レズビアンにまつわる映画レビュー。 |
これぞホモフォビア(同性愛嫌悪症)をあざ笑う現代アメリカが生んだ迷作!
"But I'm A Cheerleader"(1999) 監督 Jamie Babbit/アメリカ(81min.) ハッピーで笑いのあるレズビアンが出てくる映画って少ないです。 少女たちを主人公にしたアメリカの「2ガールズ」(動員できず)やスウェーデンの「ショー・ミー・ラヴ」(Bunkamuraで意気込みは感じられたけど)なども日本では公開されましたが、あまりハッピーな印象が残りませんでした。勿論これらは青春映画としては佳作です。レズビアンからの支持が高いようなさわやかな前者、繊細さが描かれた後者など比較の対象にすべきではありません。が、青春というカテゴリに属してみると明らかな違いがあることに気づかなかったのです。この作品を見るまでは…。 音楽は異常にガーリィ(←死語?)、オープニング曲はゲインズブールの曲だしApril March、Saint Etienneなどなかなかテイストは60sフレイバーでセンス最高です。 そして全体的にピンク! ブルー! レインボーカラー!=バービーのお家のようなリハビリ施設。とってもCAMPです。 アメリカでチアリーダーといえば健康的で健全イメージたっぷり。そんなチアリーダーの女の子ミーガン(Natasha Lyonne)は安定した関係の彼氏もいるし(でもクリスチャンなのでエッチなし)、チアリーディングも楽しんでいる高校生。 しかし仲間や両親は気になっていた…「もしかして同性愛者?」 そしてミーガンは自覚のないまま素直に、True Directionという名の華々しいヘテロ(異性愛)への "矯正" キャンプに送られてしまいます。 確かに彼氏とのべったりキスは嫌い、ベジタリアンだったり、ロッカーに女の子の写真がはってあったり(?)、メリッサ・エスリッジ(=レズビアンのミュージシャン)のポスターが部屋にはってある。これらは、アメリカでは典型的なレズビアンの徴候として恐れられているのかもしれない??? そのリハビリにいる人たちもユニーク! リハビリ施設を経営する女史(どうも過去のダンナさんがゲイだったみたいで、こんな事を始めてしまったようです)を手伝っている彼女の息子がクセモノで…かなりゲイ好きするルックス、行動…ゲイから抜け出さなきゃいけない男子生徒には目の毒です。 そして指導官を勤めるのが元ゲイのマイク(ル・ポール=ドラッグ・クインで有名な彼ですがここでは男装が久しぶりにみれます)。彼も本当にゲイから足を洗えたものか怪しいもので…他にはミーガンの気になるちょっと影のあるクールなグラエム(クレア・デュヴァル、「17才のカルテ」)や彼女のことを気にするフランス系シニード、女子高出身の生徒やゲイてんこもりの男子数名(ブレイク寸前?のキップ・パルデューなど含む) 矯正レッスンはかなり過酷で長い。男子は男子らしく木を切ったりスポーツに熱中させてみたり、女子は女子らしい育児や家事もさせる…週末は両親を読んで話し合い。 こんなキャンプあったら恐いような楽しいような!? 豪華なゲスト! 「ありのままに生きよう」と時折アンチ矯正施設のグループ(byゲイ男性カップル)がTrueDirectionの前へやってくる。ある晩生徒一同は彼らに影響され、部屋を抜け出しゲイバーへ遊びに行って羽を伸ばしてしまいました。そこでミーガンを誘う美女…はフレンチ、ジュリー・デルピー。リップスティック・ダイクなファムっぽいレズビアン役でした。どういうつながりでこの作品にでることになったのか!? さすがフランスの女優って感じでした(?) この後結構いろいろあってちょっとドキドキな場面がありました。きゃう!(省略、笑) ミーガンってコンサバな両親に大切に育てられたんだけど純真で素直な可愛い人なんです。 最初のほう矯正キャンプで「まずは自分を受け入れよう」ということで混乱させられてHomosexualだと認めてしまったようだし…結構かわいそうでした(勿論もともと素質はあったようだけど)。 彼女がグレアムを気になる存在とし、純真を貫いて友情を超えた愛情に発展していくまでの過程はテンポが良くわかりやすい。ちょっとワクワクしてくる感触がここにちりばめられていて…ラストシーンは感動的!(ここでは詳しく書きません)。エロっちいイメージで、チアリーダーの映画って期待して見た人は大ハズレだったと思いますけど(笑) 最後の最後まで笑わせてくれるハッピーな作品。 クイズも楽しい!公式HP、そしてここには貴重な監督さん、主演のナターシャ、クレアのインタビューがありました。 ヴィジュアルも良いし配給しないの、日本の配給会社さん、損ですよ!(いや前述の作品でコケたからってもうコレ系やらないなんてことありませんよね!) by hana. |