東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 レポート
by
hana.
予告を見た時から何か気になっていたので絶対観なくては、と思い観ました。大正解。
「自梳 〜ツー・スゥー〜」
監督:張之亮(ジェイコブ・チャン)1997/Hong Kong/35mm/117min
過去と現代を交互に並べて進行していく壮大なロマン。
“自梳”というのは第2次世界大戦前の、実際に中国にあった(ある?)女性だけのコミュニティーなんだそうです。この辺は勉強不足なもので今ひとつわからないのですが、男に養われたくないという女性のかけこみ寺のような…。
現代。ワイ(小慧)を演ずるテレサ・リー(李綺虹)は父親の乳母であるグァ・アーレイ(歸亜蕾)演ずる年をとったユィファン(玉環)につきそい香港から中国本土へ向かう。古い友人に会うために出かけるのだ。ワイは日常的に英語でまくしたてる現代っ子の女の子である。これは現代と過去という二つのタイプの女性を対比させるのに非常に役にたった。
過去。犬顔(西橋優恵というモデルにも似てる)チャーリー・ヤン(楊采[女尼])演ずるイーファン(意歓)は借金のカタに結婚を強いられたため“自梳”に逃げこむ。“自梳”の女たちはたくましく生きていた。そんな中でも好きな男ができ、深い仲になってしまう。<これは“自梳”ではタブー。
タヌキ猫顔のお姉さまカリーナ・ラウ(劉嘉玲)演ずるユィファン(玉環)はイーファンの働く紡績工場(?)のやり手社長の8番目の妻(妾?)。ここの女達がまるで大奥状態でかなり笑いを誘いました。彼女はイーファンを可愛がっていたのだが元来頭の良い彼女は男に裏切られるようなことがあり愛情をもてなくなっていた。イーファンもまた妊娠をきっかけに変わった男の態度に幻滅していく。そして優しい関係である二人は次第に深い愛情を持つようになる。
その後違う土地で二人で働いて(自活して)いたが国の情勢が変わり、土地を離れるべき時がきた。ユィファンの夫が再び現れ、新地アメリカへ行こうと誘う。ユィファンはイーファンと共にいたかったのだが激しい人の波で離ればなれに。
変わって現代の場面。現代っ子ワイにつきそわれたユィファンは近付いてくる人に歩みよる…年月を経て、二人は運命の再会を果たす! 老いたユィファンが見つめる相手にカメラが切り替わると、そこには一緒にいた頃のイーファンがいる…←この場面はとても感動的でした。かっこいいおねえさんユィファンのカリーナの色気、老いたユィファンのグァ・アーレイもまた素晴らしい存在感でひきつけられました。
ワイもまた、情けない男に振り回されていたり、この作品中では過去も現代も男性は勝手気侭な存在でした。男性の醜い部分を取り上げて、女性二人の愛情を自然の流れして繊細に描きだしています。男尊女卑が引き起こした悲劇と女性の自立と力の輝かしさ。100年後にはこういうタイプの映画がなくなっていることをこっそり願っています…(昨年のインド映画「炎の二人」もそう。悲劇が多すぎる)。欧米ほど認知されるのは難しいのですが、同性愛の受けとめ方がやはり西高東低な気がしますので。
☆ワイ(小慧)を演ずるテレサ・リー(李綺虹)とカリーナ・ラウは「金枝玉葉2」の後の再・共演ですね。
☆162分ディレクター'sカットがあると聞いていましたが日本での公開は97年の東京国際映画祭に続き、市販されているソフト(英字幕版DVD、VCD)も、残念ながら30分ほど省略されたもので少々説明が足りないように思えました。
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★おまけ★DVD、VCDについて
日本国内でのDVDによる視聴は未確認です(注意:一部DVDはマルチシステム対応DVDプレイヤーでないと観ることができないらしいです)プレステ2ではDVDを観ることができるそうですが、ナントVCDは見ることができません!(さすがSONY^^;)
香港映画はどんな映画でも必ずといっていいほどVCDでリリースされています。パソコンをお持ちであればとりあえず見ることができます。が、英字幕の字が少し読みにくいとかメモリ不足で画像音声が一瞬とんだりします。一番よいのはDVDプレイヤーで見ることです。
DVD、VCDソフトはネットショップ通販のほか新宿ツタヤなどの大手チェーン店などでも入手可能です。価格の差は多少ありますから調べておかれると良いでしょう。
★雑感★コンペってなくなってしまったのでしょうかね?(応募が少ないとか?)
日本映画がないのが寂しかったですね〜(少しはあったわけですがロビー上映はあんまりだ…)。
プログラムは今回のは良かったですね。でも今年の映画祭HPは日々更新されないし、ゲストの来日が中止になったりフィルムが届かなかったりと大変だったようですが、スタッフの皆さん、大変お疲れさまでした!
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