べる.1週間かけて全ての荷物を運び終えた.家具がたくさんある人は,自分で引っ越しトラックを借りて荷物を運ぶのが安上がり.トラックは小さいものなら20ドル程度で借りられる.友達に助けを頼むか,私はやったことがないが,路上で仕事を探して立っている人(殆どはメキシコ人)と賃金の交渉をして手伝ってもらっても,引っ越し業者に頼むよりは遙かに安く上がる.7/1,前のアパートのマネージャーに鍵を返しに行き,2人で借りていた部屋の傷み具合を確認,ほとんど問題なくdepositはカーペットのクリーニング代などを除いて,返還されることになった.
新しいアパートは勤務先から5マイルと若干遠いが,内部環境は抜群である. 敷地は細長く3 blockにも及ぶ.周囲はフェンスで囲まれており,入居者以外は敷地内に侵入できない.子供の遊び場が3カ所ほどあり,他にコミュニティルーム,プール,ハーフコートのバスケットコート,コンピューターラボなどがある.子供は敷地内で安全に遊べる.また全て既婚で,その殆どが子供を持っているので,生活時間が各家庭でほとんど同じで,独身学生が羽目を外して,酒を飲んで夜中に騒ぐと言うこともない.契約も月単位である.
注意:電話は長距離電話会社にも引っ越しに伴い電話番号が変わることを告げなければならない.これを伝えないと,長距離電話がこの先使用できなくなる.この変更手続きに,私の場合は2週間ほどかかると言われた.いわゆる大手の会社の場合だとこんなに長くは手続きはかからない.この2週間は日本はおろか,Down Townへも電話がかけられない.しかし,電話料金が安いのは魅力的なので,大手の会社にswitch backする気はない.また引っ越し先が新築だと,電話線敷設のため46ドル請求される.

車の故障
車はLAで生活する者にとって必需品である.こちらは車検がないため,車が故障してfree wayで停まっているのをよく見かける.砂漠地帯を運転していてtroubleが起こったら,救援が頼めなければ命に関わる.そのため普段から車の点検をしておくことが重要である.oil,oil filterの交換は自分でもできるが,店に頼んでも15ドル程度でやってくれる.エンジンの冷却システムの洗浄,クーラントの交換も40ドル程度で,タイヤを交換してもらえば,この時8ドルほど余分にお金を払えば,以後5000マイルごとにタイヤのローテーションもしてくれる.一般的に車の修理費は安い.ところが,旅先などで故障して牽引されて運ばれた場合は,しばしば法外の修理費を請求される.弱みにつけ込んで商売するというのが,こちらの商売の定番である.私はアルタネータとバッテリーの交換だけで600ドル以上請求された.ある人はタイヤがパンクしたので牽引してもらい,タイヤ交換を頼んだが,交換したときにねじ止めするボルトが折れたからと,法外な料金を請求された.これを避けるためには,日々の点検しかない.車の保証は2 種類あって,一つは販売店が独自につけているもので,もちろんこちらは故障を直すときには,買った店に車を持っていかないと保証が受けられない.これでは旅先の故障の時には,なんの足しにもならない.もう一つは車メーカーそのものが保証するもので,こちらは米国内にたくさんあるサービスセンターに車を持ち込めば保証が受けられる.自分の車の保証については日頃から良く確認しておくこと.自宅近くの信頼できる修理屋さんを見つけて,日頃から車のmaintenance について相談しておくのが最も良い.自分の家の近くで故障した場合は,この修理屋が休みの時は,自分のガレージまで牽引してもらい,店が開いてから再び牽引して持っていけばよい.そうでなければダイレクトに牽引して連れていってもらう.車の整備は時間とお金がかかるが,これを惜しめばあとで必ずしっぺ返しが来ると考えた方がよい.

