ゲイにまつわる映画レビュー。 今回は香港編。 |
「ぼくたちはここにいる」(三個相愛的少年/OH ! MY THREE GUYS) 監督/趨崇基 テレク・テウ(1994) なんだかなぁ。これってなにを主題として作られた作品なんでしょう、という結論でした。 最近の香港映画にはゲイやレズビアンが登場する映画が多いですけれど。 主人公である、共同生活をしている幼なじみの男子3人組…って、これがまずあり得ないんじゃない? 幼なじみが運良く3人そろってゲイなんて夢みたいよね〜(笑)。おっとこれは揚げ足取りでしたね。主人公は以下。 広告プランナーのホイ(いわゆるモテ男、クールを装っているのは女が恐いから、とか。笑)、 売れない俳優のカウ(3枚目で楽しく優しいママ的オネエ。男にもてない)、 脚本家のファー(いつも考え込んでいるタイプ。繊細でちょっと悲観的)。 彼らのキャラクターはゲイとしてはありそうな“三人三色”。スタイリッシュなインテリアや、とても香港の雑踏からは考えられないオシャレっぽい“ゲイ”というイメージで、納得できる人は納得できるのでしょうが…ゲイの開くホーム・パーティーでの女装をする行為は日常的ではないですよね? ファーは仕事がうまくいかない。恋人にはふられる。上手くいかない人生。 カウは、AIDSに罹っていることが他の二人に知られます。素人の出る討論番組でゲイをカムアウト。親にはゲイを罵られ、心の拠り所を見つけられなかったのか…その後彼は自殺してしまう!(怒) ゲイに対する偏見にあふれているとしか思えない。 クローゼットのゲイであるホイが働く広告会社のクライアントはコンドーム会社だったり、魅力ある積極的な同僚女性フクメイの出現。「あなたを幸せにしたい」とゲイと知った後も言う・・・これは何を意味するのでしょう? だから、普通に結婚をすれば上手くいくもんなんでしょうかね? そして、ホイはフクメイに歩み寄り(というか走って!)ます。ゲイから異性愛に目覚めるというエンディング…それもとてもハッピーな!(笑) 結局ノンケのゲイに対する優越感味わいたいわ的テイストてんこもり!…なんじゃないかな〜。 ネタ切れ時に使われがちなゲイねたですが。 同じように異性愛に移行する恋愛を描いたものでも、「チェイシング・エイミー」のレズビアンが男性の恋人ができた時のレズ仲間の態度など(笑)リアリティに溢れていました。 台湾の「ウェディング・バンケット」ではゲイ同士の結婚を描いていました。「BE MY BOY」でもやはり古い風習(というか伝統)にとらわれ結婚に流されてしまいそうな年長のゲイが出ていますが、もっと考えさせらることが多かったです。ハリウッドもの「私の愛情の対象」(結局未見)も、やはりノンケ女性とゲイ男性の結婚がテーマでした。 この映画、中盤でもう結婚を済ませて、結婚生活を描きつつ、やはり男性への気持ちを抑えられなくなった主人公、とか話を拡げればもっと楽しめたかも(というか、そういう作品は新鮮に思えます)。もしくは、ゲイ&ノンケの結婚をキープしたいならば他の二人それぞれゲイでハッピーな部分を入れるとかね。 監督いわく、当時は仕方なくそういうストーリーにさせられた、なんて言い訳してましたから始末が悪い・・・。ゲイにとっては不幸な映画でした。合掌。 by hana. |