フランキー・ゴーズ・トゥー・ハリウッド
FRANKY GOES TO HOLLYWOOD

BANG!... 1991 ZTT Records Ltd.

(バンド紹介)
 1980年結成。1987年解散。過激で強引なマーケティング手法によって80年代中期に一大センセーションを巻き起こした天下無敵の一発屋。アーティストそのものより、トレバー・ホーンがプロデュースしたバンドとして有名。終始オーバー・プロデュース気味のトレバー・ホーンとバンドのメンバーがケンカをして、人気が出てからあっというまに解散した。

天下無敵のハードゲイ、じゃなくて一発屋

(購入日:1999-06-XX)
 真っ赤なジャケット。真ん中に旗を持ったムキムキ男の絵が書かれてあって、そこはかとなくゲイ・テイストなのかと思いきや、遠目で見たらそのまんまケツの穴という感じもしないでもない(笑)。中ジャケ・裏ジャケも凝っていて、当時の過激なマーケティングの雰囲気が味わえる。そりゃ売れるわな。

01.Relax (3:55)
01.(Gill/Johnson/O'tool)
 名曲。テクノでもないし、ユーロビートでもないし、かといってもロックでもないという、フランキーらしいドギツいエレクトロニック・ポップソング。こういう音ってけっこうありそうで、なかなかなかったりする。ゲイすぎてビデオは放送禁止になった。おまけに、歌詞はエッチすぎるらしい(笑)。全英No.1ヒット。

02.Two Tribes (3:54)
02.(Gill/Johnson/O'tool)
 このバンドの最高傑作に違いない。ズドドドドドドと突撃するようなビートが炸裂する凶暴なポップ・ソング。メロディーもアレンジも抜群。全英チャートで連続9週間No.1になっていたというのもうなづける。ちなみに、1位がこの曲で、2位が「Relax」というときもあったらしい。スゴすぎる(笑)。ビデオはレーガン大統領とアンドロポフ書記長のそっくりさんが観客の目の前で殴り合うという過激なものだった。

03.War (4:14)
03.(Strong/Whitfield).
 一曲目と二曲目と比べて少しトーンが下がるけどフランキーらしい佳曲といっていいだろう。

04.Ferry Cross The Mersey (4:03)
04.(Marsden)
 「Relax」のシングルのB面に収録されていた曲。カバー曲みたいだけど、これはトレバー・ホーンの趣味なんだろうか? ちょっと小休止という感じ。

05.Warriors Of The Wasteland (3:55)
05.(Gill/Johnson/O'tool/Nash)
 四曲目で一休みしたが、この曲でもう一度パワーが全開する。かなりロック寄りの曲といっていいだろう。でも、ストレートすぎてちょっとドギツさが足りない。実はトレバー・ホーンのプロデュースではなかったりする。

06.For Heaven's Sake (4:27)
06.(Gill/Johnson/O'tool/Nash)
 この曲もトレバー・ホーンのプロデュースではない。メロディーがいいことは間違いないけど、やっぱりイマイチ強烈さに欠ける。

07.The World Is My Oyster (1:57)
07.(Gill/Johnson/O'tool/Nash)
 8曲目の前奏といった短い曲。

08.Welcome To The Pleasuredome (13:39)
08.(Gill/Johnson/O'tool/Nash)
 10分を超える大曲。緊張感が高いのでダレることなく最後まで聞いていられる。このアルバム中盤の最大の聞きどころである。バンドのメンバーには悪いけど、トレバー・ホーンがプロデュースしているこういう曲のほうが断然出来がいいと思う。

09.Watching The Wildlife (3:58)
09.(Gill/Johnson/O'tool/Nash)
 大曲「Welcome To The Pleasuredome」を乗り越えるとアルバムのテンションがグッと落ちる。強引なマーケティング手法で人気を得たバンドだけに、全力疾走から一旦つまづくと、全てが一気にガラガラと転がり落ちたに違いない。メロディーは相変わらずいいけど、一曲目や二曲目と比べてみれば、ただのポップソングといった感じがする。

10.Born To Run (4:00)
10.(Springsteen)
 いきなりブルース・スプリングスティーンである。突然のことなので何事かと思ってしまう。ベスト・アルバムだからアルバム一枚のコンセプトが希薄であるにしても、これはちょっと浮きすぎである。おそらくこれはメンバーの趣味嗜好なのだろう。本当はこういうことがやりたかったのか? なんのひねりもない実にストレートなロックンロール。

11.Rage Hard (5:04)
11.(Gill/Johnson/O'tool/Nash)
 フランキー最後のヒット曲。決して悪い曲じゃないけど、もう少しで駄曲になってしまうようななにかしらのあやうさと、無理してがんばっているような一抹の寂しさが感じられる。全英No.4ヒット。

12.The Power Of Love (5:28)
12.(Gill/Johnson/O'tool/Nash)
 「Relax」、「Two Tribes」に続く、フランキーの3番目のシングル。バラードだけどこれも全英No.1ヒットである。やっぱりフランキーの曲はメロディーがいい。

13.Bang (1:08)
13.(Gill/Johnson/O'tool/Nash)
 「Franky says......」と繰りかえされるこの曲(?)で静かにこのアルバムは幕を閉じる。

14.Relax(New York Mix) (7:25)
14.(Gill/Johnson/O'tool)
 ボーナストラックその1。「Relax」のリミックス。原曲がいいのでなにをやってもOKである。こうやって大々的にリミックスを販売したアーティストはひょっとしたらフランキーが最初なのかもしれない。

15.Two Tribes(Tecno Prizoner Featuring Adamski ) (6:20)
15.(Gill/Johnson/O'tool)
 ボーナストラックその2。「Two Tribes」のリミックス。これも原曲がいいのでなにをやってもOKである。

 実は私が生まれて始めて買ったアルバムは、このバンドのリーダーであるホリー・ジョンソンのソロアルバムである。今となってはお恥ずかしい限りだ。だからというわけじゃないけど、このバンドに関していちいちケチをつける気が起こらない。名プロデューサーであるトレバー・ホーンばかりが世間で脚光を浴びているが、ソングライターとしてバンドのメンバーも同様に評価されていいのではないだろうか。彼ら独特のポップな音世界は今でも十分鑑賞に耐えることができる。

 ちなみに、リーダーのホリー・ジョンソンは現在エイズに感染して半ば引退状態だそうだ。やはり、いきずりの相手との激しいアナル・セックスにはコンドームをつけなければならない、ってそういう問題じゃないか(笑)。

 派手に飛び出して一瞬で散った一発屋だけに、このベスト・アルバムにはなにかしらの異様なパワーがある。奇妙といえば奇妙かもしれない。ゲイの方にも、ストレートの方にも私はお勧めします。(Psyc)


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