パチンカー言動録(2000/05/31)




みなさんはパチンコをやりますか?
やったことがないという人はおそらく皆無でしょうが、日常的に行っているという人もまたそんなに多くはないと思います。
私は今から10年ほど前、社会人になってしばらくの頃は狂ったようにパチ屋に行っていました。確か1992年だったと思いますが、1年間の出勤(笑)日、勤務(苦笑)時間、店名、台の名前、投資金額、出玉数、回収金額、獲得景品、収支をすべてメモして集計していたことがあります。もはや原本のワープロ文書は電子の藻屑として消え去ってしまったため手元にありませんが、記憶では年間140日くらい出勤、投資が約100万円、一般景品を定価で換算した場合の総回収金額が105万円と辛くもプラス収支、時給計算では1時間あたり十数円という非常にしょぼい数字が出ていました。よっぽど会社で残業した方が効率がいいです。(苦笑)
とはいえ記憶ではプラス収支だったのはこの年だけ、以前以後の投資金額を合算すれば車の1台くらいは余裕で買える程負けているでしょう。
その後30兆円産業と言われるまでの一大パチンコブームが訪れるわけですが、そのころになると私はほとんどパチ屋には行かなくなりました。私の足がパチ屋から遠ざかるのと逆に、私の周囲の人たちが足繁くパチ屋通いをするようになり、「パチンコってそんなに面白い?」などとあきれ顔で私に問うていたような人までが昨日は買った、負けたという言葉を口にするようになりました。しかしそうなると面白いもので、みんな私がパチンコにはまっていた時と同じことを言っている気づきました。
と、長い前振りでしたが、「パチンカー」という人種が口にする言葉とその真意を、私の実体験をもとに解説します。周囲で以下のような発言をしている人がいたら、その裏側にある真の意味までくみ取ってあげてください。(謎笑)

  1. 昨日は○円の投資で○万円勝った。

    ごく短期的な決算での数字で勝ったと言うこと。しかしたいていの場合その直前に大きな沈みがあります。日常的パチンカーの場合、勝ったときには周囲に言いふらすものの負けたときには黙っているという傾向があります。
    田山幸憲プロ(パチンコ必勝ガイドで「パチプロ日記」を執筆していたのでご記憶の方もいるでしょう)も、パチ屋に置かれている小冊子「王様手帖」の中で『本当に勝っている人間は「勝った」などとは言わず、人に聞かれても収支トントンか少し負けている、くらいの返事をするものだ』と言っています。
    このようなとき「パチンコ貯金を下ろしてきた」などと言う人がいますが、これは大きな誤り。実際には「パチンコローンで金を借りてきた」が正しく、近い将来に高〜い金利とともに返済することになるのです。

  2. ○万円負けた。

    ホントに負けてます(笑)。上記の通り、負けた場合には黙っていることが多いのにわざわざ口に出して言うんですから相当の負けだったのでしょう。但し、口にしているのは負け続けたうちの1日だけという場合もありますので注意が必要です。例えば2万・3万・5万と負け続けた場合、最終の「5万負けた」しか言わないことがあります。

  3. パチンコは副業。本業よりも儲かる。でも安定した収入がないと不安なので会社は辞めない。

    ウソ。こう言っている人はまず間違いなく負けてます。ただのパチンコ中毒というだけなのですが、周囲に認めてもらった上で行き続ける理由が欲しいのです。
    一日のうちに数時間、会社帰りにちょこっと打って稼ぎが出るなら一日中打っていればもっと大きな利益が得られるはずなのに、それに踏み切れないのは現状で負けている、あるいは負けることがわかっているから。
    「安定した収入」を得て、それをパチ屋につぎ込み続ける生活からは辞められないでしょうけどね。
    ちなみにパチ屋は「会社帰りにちょこっと打って」という客が売り上げの大きな柱となっているのです。そんな客に常勝させるほど甘くはありません。

  4. パチンコは所詮遊び。遊びなんだから遊び代を払うのが当然で、負けても別に悔しいとは思わない。

    一見もっともらしい言葉ですが、こう言っているときの本人ははらわたが煮えくり返る思いでいっぱいです。そもそも日常的パチンカーで負けると思ってパチ屋に行く人は一人もいません(断言)。負けて悔しくないわけがないのです。よって、心にもないことでも口に出して言わないと正気を保っていられない、というのが正解に近いです。
    きっと心の中では、「今日はどこの店のどの台を打って絶対に勝ってやる!」というシミュレーションが完璧に出来上がっていることでしょう。
    このようなとき、次の日に「昨日どうだった?勝った?」などと聞いてはいけません。負けていた場合、途端に不機嫌になることがあります。勝ったとしたらわざわざ聞かなくても自分の方から自慢しに来ます。

  5. もうパチンコはやめた!

    手痛く負けた場合に口にすることが多いですが、これもウソです。
    その場ではホントにやめようと思っていることもありますが、時間が経つにつれて負けたことへの悔しさが肥大し、「パチはやめた! -> パチはやめる -> 今度勝ったらパチはやめる -> 次こそ勝ってパチをやめる」に変化していきます。もちろん負けた場合は打ち続けますし、勝ったときにはこんな発言自体を忘れてしまいます。

かくもパチンコにはまっていた私ですが、5年ほど前からあまり行かなくなりました。昨年はたまたま時間つぶしで1度打っただけです。(ちなみに\2,000ほど勝ちました)
行かなくなった理由として、一つは打ちたい台がなくなってしまったことです。千円札2〜3枚を握りしめてパチ屋に行き、羽根モノや平台を半日打って\1,000のプラス、というのんびりとしたパチンコを楽しんできた私にしてみれば、今日のように「10万円持っていかないと勝負にならない爆裂連チャン機」なんて狂気の沙汰としか思えません。
もう一つの理由は、ここまでお読みいただければおわかりかと思いますが「パチンコは絶対に勝てない」ということがわかったからです。誰しも「自分だけは負けない!」と思って勝負を挑むものですが、現実には大多数の人が負けるようにできています。それもそのはず、パチ屋は慈善事業じゃありません。誰かが勝ったら誰かが負け、しかも店の運営費用まで負担することになるのです。
昔はいろいろな必勝法がありました。デジパチのストップボタン攻略、大当りタイミング狙い打ち、連チャン誘発打法等々。これらの攻略法をいち早く手に入れ、世間一般へ広まる前に荒稼ぎするということもできましたが、今現在発売される新台にはまず攻略法そのものがありません。仮に発見されたとしてもインターネットなどの電子メディアを使って瞬く間に全国各地津々浦々まで広がり、パチ屋やメーカー側でもすぐさま対策をとるでしょう。
もともと勝つことが難しいのに、今や「すべての人が平等に負ける」ようになっているのです。これに気付くまでに何年もかかりました。(苦笑)

さて、今日最後の言動録はパチンコで絶対に負けない方法、それは

「打たないこと」

です。これしかありません。そうすれば絶対に負けません。絶対に勝てないですけど。(笑)


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