カンサス
KANSAS

THE BEST OF KANSAS 1984 CBS Inc.

(バンド紹介)
 1970年結成。いわゆる「アメリカン・プログレハード」を代表するバンド。主に70年代に活躍したが、解散・再結成を経て現在も(たぶん)健在。英語の発音は「カンサス」ではなく、おそらく「カンザス」だと思うが、なんで修正しないのか? まあ、とりあえず「カンサス」としておこう。

米ロック+英ロック=雑なプログレ

(購入日:1999-02-20)
 アメリカン・プログレハードの雄、カンサスのベスト・アルバム。「大味なシュールリアリズム」とでもいえばいいのか、いきなりジャケットがダサい。左腕がメカ(?)の髭のオッチャンが吹き出しで「KANSAS」と叫んでおります。この髭のオッチャンは他のジャケットにも使用されているけどいったい何なんだ? なにはともあれ、このジャケットから、カンサス独特の流れるようなハードな音が飛び出すとは誰も思うまい。

01.Carry On Wayward Son 1976 (5:22)
01.(K.Livgren)
 カンサスといえばこの曲。今でも相当に人気のある曲なのか、アメリカのラジオで一日一回は必ずといっていいほど流れる。始めてこの曲を聴いた時、私は鳥肌がたつような衝撃を受けた。カッコよすぎる。しかし、個人的には「ゴウッ(?)」という掛け声があがった後の展開がどうにも雑なのでその部分があまり好きじゃない。まあ、その「荒っぽさ」がまたカンサスのいいところでもあると思うが。

02.Point Of Know Return 1977 (3:11)
02.(S.Walsh&P.Ehart&R.Steinhardt)
 「ハウロング!」と貧血を起こしてしまいそうなシャウトで無理やりガンガン盛り上げる2曲目。意外と音が薄っぺらい。でもいい曲だ。

03.Fight Fire With Fire 1983 (3:40)
03.(J.Elefante&D.Elefante)
 個人的には1曲目と同じくらいお気に入り。カンサスにしては重厚な曲である。じっくりとパワーをセーブしているような雰囲気がマル。特に、スピーカー中に吸い込まれて無限の彼方に飛翔してしまうような出だしのボーカルがすばらしい。なにはともあれ、1曲目からこの3曲目までを聞くためだけでも、このベスト・アルバムは「買い」であると思う。

04.Dust In the Wind 1977 (3:27)
04.(K.Livgren)
 ちょっと一休みの4曲目。「すべては風に舞う塵……」と歌われる無常なバラード。バイオリンの音色が美しい。しかし、一本調子なので飽きてしまう。

05.Song For America 1975 (9:08)
05.(K.Livgren)
 大曲。メロディーがいいからそんなに長さを感じさせない。でも、あんまり私にとって心踊る曲ではないな。

 悲しいことに、この5曲目を境にアルバムのテンションはどんどん下降線をたどる。

06.Perfect Lover 1984 (4:19)
06.(J.Elefante&D.Elefante)
 このアルバム中最大の問題作といってもいい未発表曲。決して悪い曲ではないが、妙に雰囲気が浮いてしまっている。本当にいい曲だったらちゃんと「発表」しているはずなので、やっぱり未発表曲ってのはよくない。

 それに反省したのか、新しくリリースされたバージョンではこの6曲目が削除されて、新たに他の3曲が追加されている。私は古いバージョンを買ったのでなんだか損した気分。「ベスト」なんだからアルバムの内容を変えないでほしいものだ。

07.Hold On 1979 (3:52)
07.(K.Livgren)
 悪い曲じゃないけどなんだかクドイ。聴き終わったらウップごちそうさまという気分になる。

08.No One Together 1979 (6:57)
08.(K.Livgren)
 なかなか軽快でポップな一曲。音がかなりスカスカなので往年のカンサス・ファンは当時さぞショックを受けただろうと勝手に想像してしまう。

09.Play The Game Tonight 1982 (3:26)
09.(K.Livgren&P.Ehart&R.Williams&D.Flower&R.Frazier)
 7曲目と同様にかなりクドイ曲。本当にこの曲はあのカンサスなのかと、往年のカンサス・ファンは当時さぞショックを受けただろうとまたまた勝手に想像してしまう。

10.The Wall 1976 (4:49)
10.(K.Livgren&S.Walsh)
 米国のカンサス・ファンの中では最も人気がある曲だそうだ。素直に名曲だと思う。しかし、バラードだから全体の中での印象は薄い。そして、このアルバムは静かに幕を閉じる。

 決してけなしているつもりではないが、アメリカン・ロックとブリティッシュ・ロックのおいしいところをミックスしているようなバンドだけに、プログレにしては雑な感じがする。そういったところですぐに飽きてしまった。確かに悪くはないんだけどね。しかしながら、1曲目と3曲目は私の心の中で永遠に輝き続けるだろう。オリジナル・アルバムのクオリティーは高いと思うけれど、たぶん買わないだろうなあ。

(追記) アメリカン・プログレハードのもう一つの雄、ボストンのベスト・アルバムは絶対買わないつもり。ベストなんか買うより大傑作ファーストと超傑作セカンドを買うのがいいと思う。未だにCDは購入していないが、テープに録音したものを青春のあの日何回繰り返して聞いたかわからない。サード以降はダメダメなので聴くのが悲しかった。ところで、パブロフズ・ドックというバンドはいったいどうなんだろう?(Psyc)


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