AAA (American Automobile Association)
日本で言えばJAFにあたるサービスを提供する会社.車が故障したら,電話一 本でいつでも対処してくれる.一年間に4回までの緊急ロードサービスは無料.牽引も5マイル以内なら無料.それ以上は別料金を取られる.ツアーブックと呼ばれる各地域の旅行,観光情報が網羅された本や地図を無料でもらえるし,ホテルやレンタカーなどのdiscountサービスも受けられる.またDMVの代行サービスとして,車の名義変更や住所変更,運転免許の更新などもやってくれる.(DMVに行って長時間待たなくても済む)また,アメリカンエキスプレスのトラベラーズチェックも手数料なしで発行してくれる.クレジットカードタイプの車のスペアキーを無料で作ってくれ,これがあると鍵を車中に入れてドアをロックしてしまったとき救われる.値段は年会費60ドル程で,これに夫婦で登録する場合は15ドル程度追加される.車の故障が多い米国では,加入が必須である.

これがクレジットカード型のスペアキー.
ちなみにこれはドアを開けるときにしか使えません.

Moving Sale (Garage Sale, Yard Sale)
引っ越しで不要になったものは,売りに出して,また逆に必要になったものは,新品を買わずに安く中古品を手に入れる.こちらの人々の考え方である.物はきちんと機能さえすれば見栄えは二の次という考え方で,この辺が日本人と大きく異なる.不要品は自分で広告を作り,スーパーマーケットの掲示板や電柱,アートの掲示板などに張り出し,電話を待つ.あるいは日にちと場所をを指定して,不要品を売り出す(garage saleとかyard saleと呼ばれる).私も不要になった冷蔵庫を売りに出したところ,その日から3-4人の人から電話がかかってきて,瞬く間に売れてしまった.週末はあちらこちらでgarage saleが行われていて,覗いてみると面白い発見がある.壊れたkeyboardやDOS4.0の不法コピーディスクや使い古しの下着まで売っている.またそういう物が実際に売買される社会である.個人的に私は,この習慣はすばらしいと思う. 

コンピューター
こちらは家庭でのコンピューターの普及率が日本と比べ物にならないぐらい高い.しかし未だに386,486のプロセッサーが大活躍してるという状態である.アメリカ人は実際的だから,コンピューターが自分の目的を果たしてくれているうちは,決して買い換えようとはしない.考えてみれば,ワープロや表計算くらいしか使わないのであれば,DOSの386で十分なのである.ここ数年はCPUがGUIに力を取られているだけで,ソフトの機能が実際的に大きく進歩したなどとは考えられない.PCがシェアの殆どを占めるアメリカでは,Macを扱っている店を探すのがなかなかむずかしい.医学の分野でも,最近はMacでなければ使えないソフトも実際なくなってきた.値段は日本の方が安い.ソフト(もちろん英語版)はこちらの方が安い(ソフトの殆どは英語版からの日本語版への移植だから,日本のソフトが高いのは当たり前か).周辺機器も日本とあまり変わらない状況だが,MO(3.5インチ)は手に入らない.こちらはZipが最も普及している.しかし100MBという容量は半端だし,メディアの値段もMOよりかなり高い.PDは手にはいるし,JAZ,CD-Rも結構普及している.モニターはまだ15インチがよく売れており,日本のように家が狭いのに17インチという状況と異なる.おそらく解像度もVGAレベルで使っている人がほとんどなので,大きな物はいらないのだろう.メモリーも8MBでwindows 3.1という組み合わせがまだまだ多く,windows 95はよっぽど新しい物好きな人の他は使っていない.

インターネット
インターネットはこちらでは日本と比べ物にならないぐらい普及している.プロバイダーもたくさんあり,たくさんの選択枝から自分の目的にあった物を選ぶことができる.接続提供料は様々で,加盟費は無料から100ドル,月々の料金は,接続時間上限なしで20ドルから80ドル程度である.安いところは一般的に回線が混んでいて接続しずらい.AOL(最近日本にも進出した)もインターネットの接続を提供しているが,最近回線が会員数に見合うだけ十分用意されておらず,接続しにくい,このため会員から裁判を起こされている(十分な回線数が確保されるまで新しい会員の加盟をさせないというもの).日本人にとって,プロバイダーが日本語をサポートするかどうかが重要なことで,必ず確認すること.日本語が通らないこともあり,この場合日本人同士でe-mailをやりとりするときに,英語かローマ字でせざるをえない.初期加盟費が高いところでは,接続のset upを会社がしてくれることもある.アクセスポイントが自分の家に近く,local call areaにあることは必須.そうであれば,電話代は基本料金だけで良いので接続し放題.こちらはISDNはほとんど見ることがないが,56Kのサポートはかなり進んできている.

