本来のSMにおいて、ご主人様の命令は絶対である。奴隷はどんなにイヤで辛くとも、ご主人様の命に従わなければならないし、虐められる内容に関して自分の希望など適うものではない。このようなSMを好む人たちも居るには居るが、実際に行われているSMと言われている「プレー」の多くは、いわば「SMごっこ」であり、SMチックなプレーを通じてSはS役を演じ、MはM役を演ずるロールプレイングゲームのようなものだ。オレ自身が求めているのも、本格的なSMではなく、いわゆる「プレー」の方だ。
この、SM「プレー」というシチュエーションにおいて、S役は「M役が苦痛や恥ずかしい行為により醜態を晒す様と、その状況に置かれたことにより性的興奮を得ている」と言う情景に興奮する。一方、M役は、「SMという非日常的かつ淫乱なイメージのある状況下に自分を置く事で性的興奮を得る」のに悦びを感じるようだ。したがって、S役は結構好みがうるさかったりするのが一般的で、タイプじゃないMには全く関心を示さない反面、M役はS役を選ぶとき、S役の容姿に関してはあまり頓着せず、寧ろS役の持っている技のバリエーションとテクニックに重きを置くようだ。プレーに際して、S役にはM役の趣向を熟考の上、知力・体力を駆使してM役の満足が得られるようなメニューを提供する役目がある一方、M役には全知全能を自分のために捧げて下さったS様へのせめてもの恩返しとして、S役が興奮できるような反応をする役目があると思う。
このように、「SMプレー」とは頭脳的プレーであるから、役者っ気のある奴や、頭の回転の良い奴じゃないとなかなかエンジョイは出来ないものなのである。
S役がM役の性的興奮を高めようとする際に厄介なのは、「非日常的」とか、「淫乱なイメージ」とか、「苦痛」、「屈辱」等に関し、抱いているイメージがM役それぞれでかなり違うことだ。あるMにとっては物足りない軽い痛みが、別なMにとっては興奮を通り越して単なる苦痛としかならないケースは良く目にする。プレーの前にある程度面談するとしても、会話でわかることは程度が知れている。Mにとって良いSとなるには、実際にプレーに入った後に、Mが見せる反応に細心の注意を払い、それぞれのMにとって最も適したレベルでプレーが維持できるよう臨機応変にメニューを変化させなければならない。従って、定評あるS役は、かなりの気配り上手な人であるのが普通だ。また、いくら「プレー」とは言え、M役は身体の自由を奪われた状態に置かれるのだから、M役にしてみればSMとは大袈裟に言えば命がけの行為である。いくら非日常体験を味わうとは言え、スリルが恐怖に変わってしまったり、怪我などをしてしまう恐れがあっては楽しみでなくなるわけだ。従って、M役にとって「安心して身体を任せられる」信頼感があることがS役に要求される。加えて、多くの経験を有し、技のバリエーションが豊富であることが必要とされるのは言うまでもない。
初心者には意外に思えるだろうが、Mからの信頼の厚いS役の人は「気配り上手」で「賢そう」で、身なりのきちんとした落ちついた雰囲気の人であることが多い。勿論、プレー中やホームページの中でのSなお方は、「非日常性」を演出するために、言葉遣いや、時には装束等を「おどろおどろしい」ものに変貌させるのだがな(笑)。
オレ自身がこれまで多くの奴隷志願者と面接を重ねてきた過程で、Mを志す者の雰囲気は大きく二つに分けられると感ずる。圧倒的に多いのが、「ナルの入った輩(たいてい美形)」である。残りは、一般的に見ると「全くもてそうにない輩」だ。後者によくよく動機を聞くと、「普通に男探しをしても全然相手にされないので、SMという変態プレーを自ら志せば、(恐らく)相手探しに不自由している(と勝手に思いこんでいる)Sの方にかまって貰えるのではないかと・・・」等と、困った動機をほざく。これまで述べてきた事を鑑みれば容易にわかることなのだが、S役の方が負担が大きいのに「普通に男探しをしても全然相手にされない」タイプでもない奴(たまたまそのS役にとってタイプなら話は別だが・・・)のためにS役が全知全能を傾けた重労働をするわけがない。従って、こんな奴とのSM「プレー」は成立しない。加えて、ゲイの美形には「ナル」が入っている場合が多いので潜在的な「プレー」志願者はかなり多く、寧ろ実績あるS様の供給の方が足りないくらいで、SがM探しに困っていると言うのは大いなる勘違いだ。こういう勘違い野郎には状況を説明して「馬鹿な気は起こすな」と諭している正和様だ。
さて、「ナルの入った美形」も色々なタイプに細分化出来る。
一つは流行のファッションを身に纏い、綺麗に着飾っている輩だ。こういう奴等は「かっこいいボクがこんなに汚れている・・・」という情景に興奮するようで、「縄を打って鏡の前で・・・」のようなプレーを概ね好む反面、鞭や蝋燭は敬遠したがる場合が多い。また、「オマエは如何に汚らわしい状況に置かれているか」を主体にした言葉イジメが効く。
