※ 登場人物名 前半:リタ/後半:カミーラ(ローラ・エレナ・ハリング) 前半:ベティ/後半:ダイアン(ナオミ・ワッツ) h:なんでそんな4回も観ることになったんでしょうか? k:単純によくできてる映画だけど、とり憑かれた、みたいな。 この映画の前に「メメント」を観たんですけどそれも同じように 記憶喪失の男の話なんです。これもよく出来た映画だけど、 それは最後まで観てしまうとパズルがキッチリ合ってしまう。 数学的な感じで、「マルホ」はそういうのでは、もっと感覚に訴えてくるの。 h:今回はナオミ人気がでてたみたいだけど、ナオミ(の役)は可哀想だと思う? k:うん、可哀想だから好き。ある意味ハッピーエンドだとは思うんだけど。 h:そう? k:1回目はなんか訳わからなくて、ただすごい!と。 2回目以降、いろいろわかってきたら切なくって悲しさいっぱい、だけど、 最後にソフトフォーカスで二人が写る画面で、一緒になれたんだろうな、っていう。 h:死の世界で、ということ? k:そう。似合ってないカツラを被ったリタとベティ(カミーラとダイアン)が一緒に。 ダイアンはカミーラみたいになりたいと思いつつ(同化したい)、一方で どうせマフィアの力を借りてのし上がったんでしょ、みたいな捻た感じもあると思う。 殺したいけど死んでほしくないという微妙なポイント。 h:自分(ダイアン)は売れてない女優(同業者)だったわけでしょ。 あのシリコンの人と(笑)。 k:ローラ。シリコンでオッケー(笑)。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ k:(後半のラブシーンでのダイアンの) 切りっぱなしのジーンズに惹かれるのは何故ですか?(笑) h:あれは...いきなり出てきたでしょ。 予備知識なくいきなりあの場面が出てきてビックリするわけですよ。衝撃・・・。 k:衝撃だったね(笑)。 h:あんな前半にでてくるのは清楚で綺麗でお姉さんっぽい可愛いハッピーで… k:(リタに対して)面倒見のいい、ね(笑) h:異常に面倒見がいい、ね(笑)。普通はあそこまでしないって言ってる人がいた。 k:手をにぎったシーンとかね。1回めに観た時に<そう>なるとは知らなかったから 「向こう(欧米)の人は初対面の人の手をにぎったりするんだ!」と思った。 h:(人前で)手をつないで歩くことはないみたいだけど、 親愛の情で手をにぎるということはあるみたい。 k:それも異常に手をつないでいた、数えたらね…(笑) h:数えたんだ(笑)それもポイントかもしれないね。 あのミステリアスな女にその時から惹かれていたのかしら。 k:あの、(ダイアンの)夢だからどうとでもなるんですよ。 h:そうか、ああいう恵まれた環境に自分がいるとか。 k:死体を見に行くじゃないですか。その場面でナオミは驚かないんですよね。 まるでそこに死体があるのは知っていたかのように。(もちろん知っているんだけど) 驚いているローラの口をふさいでしまうし。 h:変に冷静だったね。 k:うん。なんであんなに冷静なんだろうと思ってたら、ああいう展開になって…。 なるほどな、自分の頭の中でだったらなんでも知ってるよなぁと思って。 h:なんとでも解釈できるからね。…前半の夢(ラブシーン)でも… いきなり脱いじゃうじゃないですか(笑)。 あれと後半の青い切りっぱなしジーンズの場面、エラい形相の違いがありましたね。 それで、kさんはどちらが好きなのかな?と思ったんですけど(笑)。 k:やっぱり後半の可哀想なナオミのほうがね。 後半のナオミ・ワッツが好きになったのは、 前半と後半の違いを演じ切ったというか女優魂を感じたから。 まぁそれでアカデミ−賞を見てなんて綺麗な人〜と思って…。 h:「マルホランド」では綺麗じゃないんですか(笑)。 k:綺麗だけど、(ダイアンは)なんかどこにでもいる感じの… 後半は落ちぶれて誰も目にとめてくれない二流三流の女優という感じに演じていたし。 