Kelly Blue Book
中古車や新車の実際の値段はdealerに行って実際に交渉してみなければわからない.また交渉も密室で行われ,同じ車でも自分の交渉次第で値段が大幅に異なる.車の現在の市場価格を知るためには,Kelly Blue Bookと呼ばれる車の査定価格が記載されている本を参照する必要がある.これはこれから新車,中古車を買う人にとって必須で,また自分の車を売るときにも,今現在の相場を知るのに重要である.しかしこの本は個人の手に入りにくく,閲覧するためには図書館等に行く必要がある.しかしKelly Blue Bookはインターネット上で情報を公開しており(kelly Blue Bookのhome page),車種,自分の住所,optionなどをチェックすると,値段を表示してくれる.もちろん中古車も年式,走行距離などを入力してやれば,値段を査定してくれ るので,今の自分の車の価値がわかる.

消費税
カリフォルニア州の消費税は8.25%である.日本と比べると高い.しかし,食料品にはこの税金は加算されないので,我が家のようにエンゲル係数が100%近い家庭では,ほとんど消費税を払わなくても済む.日本のように生きるために必須の食料品にも一律に消費税を課すことはしない.


ロサンゼルスでは蛇口からでる水は飲めない.正確には飲んでもかまわないのだが,飲む人はいないようだ.私は飲んだことがあるが,確かに変な味がして,飲み水には適していないようである.しかし下痢をすることもなかったから,衛生上悪いことはないと思うが.そこでこちらでは飲料水を100%購入することになる.さぞかしお金がかかるだろうと思われるかも知れないが,思いの外安く,1ガロン(約3.8L)25セントで,スーパーマーケットの自販機で購入できる(容器は自分で用意する必要があるが).水を運ぶのが重くて大変だという人には,宅配業者もいて,定期的に水を運んでくれる.

・preschool
日本の幼稚園や保育所にあたるものがpreschool.2歳から5歳までを対象としている.毎日午前中とか週に3日などのoptionがあって,選択できる.料金は所によって大きく異なり,終日毎日行くと月800ドルなんて所もある.家の子供の行くUCLAのpreschoolは,親が月に8時間仕事を手伝うことで週3日,午前中だけで250ドル程である.こちらは早くから子供を幼稚園に通わせるが,それは両親,共働きが多いせいである.大抵のpreschoolではapplyしてから数ヶ月,人気の高いところでは2年も入園に待たされる所がある.入園の時には医師の診断書が必要で,ワクチンの接種記録も必要.日本でのワクチンの接種記録を英訳してこちらに持ってくれば,小児科の先生がその通りに書き写して,こちらのimmunizationの記録書類を発行してくれる.こちらに特有のワクチンはHIB(Hemophilus Influenzae B)と呼ばれるもの.これは脳髄膜炎を起こす細菌で,preschool入学前には接種されていなければいけない.B型肝炎も小学校に入学までには接種を完了していなければいけない.ワクチンはどこの小児科でもうってくれるが,一回50ドル程お金がかかる.ところがロサンゼルスでは何軒か無料でやってくれるところがあり,私はそこに子供を連れていってやってもらった.健診にはツベルクリン反応が必須で,日本人は全て結核のimmunizationをしているのでこの検査は無意味だと説明しても聞いてくれなかった.ツベルクリン反応が陽性なら,胸部写真を撮らされることになる.これはあまり公にできることではないが,あらかじめ日本で子供にツベルクリン反応をやったことにしておいて,結果を陰性と記入した診断書を持参しておくと,こちらの小児科医はそれを信用してそのままimmunization記録に書き入れてくれるので,以後面倒なことにならず済むという.友達でこのような手を使って面倒なことを逃れている人がいる.(ただし,同様なことをやって問題が起こっても私は責任をとることができませんので.悪しからず.)