次に、「勉強や仕事の出来るおぼっちゃまタイプ」は、日頃演じている「良い子(人)」の鎧から解放されたいのか、「悪さをしてお仕置きをされる」ようなシチュエーションを好むようだ。こういう奴は目隠しをして椅子に縛り付けられたりして、時には痛みや熱さをミックスしてやると悦ぶケースが多い。言葉イジメは、「オマエはホントは変態で、かなり淫らなオスなんだ」と、PTA的社会規範に晒すと「悪い子」であるという線で攻めるのが効果的だったりする。
最後は体育会系のノリって奴。「先輩の奴隷」ってノリが出来る奴とは何とか奉仕プレーが可能だが、多くの場合「体育会系のノリで・・・」って奴等の願望は「一方的に激しくケツを犯されたいだけ」で、正和様のキーワードである「屈辱」や「羞恥」に晒される状況を好まなかったりする。加えて、雄叫びはあげるかも知れないが、この手のウケ役は自分の快楽を貪るだけで、ご主人様に対するご奉仕や感謝を込めた反応が殆ど期待できないので、こいつらの願望をSMと言う範疇に含めることは出来ないように感ずる。従って、この手の申し出をしてくる奴に関しては、面接すら断りがちな正和様である。
正和様が面接で気に入る奴隷志願者は、彼氏(彼女)持ちであることが多い。で、異口同音に「彼氏のことを愛している。別れるつもりもない。」と言う。「彼氏が居るのに何故奴隷志願をしたか」との問いには「彼氏はセックス面で淡泊」だったり、「彼氏がネコでSEXがつまらない」、「年下の彼氏相手にタチを演ずるのに疲れたので、たまには苛められてみたい」、「彼氏の前で淫らな姿を見せたくない」等の理由に加え、「SMプレーは浮気にはならない」と言う奴が少なからず居る。
この意見はなかなか言い得て妙に思える正和様だ。これまで述べてきたように、正和様の好むSMプレーとは「非日常性」をエンジョイするものだ。「ヴァニラ」・「SMプレー」という「日常」・「非日常」に、「彼氏」・「ご主人様」という「日常」・「非日常」がオーバーラップして読みとれる。一般的なSEXを彼氏以外とすると「浮気」以外の定義付けが出来ず道義的なわだかまりが生ずるだろうが、「彼氏」と「ご主人様」は別格で違うものだと割り切って考えれば、良心の呵責を感じずに彼氏とは違う相手との性的な遊びをエンジョイできるって事のようだ。SMプレー中はいちゃいちゃ・べたべたはせず、ラブラブと言うよりスポーツ感覚なのも良いのだろう。加えてM役の場合は、プレー中は「自分の意志」で何かをするのではなく、ご主人様に「強要」されて「仕方なく従う」という役回りを演ずることになるのも免罪符となる面があるらしい。
この手の考えに至る輩は、SEXに対する好奇心やバイタリティーが旺盛で、いろんな相手といろんなSEXを楽しみたいという欲求を潜在的に持っている。「彼氏」の存在する「日常」により抑圧されて居るその欲求を、SMプレーという非日常的な性体験で解放したいって事のようだ。従って、プレーが始まるとノリ良く非日常をエンジョイする「役者」になれる場合が多く、正和様に対して「愛」等というというヘビーかつsissyな概念を押しつけてくることが少ない。従って、正和様自身も、ご主人様と奴隷というハッキリしたスタンスを崩さず、淡々とプレーを進行できてやりやすいってわけだ。
#加えて、彼氏(彼女)を作ろうと色々画策しても上手く行かず、悶々とした日々を送っているような奴に比べ、コンスタントにパートナーの居る奴は、人から好かれやすいプロパティーの持ち主だと言うことも、正和様が気に入る理由となっているのかも知れない。
では、正和様自身が「彼氏とSMが出来るか?」って問いは・・・。これには「NO」と答えておこう。この正和様自身も、彼氏とはベッドでいちゃいちゃ・べたべたして「日常」の落ち着きを求めていたい男なのである(笑)。
M役はS役を選ぶとき、S役の容姿に関してはあまり頓着しないと述べたが、この事につけ込んで、大した経験やスキルがないにもかかわらずSを称して若者を漁るオヤヂが居る。経験豊富なMともなれば、面談の過程で偽Sを見破ることは容易だが、初心者、特に若専偽Sオヤヂが特に好む20代前半まででSM経験の少ない綺麗系のM志願者は騙されないよう注意が必要だ。SMプレーとはM役が淫らな気分を高揚していくことでお互いハッピーになるものなのに、偽SとのプレーではM役は大方苦痛、酷いときには肉体的な危険が与えられるだけで、SMプレーによる快楽を享受することが出来ない。結果、SMプレーの素晴らしさに触れる前に、「SMはもうこりごり」と言うことにだってなりかねないのである。
