デュラン・デュラン
Duran Duran

DECADE 1989 Capitol Records Inc.

(バンド紹介)
 1978年結成。80年代に一世を風靡したニューロマンティック・ムーブメントの代表的バンド。元祖ビジュアル系といってもいいだろう。メンバーの脱退があったりして、かなり落ちぶれた時期もあったが、スタイルを変化させながら今でもがんばっている。

ニューロマンティック・ファンク

(購入日:1999-02-20)
 誰でも名前くらいは聞いたことがあるバンドだろう。あんまり覚えてないけれど、MTVのビデ オがやたらと派手だったような気がする。今ではこの「DECADE」以降のヒット曲も収められた新しいベスト・アルバム「GREATEST」が市場に出回っている。チキショー、また損したぜ。でも、全盛期のヒット曲はおそらく全部収録されていると思うので、まあいっかと無理やり納得。

  「なんでこんなに汚らしいジャケットなんだ?」というのが最初の印象。自分たちのニューロマンティック的な姿にドレッド・ヘアーをグチャグチャと落書きしている。黒人音楽をリスペクトしている自分たち本来のアイデンティティーを、このジャケットで誇示したかったのだろうか。もしそうなら、ルックスが良すぎたことがデュランデュラン最大の不幸であったのかも。人生はなかなか難しい…… ところで、中ジャケに富士山があるけど、おそらく彼らは親日家なんだろう。かなり日本で売れたしね。

01.Planet Earth 1981 (4:07)
01.(Taylor-Taylor-Taylor-Rhoedes-Lebon)
 ファンキーなベースが心地よい好ナンバー。盛りあがるわけでもなくダラダラしたところが不思議にいい感じ。

02.Girls On Film 1981 (3:30)
02.(Taylor-Taylor-Taylor-Rhoedes-Lebon)
 1曲目と同様にリズムが楽しいゴキゲンな一曲。デュラン・デュランはニューロマンティック・ファンクだぜと実感。ベースが本当にカッコいい。

03.Hungry Like The Wolf 1982 (3:25)
03.(Taylor-Taylor-Taylor-Rhoedes-Lebon)
 デュラン・デュランと聞くとこの曲を思い浮かべる人が多いのでは? 実は私もその一人だったりする。今聞くとけっこうノンビリした曲だ。このあたりから音がファンクからだんだんロックよりになってきて、デュラン・デュラン独特のロマンティックな音世界が完成する。当然のことながら、ファンキーさは一歩後退。

04.Rio 1982 (5:38)
04.(Taylor-Taylor-Taylor-Rhoedes-Lebon)
 非常に凝った作りの曲。メロディー・アレンジともに前半の中では最高の出来だろう。えぐるようなリズムが爽快。でも、展開に凝りすぎていて曲の流れがどうもギクシャクしているような印象を受ける。

05.Save A Player 1982 (5:33)
05.(Taylor-Taylor-Taylor-Rhoedes-Lebon)
 文句なしの名曲だと思う。私は好きだ。モゴモゴしたベースがマル。そういえば、日本にいたときフィットネス・ジムのエアロビクスで、この曲をアップテンポにしたものが流れていたな。この曲でガンガン踊りました。

06.Is There Something I Should Know 1983 (4:05)
06.(Taylor-Taylor-Taylor-Rhoedes-Lebon)
 このあたりからボーカルの歌唱法が変わったのか、ヘナチョコがいきがっているような「フニャアアア(?)」という鼻にかかった変なシャウトが飛び出すようになる。この辺りからデュラン・デュランはその全盛期を迎えたというのは間違いない。しかし、私としてはこの変なシャウトの出現とともにデュラン・デュランはダメになっていったような気がする。

07.Union Of The Snake 1983 (4:20)
07.(Taylor-Taylor-Taylor-Rhoedes-Lebon)
 中途半端なハードさがとにかくいただけない一曲。デュラン・デュランは別にハードロック・バンドじゃないんだから。やっぱり鼻にかかった変な「フニャアアア」シャウトが好きになれない。

