FOLLOW2 AV編 -2-


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アストロ・ジャパン事務所にて

 ドアの開閉音。

 タカダ:どうぞ。
 ヨーコ:失礼しまーす。
 タカダ:どうぞ、そこにお座りください。・・・どうかしましたか。
 ヨーコ:意外に何もないんですね。
 タカダ:ここは接待用の部屋でしてね、奥にはスタッフ用のもっとごちゃごちゃした
     部屋や、小さいけれどもスタジオみたいなものもありますよ。
 ヨーコ:そうなんですか・・・。
 タカダ:ところで、相談の件ですが。
 ヨーコ:どうでしょうか。
 タカダ:こちらも商売ですから。どうでしょう、もしよければ明後日にでも撮影に入
     るというのは。
 ヨーコ:あさってですか?
 タカダ:それでしたらば、約束の20万円はもちろん残りの30万のほうも何とか工
     面できるのですが。
 ヨーコ:でも明後日っていうのは・・・。
 タカダ:お急ぎになっているのは、あなたの方でしょう。これがこちらの精一杯なの
     です。今、担当の人間の呼んできますので。あっそれから、これは履歴書の
     用紙です。これがないと後で問題がおきますのできちんと書いておいて下さ
     い。
 ヨーコ:履歴書いるんですか?
 タカダ:当然でしょう。
 ヨーコ:でも、仮名でもいいって・・。
 タカダ:契約となれば話は別です。そうだ、あなた、未成年ですか?
 ヨーコ:いえ・・あの・・。
 タカダ:重要なことですから、正直に。
 ヨーコ:はい、あの・・一応今年で二十歳になりました。
 タカダ:・・・・よろしいでしょう。では、ちょっとそこで待っていて下さい。


 しばらく、紙のすれる音と、かつかつというペンの音。
 それも、段々小さくなり、ブーンという蛍光灯の音が聞こえてくる。
 突然、ドアが開く音。複数の人間の足音。

 タカダ:おまたせしました。こちら、カメラマンのモヤマさんと、監督のアサカタさ
     ん。
 男1:モヤマです・・・結構いいじゃない。ねえ、アサカタさん。
 男2:モーちゃん、この手のタイプに弱いでしょう。でも、いい表情してるねえ。
 タカダ:そうでしょう。・・・・履歴書書けましたか?
 ヨーコ:あの、ちょっと細かい所まではわからないんですけど・・。
 タカダ:・・・まあ、とりあえずはいいでしょう。では、こちらに来て下さい、写真
     をとりますから。証明写真もかねて。
 ヨーコ:はい、それで・・
 タカダ:大丈夫ですよ。・・じゃあ、モヤマさん、たのんだよ。
 モヤマ:じゃあ、いこうか。あっ、アサカタさん、撮影の続き夜中もやるんでちゃん
     と来て下さいよ!
 アサカタ:解ってるって。

 ドアの開閉音。しばらく沈黙。

 アサカタ:・・おい、あのこ、大丈夫なんだろうな。
 タカダ:大丈夫だと思うよ。負債かかえちゃっているみたいだし、少なくともそれ返
     すまでは、いるだろ。
 アサカタ:まあ、明日とりあえす、脱がしちゃって・・まあ、後はなんとかなるだろ
      う。客の方にも連絡つけとかなくちゃな。
 タカダ:ササイ社長の所にも声かけとくか。とりあえずの、20万用意しとかないと
     帰っちゃうかもしれないし。ササイ社長に頼んでだして貰わないと。
 アサカタ:あせってるんでしょ、あの娘。人間いざとなれば何でもするもんだって。
     甘い言葉かけときゃ心配ないとは思うけど・・・。
 タカダ:そうそう、信用第一ってね。
 アサカタ:おい、おい。きついぜ、それは。しゃれになんのかよ。
 タカダ:少なくとも客には信用してもらわなくちゃあ。
 アサカタ:まあな。そうそう、アツミちゃんの方どうするの?そろそろやばいんじゃ
      ない。
 タカダ:そうだな、明日来てもらおうか。その方が、さっきのこも安心するでしょ。
 アサカタ:どうかな。へんなことにならなきゃいいけど。
 タカダ:心配するなって。
 アサカタ:じゃ、まあ今日は俺、これで帰るわ。後たのんだよ。
 タカダ:ああ。

 ドアの開閉音。プッシュホンのボタンを押す音が聞こえる。

 タカダ:・・・・あっ、ササイ社長お願いします。・・・・・あっ、ササイさん。・
     ・・はい、アストロのタカダです。明日、一人新しい子が入るんで。よかっ
     たら・・。はい、それはもう・・・。はい、いや、ちょっとそれは。出来れ
     ば、九段下のあそこで・・・はい・・・あのそれでですね、すいませんが2
     0万都合つけてもらいませんか・・そうです・・・いえいえ、そこまでは御
     迷惑はかけません・・・大丈夫ですよ・・・ええ、そうですよ・・・ええ・
     ・・・・・・・・(以後不明)


アウトロジャパン事務所のスタジオにて

 やかましく鳴る、シャッター音

 モヤマ:いいね。そうちょっと、アゴあげて・・・そうそう、はい、じゃあつぎ座っ
     て、首は少し斜め左に・・・そうそう、いいよ、いいねえ。はい、こっちむ
     いて、にっこり笑って、かたくならずに・・そうそう・・いいねえ・・・ど
     きっとしちゃうね・・・・、じゃ、ちょっと上着取って肩見せてみようか・
     ・・・いいね・・(以下略)

 なにやら、騒がしい音。

 ヨーコ:いやです!
 モヤマ:きれいに写すから。肌が、きれいだから絶対いいと思うな。
 ヨーコ:・・あの、今日はだめなんです。すいません・・。
 モヤマ:すいませんって、これ仕事だよ。僕、写す人、君、撮られる人。こうじゃな
     きゃあ・・。
 ヨーコ:あの、すいません、すいません・・。
 モヤマ:・・・あのねえ、こんな事でいやがっているんじゃあ、ビデオの撮影なんて
     出来ないよ。今日は予行練習みたいなもので・・
 ヨーコ:あの・・すいません。本当に今日は駄目なんです。
 モヤマ:・・っとしょうがないなあ。あのね、君、本当にいやならやめれば?もうい
     いよ、帰って。ほら!
 ヨーコ:あの・・
 モヤマ:ほら!帰った、帰った。
 ヨーコ:あの・・す、すいません。あの、明日はきちんとやりますから。あの、やめ
     させないでください。
 モヤマ:どうして、今日は駄目で明日ならいいの?
 ヨーコ:おねがいします。
 モヤマ:・・・・不安なの?だったら僕が教えてがえようか?初めてなんでしょう?
 ヨーコ:・・あの、あ、明日は絶対きますから。あの、失礼します。
 モヤマ:あっ、ちょっと・・・

 扉の開閉音。

 モヤマ:だめだなあ。あんな子は。

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