ゲイにまつわる映画レビュー。 |
イン&アウト(IN & OUT) 監督 /U.S.A.(1998) 脚本はポール・ラドニックって作家(知られてますよね)。ゲイの疑惑をかけられた、結婚間近の男性(ケビン・クライン)をめぐるハリウッド風味のコメディ。結構ヒットしたので話題にはなるでしょう(でも日本ではそれほど集客できないと思う)どうでもいいといえばどうでもいい話ですけど(笑)。マット・ディロンやトム・セレックと言った俳優も出てることだし、お好きな方はどーぞ。 …と、頭の情報ページで書いてますが、観たらちょっと印象が変わりました。 保守的な平和な町に住む教師のハワード(ケビン・クライン)は婚約者の女性、エミリー(ジョーン・キューザック)もいて、とても幸せに暮らしていました。ところが、ある日かつての教え子であった売れっ子俳優キャメロン(マット・ディロン=真木蔵人にそっくり!、笑)は主演映画「ホモに生まれて」(戦争ものでゲイの兵士役)アカデミー主演男優賞を受賞した席で、スピーチします。 「特にお礼を言いたいのは、高校生の僕に文学を教えてくれたハワード・ブラケット 先生です。彼はホモでした。素晴らしいホモの教師に感謝を捧げます」。 寝耳に水のハワード、信じたくないエミリー、かけつけてくる両親、電話はなり続き、勤め先である学校にまで取材陣がおしかけてきます。生徒たちも警戒して遠巻きにしたり…。 と、ここまでは結構ドタバタコメディでした。 ハワードは、自分のセクシュアリティを、まさか?と思いつつ、葛藤します。 後半、意外な方向(シリアス!)へと話がすすむにつれ、笑いだけの話ではないことに気づきます。 登場人物は個性的でいろいろでてきますが、特にものすごい差別主義者、といった感じの人物は皆無で、安心して観ることができます。ヘテロにとっても不快でなく、ゲイにとっても都合のよい映画、と言えるかもしれません。 ただ、わかりにくいであろう点がいくつもあります。 ●そんなに保守的な町なのか?…ゲイだと聞いてハワードの学校に報道陣がやってくる。芸能人でもないのに。変。 ●ハワードのバーバラ・ストライザンド好き、すなわちキャンプ感覚。向こうのゲイにしかわからない趣味。日本でいうところの、ユーミン趣味とか?(いや、かなり違う気もする) ●どこでハワードは自分のセクシュアリティを受け入れられることになったのか?…バーブラ好きだから? ディスコミュージックで身体が動いてしまうから? 婚約者と2年もつきあっているのにプラトニックな関係だから? ゲイのリポーター(トム・セレック)にいきなりキスされて目覚めたのか?(悩みはつきない) ●なぜ、キャメロンは授賞式のスピーチで“そう”言ったのか?…当てずっぽうで言うには、保守的な町だとわかっていて言ったのなら意地悪だし。何かを知っているという感じでもない。 以上の点をふまえて、何回か観ることをお勧めします。 完成度としては高くないかもしれませんが、意外なことに退屈する暇はないほどテンポよく作られています。そういった意味では楽しめる作品となっています。 by hana. |