・ホームレス
街を歩いていると,たくさんのホームレスに出会う.彼らのなわばりはだいたい決まっているらしく,同じ頃同じ所に行くと,だいたい同じ人がそこにいる.ホームレスに多い人種は,黒人そして白人である.メキシカンやアジア系のホームレスは見たことがない.メキシカンはそれまで黒人が請け負っていた,低賃金の仕事を奪ってしまった.彼らは他の民族がしないような見返りの少ない仕事をどんどんすることで勢力を伸ばしてきた.またそのことによってカリフォルニアの経済が支えられていると言っても過言ではないだろう.そのために黒人のホームレスが増えてきたとも言える.(近年カリフォルニア州はメキシコからの不法移民の流入を厳しく取り締まっているが,このような現実をどう評価しているのだろうか?)彼らの寝るところは,店の軒下や,橋の下,バス停のベンチなどである.捨てられたソファを持ってきてそこに自分のbedを作って寝ている人もいる.生きていくためには食べ物を得なければいけないわけだが,それを得るのに道ばたでお金をねだる人,あるいは全く何もしゃべらずに,パン屋の前で前日の売れ残りが捨てられるのを待っている人,路上に立って車が信号で停まったときにお金をねだる人,車の窓を拭いてそのあとお金をねだる人などがいる.食物やお金を得たら,スーパーマーケットのカートに自分の物を詰め込んで,自分のねぐらに帰っていく.一般的にこちらのホームレスは外見上は栄養状態が良さそうに見える.こちらの食べ物はハンバーガーなどカロリーが高いものが多いのでそのせいかもしれない.日本と異なり生活保護の制度などないので,ホームレスの救済はもっぱらボランティアに委ねられている.実際こちらの人はホームレスにお金を良く恵んでいる.キリスト教の精神がそうさせているのかも知れない.カリフォルニアは気候が一年中温暖で,雨もほとんど降らないので,彼らにとっては住み易いのかもしれない.先日家の近くで20代の白人のホームレスに出会ったが,彼は猫を連れていた.猫を養っていけるのだろうか?また紙に自分は79歳でホームレスだと書いて物乞いをしている老人もいた.なんとか国として救済できないものなのだろうか?

・Receiptの重要性
この国で買い物をしたときにもらうreceiptは特に重要な意味を持つ.商品に不良があって返品するときには必須であることは言うに及ばず,買い物したものを持って店の出口から帰るときに,店の警備員にreceiptの提示を要求されることがある.この時これをなくしていると,troubleの原因になる(つまり万引きしたと解釈されるわけである).その他,商品によっては,rebateといって,あとで商品の箱などに付いているシールと一緒にreceiptを送ると,cush backしてくれるものもある.さらにコンピューターのソフトやハードのupgradeにも場合によっては,receiptが必要になることがある.receiptをきちんと保管しておかないと,ひどい目にあうので注意.私は最近以前契約していたケーブルテレビ会社とのあいだにtroubleを抱えている.契約を解除するとき,リモートコントローラーとアダプター(こちらではboxという)もきちんと返還したが,何度もまだ返還していないので返すように,あるいは弁償として50ドル支払うようにという督促状が届いている.そのたびごとに自分はリモートコントローラーとアダプターをきちんと返還して,この時のreceiptも持っていると電話でclaimをつけて,逆に契約の時に払ったdepositを返還するように抗議している.きちんとreceiptを保管していたのでこちらからも強く反論できるわけで,receiptを紛失していたとしたら,責任はすべて会社側にあるにもかかわらずdepositの返還どころか,逆に50ドルも余分に支払うことになりそうであった.自分の身を守るためにもreceiptの保管はお忘れなく.

