18の時に京都に来て以来,ずっと関西に住んでいます.もともと,郷に入れば郷に従いやすい性格なので,言葉なんかはすぐ関西弁に染まったのですが,やはり,体まではなかなか染まりません.なんとか関西とうまくつきあっていこうと,日夜努力していますが,どうしてもしっくりこないことがいくつかあります.
私も高知の田舎育ちなので全国区なのかどうかはわかりませんが,じゃんけんといえば,
「じゃんけん,ぽん,あいこで,しょ」
でした.これをリズムで表現すると
「1,2,3,(4),1,2,3(4)」
となります.( )付きは声に出さない休符を示します.これが,(今,息子も保育園でならってきていっているのが)関西地方ではぜか,
「じゃーんーけーんーでー,っほーいっ」(「じゃんけいで」という人もいる)
なのです.まず,この「ほーいっ」がなじまない.これから勝負しようというじゃんけんなのに戦意喪失してしまい,思わず負けてしまいそうです.それから,リズムですが,
「1,2,3,4,5,6,7」
なのです.くわしくいうと,「じゃ」が1,「んー」が2,「けー」が3,「んー」が4,「でー」が5(ここまでで,5というのが,まず中途半端というか,字余り),「っほー」が6,「いっ」が7,そのあと,リズムよく「あいこで」にいかず,しばらーく待つのが普通みたいです.この7でおわる変なリズム!これに似たのに,かけ声で
「せーのっ」
ってのがありますが,これを関西では
「いっ,せーのぉでっ」
といいます.これも力がはいりません.こんなこといっている間に力むはずの力が抜けてしまいます.「せーのっ」をリズムで表すと「1,2,(3,4)」で,(3,4)で力をいれるとおもいます.つまり,(3,4)の力を予測して,最初に自分に気合いつけて力を入れるわけです.関西のをリズムにすると「1,2,3,4」で力を入れるタイミングが終わってしまっています.しかも,子どもたちはこれの亜流として
「いっせーのぉ,せーでぇ」
というのまで編み出しています.これでは全く気合いが入りません.関西の人は数年前,ライオン丸のようなアニマル頭やスパンコールのついたハイヒールが流行ったのが有名になったことで,すでに全国の方がご存じかもしれませんが,非常に派手で極彩色が好きな人々です.そして,東京の方がよくかかれているエッセイ等をみると,「派手,声がでかい,ファッションに気合いがはいっている」のだそうです.つまり,関西以外の人は,普段はあまり気合いがはいっていなくて,ここぞというときに「せえの」なわけで,じゃんけんのような勝負ごとも普段はほとんどなく,気合いいれて勝負するために「じゃんけん,ぽん」なのですが,関西の人たちは常に力が入っているのでここぞというのがないわけです.それで,こんなイントネーションになってしまっているのでしょうか?