博識K田くん

小学生の頃の話です.


私が小学校3年だったころ,理科の授業で先生が

「空気はどんな物質でできているか?」

という質問を出した.私はすぐに「大体,窒素が4で酸素が1,あと二酸化炭素とかかな」と思いながら,手をあげた.クラスの1/3位の子供が手をあげていたように思う.

まず,最初に先生にあてられた子が「酸素」といった.うんうん.酸素だよね.でも窒素の方が多いから,まずは窒素,酸素,あと二酸化炭素っていっぺんにゆっちゃえばいいんじゃない?と思いつつ,また子供達は手を挙げた.

次にあてられた子が「二酸化炭素」といった.ふつう,一個一個いうにしても多い順にいうんじゃないの?まあ,いいやとおもいつつ,また子供達は手を挙げた.

次に先生にあてられたのは,物知りで有名なK田くんだった.K田くんはあてられても,大変落ち着いた感じで,しかし,立たずに座ったまま,先生をまっすぐ直視して言った.

「アルゴン」

えーっ?そりゃアルゴンだって空気に含まれてはおるけど,ここで,先生が答えて欲しい答えはたぶん窒素やろう?ここでアルゴンっていうのは,ズルじゃないか?と思っているあいだに,アルゴンに釣られたのか,また別の子供達があてられ次々と「ネオン」だの「塩素」だのそりゃ含まれているかもしれんが(含まれていたらまずいようなものもあったとおもう),かわいそうにメインの窒素はずーっとでてこず,「窒素」と思っている私をなぜ先生あててくれないのか?とはがゆい思いで手を挙げ続けたのだった.

 

(2004/12/11)


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