・苦情の言い方
基本的にアメリカという国は権利を自分で主張していかないと何も得ることができないと考えておいた方がいい.ようするに正統的な権利はきちんと主張すべきである.公共機関は言うに及ばず,多くの会社でも仕事は実に安易で顧客とのtroubleがたくさん起こるのである.電話口で対応する顧客サービス担当係は実にその場しのぎの対応をすることが多い.agentによって,電話口で全く異なる対応をすることもよくあり,翻弄されることもしばしばある.これをさけるためのpointは,まずはagentの名前を聞いておくことである.こうしておけば,agentも変な対応はできないし,この次別なagentと話しをしても,前のagentの名前を出してきちんと話を続けることができる.もう一つは末端のagentと話してもだめと思ったら,すぐにsuperviserと話をさせろと言うことである.とにかく責任者と直に話をするのが一番よい.superviserの名前も聞いておく.どうしても向こうがきちんと対応してくれなかったら,逆に自分が日本人であることを利用してやろう.アメリカ人は人種差別ということに対して非常にナーバスになっている(人種差別を克服するよう努力してきた,アメリカの歴史は非常に評価できる.日本のある政治家は,日本は単一民族国家なので人種差別がないとアメリカを非難したが,それは大きな間違いで,日本は単一民族ではないし,そのこともわかっていないのだから,差別に対する認識など皆無だろう.差別は確かに悪いが,その存在を認めて,それを少しでもなくすように努力してきたアメリカという国は健全だと思う).つまりここを利用するのである.クレームをつけるときに,このtroubleは私が日本人だから起こったのではないか?それは人種差別ではないのかと言うのである.実際免許証の発行が日本人を含めた外国人に対して,理由もなく遅れることが問題となっていて,私も妻も発行まで長時間かかった.この時の苦情に何度かこのフレーズを使ってうまくいったような気がする.

・交通事故
車社会であるロサンゼルスは交通事故が非常に多い.最近私も信号待ちで交差点の外で停止しているときに,後ろから追突された.けが人が出ればその救助にあたるのは言うまでもない.そして警察を呼ぶ.そんなに大きな事故ではなく,けが人も出なかったときは警察を呼ばないで処理する事もある.日本と異なり警察に届け出て事故証明をもらわなくても自動車保険を使うことができる.ただし相手の運転手と後に事故処理でトラブルにならないよう,警察に間に入ってもらって事実関係をはっきりさせておいた方が良い.事故の現場でお互いに名前,住所,車の登録票,免許証,保険会社名,保険番号を交換する.その後なるべく早い時期に,自分の保険会社に事故の報告をする.報告を受けた保険会社は,事故の担当者(adjuster)の名前,電話番号,claim No.を教えてくれる.今後の事故処理はすべてこの担当者に相談して行うことになる.adjusterに電話すると,車の障害を評価するために,見積もりの専門家を派遣してくれるか,あるいは自分で指定された車両工場に行って修理の金額の見積もりをしてもらう.事故報告をしてから何日以内に査定を受けるよう指定されることが多い.これが終わると自分の保険会社と相手側の保険会社が事故の免責比率について話し合い,妥当な保険額が支給される.だいたいこのような流れになる.私の場合は相手側に100%責任があったため,自分の保険は使わず,すべて相手側の保険でカバーしてもらった.車の損害は後部バンパーにほんの少し傷が付いただけで,遠くから見れば全くわからない程度のもの.もともとこの車は買ったときから,もっとひどい傷がバンパーに付いていた.日本でもこのくらいなら,相手がきちんと謝罪すれば自分は許しただろう.しかしアメリカ人の国民性か,相手の運転手は自分で責任を認めておきながら,私に対して一言も謝ることがなかった.そこで私はきちんと自分の権利を主張してやろうと思ったのである.彼の保険は車を直している期間のレンタカー代金もカバーするのだが,一日20ドルまでとのこと.相手側に何度かレンタカー代の不足分を出すように交渉していたが,修理工場に聞くと,バンパーの交換なので,一日で直るとのこと.一日で直るのなら差額を相手が負担しても良いと言わせるところまでこぎ着けた.事故から14日で,477ドルの小切手が保険会社から届いた.このお金は車を直すのに使用しても良いし,直さずに自分でもらっても良いとのこと.ボディーには買ったときから他にもたくさんの傷がある.バンパーを交換しても,売るときの評価はほとんど変わらないだろう.そう考えて,このお金は冬休みの旅行代金にすることにした.事故には遭遇したが,けが人もなく,ほとんど無傷なのに477ドルの臨時収入をもらったような気分である.なお,事故の損害額が500ドルを越えるときは免責の有無に関わらず,DMVに報告することが義務づけられている.