h:でもあのシリコンの女優の人は…(笑)…ローラは k:(笑)何回聞いても笑える。 h:カミーラはあの監督といい仲になってトントン拍子に上昇してくでしょ。 で、また別に女がいたりするでしょ。彼女(カミーラ)は一体なんなんでしょうね。 k:性悪です。 h:性悪の、バイセク女ですか。 k:うん、あの、みんなをもてあそぶのが大好きなサディスト。 h:ダイアンは満足?(笑)そんなにしてまでどうしてカミーラが好きなんだろう。 k:そうね。それはちょっとね。だから後半だけ観るとすごい性悪女なのね、カミーラって。 悪すぎて、人間的になにかダイアンに対して特別にもう少しあることを見せておけば…。 あれだともう本当に同情の余地もない…。 h:そうね、どうして二人がつきあってるか分からなかったもの。 後半のラブシーンでも、ダイアンが一方的という感じだったし。 最後は失恋してまでオナったりしてる訳でしょ(笑) k:(笑) h:衝撃的だよね。 k:でもあそこの(場面の)入り方ってすっごい良いよね(笑)。 h:感動してしまった?(笑) k:はじまった♪、みたいな(笑) h:前半のラブシーンの服を脱ぐところではどちらが仕掛けたかのでしょう? k:どちらかというと、おやすみのキスをしようとして、胸が…(笑)、 リタの胸がベティの顔のところに来ていて。そういうことになるでしょう♪みたいな。 ソファーじゃなくてここで寝たら、と誘ったのはベティだけど。 h:(笑)でもベティのほうも相手のことを沸々と思っていたわけでしょう? k:思ってて………。 h:ドカーン!!ときちゃった(笑) k:たぶんね。 h:同じベッドで寝てたらね〜あんな… k:かなわぬ恋をしてたから前半はすんなりと。夢の中だし。 あの場面ではせつない台詞がでてくるんですよね。 ベティが「Have you ever done this before?」 前にしたことあるの? こういう経験があるの?と聞くの。 そうしたらあの女(リタ)は「I don't know.(覚えてないわ)Have you?」って…。 h:でも、したことないとは言ってないよね。それはうまくすり抜けてるというか わからなくさせてるという感じだけど。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ h:いきなり恋愛中から破滅にまで向かってるようだけど 二人の関係(なりそめなど)は・・・ k:台詞では、「シルヴィア・ノース物語」で知り合ったって言ってる。 叔母が死んで遺産が入ってどうのこうの、(映画のオーディションで) 主役はカミーラに取られたけど私(ダイアン)は彼女と知り合えたから、とか。 h:満足なんだ。やっぱりマゾなのかもね〜(笑)。 k:たぶんね(笑)。娼婦もさせられてますよね、ダイアンは。前半の妄想の中で 間抜けな殺し屋が道ばたで、女に聞くじゃないですか。 最近ヨレヨレのブルネットは知らないか?と。その人、多分娼婦なのね。 それが後半、ダイアンは女優しながら裏で売春をしてた伏線。 たぶんダイアンもカミーラが裏で斡旋してると知らなくて。 h:エーッ!! k:ぼんやり分かってるかもしれないんだけど。 後半のパーティーの時にコーヒーを飲んでパッと見たらエスプレッソを吐いた オジサンがいたのね。その前にエスプレッソが映って、その後のカットに オジサンが映るから。ちょっとそこは関係ないんだけど…リンチのお遊びカット。 その後に女が来て、シリコン女とキスをして出て行くのね。 入れ違いにカウボーイが通るでしょ。それをみてダイアンは怒るの。 それでカミーラを見たらフン、って感じの顔をしている。 カウボーイはたぶんポン引きみたいな事をしていて…。じゃないのかなって。 h:女同士だからできるけど男女ならそういうふうにできないね。 でもそんな説明もないからね。考えさせられるね。 k:私も妄想してしまいます。ここがこうなってるんじゃないかな、と。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |