法医学って何よ。





人はいつか死にます。 ごく当たり前のことです。 寿命がくれば…、でもごく稀に、おかしな?死に方をする人達がいます。
あんなに元気だったのに、なぜ急に…。
どうして死んでしまったのか分からないときは、徹底的に調べなければならないの。
例えば、自殺したのか、他殺なのか、どういう経緯で死んでしまったのか。 死んだ人の中には、この世に残したものがあり、成仏できない人もいるでしょう。 そんな人達の最後の言葉を聞いてあげるお仕事があります。

死因が良く分からない死体や、犯罪のにおいがぷんぷんする死体なんかは、『刑事訴訟法』第百六十五条および、第百六十八条により司法解剖されることになるの。

で、その『刑事訴訟法』を参照すると…

第十二章 鑑定
第百六十五条 裁判所は、学識経験のある者に鑑定を命ずることができる。
第百六十六条 鑑定人には、宣誓をさせなければならない。
第百六十七条 被告人の心神又は身体に関する鑑定をさせるについて必要があるときは、
             裁判所は、期間を定め、病院その他の相当な場所に被告人を留置することが
             できる。
(2) 前項の留置は、鑑定留置状を発してこれをしなければならない。
(3) 第一項の留置につき必要があるときは、裁判所は、被告人を収容すべき病院その他
        の場所の管理者の申出により、又は職権で、司法警察職員に被告人の看守を命ずる
        ことができる。
(4) 裁判所は、必要があるときは、留置の期間を延長し又は短縮することができる。
(5) 勾留に関する規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、第一項の留置に
        ついてこれを準用する。但し、保釈に関する規定は、この限りでない。
(6) 第一項の留置は、未決勾留日数の算入については、これを勾留とみなす。
第百六十七条の二 勾留中の被告人に対し鑑定留置状が執行されたときは、被告人が留置
                 されている間、勾留は、その執行を停止されたものとする。
(2) 前項の場合において、前条第一項の処分が取り消され又は留置の期間が満了した
        ときは、第九十八条の規定を準用する。
第百六十八条 鑑定人は、鑑定について必要がある場合には、裁判所の許可を受けて、人の
             住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り、身体を検査し、
             死体を解剖し、墳墓を発掘し、又は物を破壊することができる。
(2) 裁判所は、前項の許可をするには、被告人の氏名、罪名及び立ち入るべき場所、
        検査すべき身体、解剖すべき死体、発掘すべき墳墓又は破壊すべき物並びに鑑定人
        の氏名その他裁判所の規則で定める事項を記載した許可状を発して、これをしなけ
        ればならない。
(3) 裁判所は、身体の検査に関し、適当と認める条件を附することができる。
(4) 鑑定人は、第一項の処分を受ける者に許可状を示さなければならない。
(5) 前三項の規定は、鑑定人が公判廷でする第一項の処分については、これを適用しない。
(6) 第百三十一条、第百三十七条、第百三十八条及び第百四十条の規定は、鑑定人の
        第一項の規定によつてする身体の検査についてこれを準用する。
第百六十九条 裁判所は、合議体の構成員に鑑定について必要な処分をさせることができる。
             但し、第百六十七条第一項に規定する処分については、この限りでない。
第百七十条 検察官及び弁護人は、鑑定に立ち会うことができる。この場合には、第百五十七
           条第二項の規定を準用する。
第百七十一条 前章の規定は、勾引に関する規定を除いて、鑑定についてこれを準用する。
第百七十二条 身体の検査を受ける者が、鑑定人の第百六十八条第一項の規定によつてする身体
             の検査を拒んだ場合には、鑑定人は、裁判官にその者の身体の検査を請求する
             ことができる。
(2) 前項の請求を受けた裁判官は、第十章の規定に準じ身体の検査をすることができる。
第百七十三条 鑑定人は、旅費、日当及び宿泊料の外、鑑定料を請求し、及び鑑定に必要な
             費用の支払又は償還を受けることができる。
(2) 鑑定人は、あらかじめ鑑定に必要な費用の支払を受けた場合において、正当に理由が
        なく、出頭せず又は宣誓若しくは鑑定を拒んだときは、その支払を受けた費用を返納
        しなければならない。
第百七十四条 特別の知識によつて知り得た過去の事実に関する尋問については、この章の規定
             によらないで、前章の規定を適用する。
って、書いてあるの。 良く分からないけど、とにかく、鑑定の必要がある死体が見つかったら、専門の人がその死体を鑑定するんだなぁ…という事の様です。


それでもって、鑑定しなくても、「あ、こりゃ、自殺だなぁ」とか、「中毒死だ、これは。」なんて時は、『行政解剖』っていうことになってしまうの。 だから、そんな時は、法医学教室の方にはこないわけ。
つまり、司法解剖は、刑事訴訟法に基づいて処理される事件(司法事件)のために行う解剖のことを言って、行政解剖は刑事訴訟法以外の法律に基づいて処理される事件(行政事件)のために行われる解剖のことを言うの。
司法解剖は、捜査上の資料を得るために検察官や警察官からの嘱託を受けて行う場合がほとんどで、裁判所に『鑑定処分許可証』を申請して、それで遺体が大学の法医学教室に運ばれて解剖されることになるの。


鑑定(検死)を行うのは、「監察医」や「警察医」と呼ばれる人達なんですが、監察医の場合、『監察医制度』を導入している市町村が限られているんで、一般臨床医が鑑定(検死)をする場合もあるの。 一般臨床医の人達は専門じゃないんで、外見のみで死因を決定したりするもんだから、細かな報告が上がってこなかったりするわけ。(結構、差があるらしい。ということにしておきます。)
『監察医制度』っていうのは、東京都23区内・横浜市・大阪市・神戸市で採用されていて、『準監察医制度』っていうのもあって、沖縄・茨城・神奈川・福岡などで採用されてるの。


  毛髪や血液型や骨等の科学調査の場合、警視庁付属機関の『科学警察研究所』にある『法医第一研究室(毛髪など人体組織)』や、『法医第二研究室(血液などの体液)』で行われてるの。
さらに、毒物を担当する『化学第二研究室』や銃器類の鑑定を行う『第二機会研究室』などと連携し、死因や死亡状況、凶器の判定を行うことになるの。


だいたい、分かりました? 要するに、いろんなケースでもって法律で定められた人達が死体を調べてるのよ。 で、鑑定に必要な知識というのが、『法医学』っていう学問になるわけ。



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