08.The Reflex 1983 (4:25)
08.(Taylor-Taylor-Taylor-Rhoedes-Lebon)
 3曲目と同様にデュラン・デュランといえばこの曲。メロディー・アレンジともにデュラン・デュランの最高傑作だろう。しかし、完璧なものをつくってしまって、ここらあたりからそろそろ息切れするのではという悪い予感がムンムンする。もちろん変な「フニャアアア」シャウトは健在。

09.Wild Boys 1984 (4:16)
09.(Taylor-Taylor-Taylor-Rhoedes-Lebon)
 悪い予感的中。ダメになってきました(笑)。7曲目と同系統の中途半端なハードロック。耳ざわりなのでお願いだからこれ以上「フニャアアア」シャウトはやめてくれ。

10.A View To Kill 1985 (3:33)
10.(Taylor-Taylor-Taylor-Rhoedes-Lebon/John Barry)
 この曲から「フニャアアア」シャウトが若干緩和されるので内心ホッとする。しかし、デビューの頃の弾むようなリズムの元気さはもう見うけられない。普通のポップロック・バンドになり下がってしまった。この曲あたりからガクッとアルバムのテンションが下がる。

11.Nortorious 1988 (3:58)
11.(Taylor-Rhoedes-Lebon)
 中途半端にファンキーなナンバー。そろそろ原点回帰といったところだろう。ミーハーなファンはとまどったらしいが、これが本来のデュラン・デュランの姿ではないのか。しかし、もはや手遅れである。デュラン・デュランは老いてしまった。ここら辺りから聞くのが悲しくなってくる。

12.Skin Trade 1986 (4:25)
12.(Taylor-Rhoedes-Lebon)
 中途半端にソウルフルな一曲。当時、方向性にかなり迷いがあったことがありありとうかがえる。

13.I Don't Want Your Love 1988 (3:47)
13.(Taylor-Rhoedes-Lebon)
 これまた中途半端なブラック・ミュージック。思いきった試みが完全に裏目に出ている。もはやデュラン・デュランに全盛期の輝きはない。

14:All She Wants Is 1988 (4:36)
14.(Taylor-Rhoedes-Lebon)
 あるのかないのかよくわからない陰の薄い曲。このベスト・アルバムの中での貢献度はゼロといってもいいだろう。そういえばこの曲のビデオだけはリアルタイムで見たのを覚えている。

 アルバム全体を聞いてみた感じとしてやっぱり初期が最高。1曲目、2曲目、5曲目が私のお気に入り。アルバムのノリは8曲目の「Reflex」で頂点を極め、10曲目「A View To Kill」あたりから坂道を転がり落ちるようにダメダメになっていくのが悲しい。それから1993年の「Ordinary World」の大ヒットまで、デュラン・デュランの完全復活はしばし時間がかかるのでありました。

 私の友人でデュラン・デュランのデビュー・アルバムに感銘を受けてベース・ギターを手にした奴がいる。なんか笑い話みたいだけれど、ファンキーなリズム、特にベーシスト(ジョン・テイラー)が本当によろしい。一時はライブでレゲエをやっていたというから驚きだ。

 「フニャアアア」シャウトとかいって途中徹底的にこきおろしたところもあるけど、メロディー・アレンジどれをとってもすばらしいバンドであることは間違いない。演奏もそんじょそこらのバンドとは比べものにならないくらいうまいそうだ。ルックスが良すぎてチャラチャラしたビジュアル系バンドだと思われたのがデュラン・デュラン最大の不幸だったのかも。個人的にデュラン・デュランはニューロマンティック・ファンク・バンドだと思う。

 一般的にアルバム自体の完成度はセカンドとサードが最高だろうが、ひねくれものの私はファンキーで初々しいファースト・アルバムなら買ってもいいかなという気がする。(Psyc)


Back


1