FOLLOW2 AV編 -1-





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渋谷のある交差点にて・・

 足音、車の騒音。その他、町の雑多なざわめき。

 男:ちょっと、すいません。
 女:(やや間を置いて)え?
 男:お急ぎですか?もし、よろしかったら少しお話を聞いて貰いたいのですが?
 女:はあ。
 男:ビデオの出演に興味はございませんか?
 女:えぇ〜?・・・それって、アダルトの?
 男:あの、もし少し興味があれば、お時間を頂けませんでしょうか?そこの喫茶店で
   でも。
 女:え〜でも・・。
 男:話を聞いてくださるだけでも結構です。それほど、お時間はとらせません。急な
   御用事でもおありですか?
 女:いえ、別にそういうわけでもないんですけど・・。
 男:お時間はとらせませんから。是非。
 女:えぇ〜?・・・


ある喫茶店にて・・

 足音。椅子に座る音。店内には、クラッシックのピアノ曲が流れている。

 ウェイトレス:ご注文は。
 男:僕はコーヒーを、アメリカンで。何にします?
 女:何でもいいんですか。
 男:どうぞ。なんでも。
 女:ん・・じゃあ、チョコレートパフェ・・このミックスというやつ・・・それと、
   ロイヤルミルクティ。・・本当にいいんですか?
 男:もちろん結構です。じゃあ、それでお願いします。
 ウェイトレス:アメリカン・一つ、ミックスパフェ・一つ、ロイヤル・一つですね。
        かしこまりました。少々お待ち下さい。(去ってゆく足音)
 男:(なにか探しているようす)・・ええと。まずこの名刺を。
 女:はい・・・えっと。アストロ・ジャパンのタカダさん・・?
 男:聞いたことありますか?
 女:いえ、ちょっと・・・。
 男:渋谷にはよく来るんですか?
 女:よく・・って程でもないですけど。まあ、週に2、3回ぐらい。ウィンドーショ
   ッピングの時も多いですけど。
 男:おつとめですか?
 女:ええ、まあ一応・・。
 男:失礼ですけど、収入のほうは?
 女:えぇ〜・・・・手取りで14、5万ぐらいかな。
 男:それじゃあ、結構きついでしょ。今、遊ぶとなるとお金かかりますものね。
 女:ええ、そうですねえ。
 ウェイトレス:お待たせしました。ロイヤルのお客さまは?
 女:はい、私・・・。
 ウェイトレス:(皿を置くかちゃかちゃという音)ご会計はこちらです。ではごゆっ
        くりと(去って行く足音)。
 男:(スプーンをかちかちと鳴らす)それで、どうなさってるんですか?
 女:・・・え?
 男:やはり、カードとかご利用になってるんですか?
 女:ええ、まあ・・。
 男:でも大変でしょう。カードの利息は結構高いですし。僕の周りにも何人か、自己
   破産を申し出ている人もいるぐらいですし。
 女:・・自己破産すると、どうにかなるものなんでしょかうか?
 男:まあ、借りた分は帳消しにはなります。でも結構厳しいらしいですよ。銀行も相
   手をしなくなりますし。まあ、そいつの場合は親が面倒見てくれるらしいから生
   活の方はできるでしょうがね。やはり、気になりますか?
 女:ええ、まあ・・私の友達にもそういう人いますし。
 男:いま、遊ぶのに本当にお金かかりますものね。
 女:そうですね。
 男:あの・・それでどうです。一回でもいいんですよ。出演の方、興味ありませんか
   ?
 女:えぇ、でも、やっぱり人に見られるのって。
 男:大丈夫です。一般にはあまり目につかれないようなルートで回るようできてます
   から。もちろん、ご希望でしたら、表のルートにも回せますし。今、AVからメ
   ジャーデビューする人も結構いますよ。それほど、気になさる事はありません。
   ギャラの方は、うちならば20万はだせます。ほんの数時間でですよ。それに、
   危ないことは決していたしません。
 女:でも、あんまり体に自信ないしぃ・・・。
 男:いえ、皆さんそういいますが、若い時だけですよ。こういうことをできるのは。
   今、リエちゃんみたいなアイドルでも脱ぐような時代ですから、それほど抵抗は
   ないと思いますが。
 女:宮沢リエとくらべられても・・。
 男:なんでしたら、整形の為の費用を出してもかまいませんよ。今、女優さんの中に
   もそういう人は結構います。そうでない方でも化粧をおとせば、今の芸能人なん
   て本当、素人と変わりはないんですから。もちろん、出演料とは別に手術代はお
   しはらいできます。長く出てくだされば、ギャラもアップしますし。どうでしょ
   う?
 女:う〜ん・・。あの、友人の噂にもAVをやってるって人の話聞くんですけど、あ
   の危ないことないんですか?その・・・。
 男:うちはきちんとした会社ですし、そういう方面とも関係ありません。どうでしょ
   う、もし気がむきましたら、ここへ連絡してきて下さい。何でもご相談にのりま
   すよ。
 女:ええ。どうもごちそうさまでした。
 男:いえいえ・・・あの、お名前をお聞かせいただけませんか。連絡を頂いたとき、
   誰だか解らないと困りますので。もし、ご都合が悪ければ、仮名でもよろしいん
   ですが。
 女:はい・・・じゃあシジマ・ヨーコということで。
 男:・・・・はい、解りました。では連絡お待ちしています。


あるマンションの一室にて・・

 プッシュホンのボタンの音。発信音。かちゃ、という接続音。声が聞こえてくる。

 電話の声(女):はい、アストロ・ジャパンですけど。どちらさまですか。
 女(ヨーコ):あの・・・タカダさんいらっしゃいますか?あの、わたし、シジマと
        いいます。
 電話の声(女):はい、シジマさんですね。ちょっと待っててください(「エリーゼ
         のために」が電子音で流れる)。
 電話の声(男):(音楽切れる)はい、お電話代わりました、タカダです。
 ヨーコ:あの、この間お話を聞いた、シジマ・ヨーコです。覚えていますぅ?
 タカダ:ああ、シジマさん。もちろんです。連絡ありがとうございます。今、ちょっ
     と長く話が出来ないんですけど、どうです、もし都合のいい日がありました
     ら、事務所の方にいらしては。
 ヨーコ:はい、あのそれで・・。
 タカダ:なんでしょう?
 ヨーコ:あの・・ギャラの前借りとかできるんでしょうか?
 タカダ:う〜んそうですね。どれくらいですか?
 ヨーコ:50万ぐらいなんですけど。
 タカダ:そうですねぇ・・。いつまでにですか。
 ヨーコ:できれば、今月中に・・。
 タカダ:では、2週間ありますね。どうです、今週の土曜の夜にでも、お暇でしたら
     事務所の方にいらしては。そのとき、ゆっくりと相談いたしましょう。
 ヨーコ:はい、わかりました。
 タカダ:住所のほうはわかりますね。
 ヨーコ:はい、名刺に書いてあるやつですよね。
 タカダ:わかりにくいようでしたら、電話を下さい。車で迎えにいきますから。
 ヨーコ:はい、じゃあ・・。
 タカダ:では、お待ち申しあげています。

 電話が切れる。ツーツーという発信音が反復される。

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