ゲイにまつわる映画レビュー。
「ベント」(bent)
 監督ショーン・マサイアス/(1997)

副題:堕ちた饗宴、なんですねぇ(すごいな、配給会社)。
ナチス・ドイツが弾圧したピンクトライアングルという種別分けを囚人服に貼られた同性愛の被害者達の物語。マーティン・シャーマンの戯曲として有名な「ベント」(ストレートの反対の意味なんでせうか)映画化。

ミック・ジャガーが歌姫(ひぇ〜!妙な迫力)の、退廃的な宴の派手さから徐々に苦しい話になっていくんですけど、ぐいぐいひきこまれました。
収容所で恋におちる二人のラブシーンはすごい。重労働の合間にあるわずかな休憩時間での、直立したまま、顔を見合わせることもない言葉だけのからみ合い。

空の明るさと対照的な、収容所での結末はとても悲しいものでしたが、決してネガティヴなものはなく、歴史を知る意味でも多くの人に観てもらいたい作品だと思います。…刺さります。
芝居のほうを観たことがないので残念なんですが、良かったです。

そうそう、脇役ですがルパート・グレイブス君が冷血なゲシュタポ役としてなぜか出演しています。(ハマリ役!)
オリジナルの舞台での主役を演じたイアン・マケランはじめほとんどゲイらしいですね、この映画の関係者は。

by hana.


「真夜中のパーティー」(The Boys in the Band)
 監督 ウィリアム・フリードキン/(1970)

ビデオの整理してて出てきたので、久しぶりに観ました。
演劇の世界では再演が繰り返されていますが、映画のほうはリメイクされることなんてないでしょうね。内容は時代の流れと逆行してるし。
でも、観るたびに感動がある、ゲイを扱った、私の好きな映画のひとつです。

クローゼットゲイの多かった1970年の作品です。
NYに住む、ユダヤ人ハロルドのために友人マイケルが企画した誕生パーティーに集まる全員ゲイは会話にダンスに楽しんでいたが、マイケルの旧友アラン(一応ノンケ)が突然現れて舞台は一転する。

ゲイそれぞれの個性を強調しているのも興味が持てる点です。
ゲイの中にもある人種差別、オネエ差別などが散りばめられていて変化をつけているし、鋭い台詞の数々が刃の如く突き刺さります。
特に、後半の、マイケルが取り乱す場面までの流れは見事です(アランは結局どうしてやってきたのかわからず終いですが)。

この映画は、ゲイを面白おかしく扱ったわけでもないし、ゲイの視点から見た作品としては凄い話だと思います。もう古典、という感じもありますが…。

最近知ったのですが、'88〜93年の間に出演してる俳優陣(ゲイ6人?)のうち4人が病気で亡くなっていました(主役のマイケル、恋人ドナルド、カメラマンのラリー、アバタのハロルド役の方々)。残念です。

by hana.

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