当時、私は18歳の初々しい女子大生でした。京都にでてきて、まだ、1ヶ月。友達もやっと、ほんの少しですが、できました。京都に知り合いもいず、地元の友達だけが頼りでした。 今はJRというものができて、また、関東や関西といった、大都会では、私鉄と対抗するため、JRもずいぶん安くなりました。また、電車のスピードもえらく速くなったものです。 しかし、当時は、京都から大阪にでる場合、もっとも時間的に早く、しかも安価なのは、阪急電車でした。私も上京してまもなく、 国鉄は高い。阪急は安い。 ということだけは、風の便りに聞いていました。 さて、 私にも大阪の友達ができました。とっても優しい人で、その時点で、国勢調査で唯一の過疎を誇った超田舎の高知県から上京して1ヶ月の田舎娘が頼れる唯一の人だったのではないでしょうか?その人が、日曜日に大阪を案内してくれるというので、るんるん気分で、お願いしました。もちろん、大阪なんて、初めてです。噂によるとはりまや橋(注;高知1の繁華街、だが、8時には、すべての店が閉店する)の100倍くらい広い都会らしい。 「阪急電車に乗るんですよ」 といわれ、すでに、超都会人になったつもりだった私は 「そんなの、わかってはるよ」 と覚え立ての関西弁をおもいっきり間違った文法で唱えながら、日曜日にでかけました。 しかし、 自分の住んでいる北山(当時は、まだ地下鉄が通っていなかった)から、どうやって、阪急電車に乗ればよいのでしょうか?今となっては、魔法で阪急烏丸駅までたどり着いたとしか思えないのですが、とにかく私は阪急電車の駅にいました。(この時点でかなりの遅刻だったかもしれない) そして、チケットを買い求めたところまではよいのですが、目の前にきた電車には「特急」の2文字。 特急だと特急料金がかかる と知恵を働かせ、普通電車を待ちました。そして、普通電車にのったのですが、途中、何度も何度も電車が追い抜かれます。1時間くらいで到着するときいていたのに、1時間すぎても、まだ大阪には到着しません。 途中淡路の駅で、また、電車がとまりました。目の前に急行とかかれた電車が止まっています。もう待ち合わせの時間から1時間以上すぎています。あの親切な友達は待っていてくれているでしょうか? 急行料金を払っていない、もし、あれにのったら、私は犯罪者になってしまう。でも、だまってのったらばれないのではないか? そして、決死の覚悟で、私は急行電車に乗り換え、そのまま梅田まで行ってしまいました。その間、車掌と目をあわせちゃだめだとおもって、ずっと緊張して下を向いていました。
うぶだったなあ〜、あのころは。 |