・税金
こちらで収入がある人は,例年4月の締め切りまでに確定申告をしなければいけない(税金の対象期間は1月から12月まで).所得税にはfederal taxとstate taxの2種類がある.日本人の研究者でJ1 visaでこちらに来ている人は,米国と日本の政府同士で税金控除の取り決めがあり,入国後2年間はfederal taxが免除される.しかし自動的に免除されるわけではなく,自分で職場のtax担当者にその旨を話し,所定の手続きを進めなければアメリカ人と同じレベルの税金が引かれる.手続きに必要な書類はForm8233, W4, Tax treaty statment-teacher or researcher Japan (Art.19)それから大学が発行するfederal tax statusと呼ばれる書類である.Formをfill outするのにさほど難しくはないが,不備があると税金の控除に失敗するので担当者に確認してから提出した方がよい.この手続きが完了すれば,federal taxは給料から天引きされなくなる.手続きが完了しない間は税金が引かれるが,これも確定申告の時にclaimすれば返還される.確定申告は申告用紙が郵便局や図書館にあるのでこれに書き込んで申告するか,税理士にその手続きの代理を頼んで行う(税理士の代行料は100ドルから50ドルほど).収入が規定の額に達しなければstate taxも返還される.

・Smog check
Smog Checkは車の排気ガスによる大気汚染が深刻化したため,ロサンゼルス市は排気ガスのcheckをドライバーに義務づけている.自分の車を売るときには,その前60日以内にcheckをパスしたという証明書がなければ売ることができないし,自分の車の登録(毎年登録料とともに,smog checkを行いこれをパスしたという証明書をDMVに提出する)もする事ができない.ただし1965より古い車にはこの検査は免除される.smog checkを受けるには認可を受けた一般の車両工場かRefree centerと呼ばれる施設に車を持ち込んでcheckしてもらう.どちらに持っていけば良いかは指定される.Refree centerはカリフォルニア州と契約を結んでおり,検査にかかる費用は一律30ドル,証明書の発行に8ドルかかる.なお税金はかからない.他の一般の施設での費用はまちまちで,安いところなら20ドル程でやってくれるが,中には40ドル以上するところもある(証明書の値段は8ドルと決められている).新車を購入した場合は,最初のsmog checkは車の登録の時に39ドルを登録料に上乗せして支払えばskipする制度がある.つまり買ってから2年間はsmog checkを受けずに済む.smog checkのおかげでロサンゼルスの大気汚染は減少したとされているが,それでも夏になると良くsmogが発生している.

・Tax Filing
税金の確定申告はこちらで収入がある限り毎年行わなければいけない.TaxにはFederalとstateの2種類があり,それぞれ異なるformを使い,申告する所も異なる.例年1月になると,郵便局や図書館に行くと,申告用紙が置いてあるのでそれを利用するか,FederalならIRS(Internal Revenue Service)のHPから,stateならここから直接フォーム,instructionをdown loadできる.申告は税理士に頼んでもできるが,100ドル程度の料金を取られる.また我々のようにこちらへ研究者としてJ1 visaで滞在している者には,入国から2年間Federal taxが免除されるという取り決め(Tax Treaty)があり,このことを詳しく知らない税理士に頼むとtroubleの原因になる.こちらで土地や家などの財産を持っていない人の申告は割と簡単である.Federalは1040NRか1040NR-EZというフォームにまず必要事項を書き入れる.特に難しいことはないが,計算で自分の支払うべき税金を書き入れるところに,0でなくてもと0記入すること.(Tax treatyにより税金が免除されているから.こう書かずに計算した金額を記すと,IRSの方からしつこく払うように言ってくるらしい)次にForm 8833というものを手に入れて,書き込む.これはなぜ自分が税金を免除されるか,その根拠を示すFormである.根拠はArticle #19, Publication 901, page 11に規定されているので,そのように書く.あとは大学からもらうW-2,Form 1024-Sを添付して期限(例年4月中旬)までに送る.stateはForm 540NRを入手して必要事項を記入する.filing statusはFederalの時に1040NR(-EZ)を使った人は子供の有無,配偶者の有無に関わらずsingleとして申告する.あとは計算どおりに税額を書き込み,w-2,1024-S,Federalの時に作成した全てのFormのコピーを送付すればよい.大学から収入を得ている人できちんとfederal taxの免除の手続きをしている人はあとで税金を追加されたり,戻ってきたりすることが少ないが,手続きをしていないで毎月Taxが天引きされている人は,この時に全てが還付される.state taxには免除の規定がないが,収入が基準より少なければ還付される.滞在2年以上の人はTax treatyが失行するのでFederal taxを普通どおり支払う必要がある.子供がいれば扶養家族に加えられるので,これにより税金の控除額が上がる.しかし控除に入れることができる子供は,ITIN(Individual taxpayer identification No.納税者番号)を取得している必要がある.最後に申告書類を期限までに送る責任は納税者にあるので,郵便局から書類を送るときには,certificate of mailを取っておくと良い.(一部につき55セント)以下に日本語で書かれた税金のHPを紹介しておく. http://www.mediajapan.com/ocsnews/96back/545b/545/545-1.html http://www.us-benricho.com/chicago/tax.html