指向するプレー内容に関する打診が全くないまま、プレーを勝手に進行していく輩は論外であるが、M役の意向を確認する会話があった場合、初心者にとって相手が偽Sであることを見破ることはプレーが終わるまで難しい。通常、S様がプレー前にMと雑談(と言っても経験豊富なS様は雑談をしているように装い、Mの指向を読みとろうとしているのだが)するときは和やかな雰囲気でなされることが多い。しかし、たとえ会話自身が「おどろおどろしい雰囲気」でなされたとしても、雰囲気を出すためにそのような聞き方をしているかも知れないのが難しいところだ。初心者がプレー前に相手を素性を見抜く目安としては、「S様が信頼されるに足りうるか」と言う点くらいだろうか。信頼されうるS様は、これまでにも多くのMとのプレーを重ねてきているはずで経験も豊富だ。「この人にだったら任せても安心」と思わせるような、何らかの人間的な魅力を持ち合わせているかどうかを判断できれば失敗も少なかろう。
ここで気を付ける点は、「そのS様が自分のタイプかどうか」と言う基準のみで判断してはいけないと言うことだ。自分的にLoverとしてイケてなくても、「こういう人を好む人は結構居そうだな」と思うS様なら、そういうS様を好む輩とのプレー経験が豊富であるという可能性がある。注意したい相手は、デブ専、パパ専、フケ専、SG系・・・・・、等の何れのフェチにも該当せず、Sを名乗るその人を好むであろう人が少ない雰囲気の持ち主だけだ。
SMプレーがロールプレイイングゲームであることを考えると、そのS役とM役の間の相性も問題となる。ベテランSとベテランMとのプレーでも、ファンタジーを共有できなければお互いにハッピーにはならない。プレーをしてみたものの、充分な興奮が得られなかったMは、自分の指向を面談なりプレー中のよがり狂い方なりできちんとS様に伝える努力をしたか振り返って考えて欲しい。充分に努力しているにもかかわらず快楽が享受できないのであれば、それは相性が悪いと言うこと。S様にはお暇をいただいて、新しいご主人様を探した方がお互いにハッピーだ。
正和様と性的関係を持った知人の間にも、不幸にしてHIVに感染した人々が、知る範囲だけでも全国各地に数名居る。彼らは勇気をもって自分がHIV+であることを知らせ、かつて関係を持った人々に検査を奨めてくれたが、知らせてくれない人、未だ本人さえ気づいていないキャリアも含めれば、そこそこの人数と関係を持てば、STD感染者とあたっているはずと考えるべきだ。従って、セーフセックスは確実に励行しなければならない。セーフセックスの指針については専門的に扱うページも多数あるのでここでは触れないが、ここの読者諸君にはセーフセックスに関する正しい知識を身につけ、SMに限らずヴァニラSEXであれ、場に流されない強い意志を持ってセーフを励行して貰いたい。そして、定期的な検査をお奨めしたい。
SMプレーにおいては、普通のSEXよりも激しいこともする分、性感染症に対するリスクが増す。従って、きちんとしたS様は、かなり以前からセーフセックスに真剣に取り組んできた。正和様自身も、生で指を肛門に差し込む事は殆どなく、SMプレーでは必ず外科手術用手袋を使っている。これは、爪などで腸壁を傷つける事による出血を防ぐためでもある。生バックなど当然しないし、フェラにもゴムを使うよう指導している。プレー前後での器具の洗浄・消毒にも注意している。ところが、中途半端な奴等は「そんなことでSMが出来るか・・・」ってな訳の分からぬノリで危険なプレーをしている話を耳にする。賢明なるここの読者は、このようなセーフセックスが出来ない奴とは絶対に関係を持たないで欲しい。セーフセックスを考えていない輩は、余所でも危険な行為をしているって事だ。それだけ感染症に関するリスクだって高い。
M役も、新しいS様とプレーをする前に、「セーフセックスでお願いできますか?」位は尋ねて良い。このご時世にその質問で怒り出すようなSは、およそ「気配り上手」とは考えられず、偽Sの一派だろうからプレーの質もたかが知れている。ダメだというならこっちからプレーを願い下げた方が賢明だ。正和様も聞かれることはあるが、寧ろ聞く奴の方が「日常的にも注意していてリスクの低い奴なんだな」とかえって好印象で、安心してプレー出来るってものだ。
正和様が筋金入りのS様であることを隠して(笑)関係を持った坊や達にも気になるところがある。「自分は基本的に彼氏としかシナイ」から「相手は特定少数」で、「彼氏は真面目な人で、ボクの事だけを真剣に愛してくれている」から「病気である訳がない」ので、何でもアリって論理を良く耳にする。しかし、考えてみて欲しい。年下のかわゆい坊やの「兄貴」を演ずるのに疲れ、はじける為に正和様の門を叩く「真面目そうで、坊やを真剣に愛しているように振る舞っている」輩は少なくないぞ〜。あたった相手が正和様なら良かろうが、セーフセックスに無頓着な偽Sとプレーしているかも知れないのだから・・・。