東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 レポート(2)
by
hana.
ここ数年、定着してきたといえる映画祭に今年も行ってまいりました。
といっても時間がとれなくて2本しか観ることができず、残念。しかしこの2本の上映があったことは喜ばしいことでした!
「歌と踊りと恋のいざこざ」。
スペイン・レトロスペクティブ特集の1本で、1989年の作品なのでレトロというには無理がありますが…祝!日本初公開!
舞台は1940年代のマドリッド。二人の男と一人の女が再会しヴォードヴィルのトリオを組む…一人の男(歌手・マリオ)はゲイで、もう一人の女(歌手・ペパ)と共にピアニストの男(フアン)に片思い。
三人の微妙な関係がレビューショーの場面と平行して繊細に描かれ、まだまだ保守的な時代であろう40年代でのゲイの生き方などを見ることができます。
マリオはフアンへのやるせない気持ちを抱えつつトイレでハッテンしたり、舞台の裏方の少年と関係を持ったり…。
リハーサルでの歌を通じて(素敵!)マリオの気持ちに気づいておじけづいてしまう、フアン。
その後、ゲイがゲイを陥れるというような事件(いざこざ)が起き、話は佳境へ…。
マリオはホントに美形だし、とっても絵になります。大サービスな場面多し(笑)。
小規模な舞台ながら歌と踊りが楽しい!(でも宝塚よりは質素だったりします)最後まで音楽に浸ることができる、ゲイを題材にした大変貴重な作品です。
スペインならではの情感たっぷり、ロマンティックな叙情詩。ロードショーの価値、充分あります(ぜひお願い>配給会社様)。
スペインといえばアルモドバルだけでなし。
「ベル・エポック」を観たくなりました(別にL&Gをテーマにした映画ではないですが、なぜか男装っ子の次女=アリアドナ・ヒル嬢がでてきます。笑えます)。
軽いのに、なんか人生って…と浸ってしまうことが多かったなぁ>スペイン系の映画
「炎の二人」。
ジャーン! ちょっと前に海外ニュースで大変話題になっていたこの映画が、今年の映画祭で早くも公開されてしまいました(配給は無理じゃないと思うけど?>配給会社様・再び)。インドでは上映禁止。日本にいて良かった…!!
しかし“インド=流行りのマサラ・ムービー”ではないぞ。
確かにあの踊るなんとかは、典型的な映画大国(しかしテレビ番組を上映しているとしか思えない)インドを象徴していると思うけど、インドというとサタジット・レイ(だっけ?)等芸術系大家の監督以外いないのか…インド人というより、インド系イギリス人のミーラー・ナイル女史(「サラーム・ボンベイ」「カーマ・スートラ」)は洗練されていますが…。
相変わらず男尊女卑の国であるインドを舞台に繰りひろげられる二人の女性の恋愛劇。
お金のある商人の家に嫁いだ若い嫁と兄の奥さん…もちろん愛のない結婚の末、女性は労働ばかり、使用人(男)は不真面目でひとりH三昧、二人の兄弟は愛人がいたり禁欲の修行(?)に裏ビデオ貸出屋で自分勝手、はっきり言って魅力に欠ける家庭。
そんな中でいつしか二人は見つめ合います。とても自然に、恋は始まります。
弟嫁が男装して(!)兄嫁と踊る場面(やっぱりマサラ?)はお遊びにしては全体にリズムをつけていて忘れられません(笑)。夫がいない留守に髪をおろしジーンズをはいてみる、とかなかなかツボをついてますね。弟嫁の表情が輝かしい!
しかしなにより、二人の関係…弟嫁が兄嫁と過ごす時のやすらいだ気持ちは誰しも共感できると思います(ラブシーンの撮り方も女性監督のせいか、女性の胸部をシルエット調に光と影ですっきりと処理してキレイ)。二人以外に味方がいない、というのがミソ。
二人の仲を気づいて拒否する姑、使用人など脇役の使い方は秀逸ですが、後半のクライマックス(二人の関係がばれてしまうところ)から後がすごく短いのがちょっとあっけなく少々物足りなかったです。
インドでは持参金が少ないために焼かれる花嫁がいる、というニュースを見たことがあり、原題の“FIRE”はそのことをイメージせざえるを得ませんでした。
「炎の二人」はインドとカナダとの合作になっていることと同様ですが、こういうケースでは、その国にいては駄目なんですね(もちろん、この映画では、二人は家を出ることになる。しかし中流以上の家から。これって少数なんだと思う。そういう意味ではリアリティない?)。
ゲイ先進国に行かなくてはいけない。それでもミニコミ誌やinternet上での出会い&形式結婚の場が出来て、一部の人には良くなってきているのかもしれません。
かつて訪れたLondonのアジア系(=パキスタン、バングラディッシュ、インド系)レズビアン&ゲイナイトで、私は初めて短髪のアジア系女子を見ました。彼女はレズビアンだと思いましたが、それまで一度もそういう現代的(?)な風貌をしたアジア系の人を見なかったので、嬉しく思いました。宗教上で同性愛を禁じている国ではとんでもないことに違いないのでしょう(合掌)。
フェミニズム入ってますが、女性を勇気づける力強い映画が出来たことは素晴らしい。
話の結末がどうであろうとも。
今年の映画祭は宣伝やHP(大変美しい出来!)に大変力が入ってたように思えました。
年を重ね、本当に意味のあるイベントになってきています。スタッフの皆さん、大変お疲れさまでした!
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