・帰国
帰国に際して一番大変なことは家具,車などの生活用具を売却することである.moving saleは帰国3週間ほど前までには,日系のスーパーや自分が住んでいるアパートに張り紙をして,売りたいものと値段を告知するべきである.あまり早くから告知しても,家具を見に来る人はたいていすぐに使いたい人ばかりなので,うまくいかないことが多い.値段は交渉可(negotiable)と書いておくと良い.売り物を見にきて,実際に交渉が成立したら,できればdeposit(手付け金)をとっておくのが良い.交渉成立から品物の受け渡しの期間が少しあいていると,後でその品物はいらなくなったと電話で言ってくることが度々ある.帰国直前にキャンセルされたら,どうしようもない.車のような高価な品物は,できれば以前からの知り合いか,あるいはdealerに買ってもらった方がよい.これこそ直前にキャンセルされたらお手上げである.個人に売る場合は,売却前の60日以内にsmog checkを行い,さらにDMVに行ってproof of saleと言う書類をもらってそれを作成,pink slipに互いにサインをして,売却の値段を記入し,相手に渡す.Dealerに買ってもらうならこの手続きは一切不要である.私は日系のdealerに買ってもらったが,帰国前日に車をofficeに持っていき,そこでpink slipにサインをして,その場でcheckを受け取った.帰りは自宅まで送ってもらい,二年前に14000ドルで買ったのだが,63000ドルで売却できた.さてあとはケーブルテレビ,電話,ガス,電気,水道の各会社へ電話をし,キャンセルの日時を告げ,最後の請求書をどこに送ってもらうか,またdepositやcreditのcheckをどこに送ってもらうかを明らかにしておく.これはLAに住んでいる友人宛にしておくのがよい.支払いのcheckは,あらかじめ金額の欄を空欄にしてcheckに自分のサインをして友人に渡しておき,billが届いたら,金額を記入してもらい送ってもらう.振り込みのcheckが来たときは,それを自分宛の口座に貯金してもらう.自分宛のcheckを自分の口座に貯金する時は,自分のendorsement(サイン)はいらないので,他人でも貯金することが可能である.支払いや振り込みが全て終わってから,銀行に口座を閉じ,日本の口座にお金を転送してもらうよう手紙を書けば手続きは完了する.アパートはたいてい少なくとも1月以上前に引っ越すことを告げなければいけないので,忘れずに手続きをしておく.部屋は自分でできる限り修繕や掃除をしておく.さもないとdepositから実費を引かれる.出発の少なくとも前日はホテルに泊まることが必要である.忘れずに領事館に帰国届けを出しておく.1998年9月10日が帰国の日であった.朝はいつも通り早く起きてホテル周辺を軽く走った.2年間のLAでの生活が頭の中に巡った.辛いこともあったが,それ以上に得るものが多かった.空港まで,同じ研究室の友人たちが送ってくれた.13時にロサンゼルス国際空港を飛び立った.窓から見えたsanta Monica Beachの白い砂がまぶしかった.


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