キタキツネ





平成9年5月25日 釧路湿原北斗展望台の駐車場で撮影
「かわいいっ!」と思うなら、どうか彼らをそのままにしておいてください。

北海道の食べられないイメージキャラクタ(笑)として不動の地位を築いているキタキツネです。
(言うまでもないですが、食べられるイメージキャラクタといえばやっぱりカニでしょうね)

この写真をご覧になった方にお願いがあります。ちょっと堅くなりますが読んで下さい。
北海道では行く先々でキツネに限らず野生生物の姿を見かけることがあります。
普段見ることができない彼らの愛くるしい姿を前に「かわいいなぁ」と思われる方が多いでしょう。
ですが、彼らにエサを与えることは絶対にしないで下さい。
この写真のキツネも、私の車が駐車場に入ってくると同時に起き上がり、車の後方
約5mのところでじっと私の動作を窺っていました。車から降りてくる人間から何かもらえる、
ということを彼は学習してしまっているのです。
道東方面の国道などでキツネが車に轢かれた、という話をよく聞きます。一説に、
走っている車を停めてエサをもらおうとして車道に飛び出すからだ、という話も聞きます。
人間が良かれと思ってやっていることが、彼らに新たな不幸をもたらしてしまっているのです。
とある人にこの話をしたのですが、その人は
「でも飢え死にするくらいならエサをやった方がましだ」といいました。
違います。人間にエサをもらうことを覚えた彼らは、自ら食料を確保する術を
忘れてしまい、凍てつく冬になって観光客がいなくなったらそれこそ飢え死にするより
他になくなってしまうのです。

真冬の北海道で、あなたは彼らにエサを与え続けることができますか?
完全な野生なら十分生きていく可能性のある彼らを、人間の勝手な思い込みで死
に至らしめることになりかねないのだということを理解して下さい。
またキタキツネの場合、不用意に触れたりすると、「エキノコックス」という寄生虫に
感染する危険があります。これは長い年月をかけて人間の肝臓を寄生虫が蝕み、
最後には肝不全でお陀仏という恐ろしいものです。

長文になってしまいましたが、最後にもう一度。
キタキツネに限らず、野生生物を見かけたらどうかそのままにしておいて下さい。
それが彼らの、そしてあなたのためでもあるのです。


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