しばらく前に見た夢である。
家
(
うち
)
の黒猫はもうよぼよぼの
爺
(
じい
)
さん猫である。
ある日、体格のよく似た若い猫を拾ってきた。
その猫の首を切り落として
家
(
うち
)
の猫の首にすげかえた。
体が若くなった
家
(
うち
)
の猫はいつものようにえさを喰っている。
ゴロリと転がったままの猫の首がにゃーにゃーと鳴いてうるさいので
家
(
うち
)
の猫の体につけてやった。
すると頭の後ろを後ろ足で掻きだした。
こうして、
家
(
うち
)
には二匹の黒猫がいる。
しばらく前に見た夢である。
緑色の水の中を漂っていた。
日向
(
ひなた
)
のぬるさがけだるい。
水面を蹴って外へ出た。
水のはじける音を後に宙を舞った。
ぼとりと落ちた。
魚は口をぱくぱくと動かすのみである。
しばらく前に見た夢である。
帰り道、峠にさしかかったころである。
日は暮れて辺りはすっかり暗くなっていた。
提灯の明かりをたよりに歩いていると白い着物を着たおばさんが
手鏡を覗いて化粧をしているのに出くわした。
「ぼく」は今夜きもだめしがあることを知っていたので、
その準備をしているのだろうと思った。
ちょっと驚かしてやろうと小石を投げて音をたてた。
おばさんは特に驚くこともなくこちらを見ると、
「非道いことをする子だネェ。」
と言うと、再び化粧をしはじめた。
「ぼく」はおばさんは猫娘の役をやるのだろうと思った。
おばさんの後ろからぼんやりと白いものが近づいてくる。
提灯の薄明かりの中で目を凝らす。
女の人らしい。
その女の人は音もなくおばさんに近寄ると
無造作におばさんの顔の生皮を剥ぎはじめた。
剥ぎおわると血の滴るそれを自分の顔にはりつけこちらを見てニタリと笑った。
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