FOLLOW2 AV編 -3-
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翌日、九段下のあるビルの一室にて
女:こんにちは〜・・あれ、新人?
ヨーコ:あ、こ、こんにちは。
タカダ:彼女と会うのは初めてだよね?こちら、コウノ・アツミさん。
ヨーコ:シジマ・ヨーコです。よろしく。
女(アツミ):ああ、この間電話してきた。そう、ここでやるの。
タカダ:ヨーコちゃん、ちょっとアサカタさんの所行ってくれるかな?なんか、また
急に撮影はいっちゃったみたいで。無理言ってすまないけど。
アツミ:あ、そう?じゃ、またあとで。
ヨーコ:はい。
去って行く足音。しばらくの沈黙。
ヨーコ:あの・・それで、お金の方はどうなりました?
タカダ:え? ああお金ね。大丈夫、とりあえず今日の撮影の分のギャラはすぐ渡せ
ますから。
ヨーコ:前借りの方は、どうなるんでしょう・・
タカダ:そう、それなんだけど、もうちょっと待ってくれないかな?別に、君を信じ
てない訳じゃないんだけど、前にもバンスしたいって子がいて、100万程
貸した事あったんだけど、その子それもって、逃げちゃってね。それ以来、
そういう事に厳しくなってしまって。
ヨーコ;でも、それじゃあ約束が違います。
タカダ:でも約束というのなら、君も何で昨日の写真撮影途中でほっぽりだして帰っ
ちゃったの?モヤマさん怒っていたよ。
ヨーコ:あの、すいません。でも、あの時は・・・。
タカダ:まあ、どうせモヤマさんが手を出そうとしたんでしょ、あれだけ、女優には
手を出すなって言っているのに・・。その事だけは謝っておきます。
ヨーコ:でも、私今月までに50万ないとこまるんです。あの、証明書でもなんでも
書きますから。
タカダ:う〜ん、でも、給料分以外を会社からだすのは僕の一存じゃあ。
ヨーコ:じゃあ、とりあえずは20万か・・。
タカダ:あっ、ちょっと待って、でも20万は一ヶ月の給料で、一度にはそんなに払
えませんよ。
ヨーコ:えっ?でも、数時間で20万貰えるって・・。
タカダ:そりゃね、一ヶ月といっても実際に撮影するのは3、4回あるかないかぐら
いでしょ。トータルしても、12時間ならないし。
ヨーコ:それって、話が違います!わたし、一回で20万貰えると思って。
タカダ:まあ、おちついてください。でもね、これはあくまで3、4回しか撮らなか
った場合の話で、例えばさっきのアツミちゃんなんて、一ヶ月で100万以
上かせいでるんですから。まあ、でも今回は君もいろいろ事情があるみたい
だし、一応20万用意しておきました。でも、これは僕のポケットマネーか
らなんで、あなたを信頼して、個人的に貸すんですよ。
ヨーコ:・・わかりました。わざわざ、有難うございます。
タカダ:いや、いいんですよ。でもその分ちゃんと働いてもらうからね。
その時、足早に誰かが近付く。
アツミ:タカダさーん。モヤマさん、まだ来てませんよ!
タカダ:あれ?本当?監督は?
アツミ:なんか、かんかんに怒ってましたよ、モーちゃんがいない!!って。
タカダ:まいったなあ。じゃあ、ちょっと連絡とるから、二人とも奥の部屋で待って
いてくれる?この部屋、ちょっと来客用につかうんで。
アツミ:はーい。じゃ、このコーラもらっていい?
タカダ:はは、僕の飲みかけでよかったら、どうぞ。
アツミ:わーい。タカダさんと間接キッスだあ。
タカダ:はは。
走り去る革靴の音。
同じ階の、奥の部屋にて。
ヨーコ:・・あのう。
アツミ:なに?
ヨーコ:ここへは、長いんですか?
アツミ:いや、長いっていう程じゃあないと思うな。3箇月ぐらいじゃないかな?
ヨーコ:他にも、女優さんは沢山いるんですか?
アツミ:さあ、どうなのかなあ。あんまりあわないな。私も知っているの2、3人
ぐらいしかいないし。ここは、結構女優同士で会わすなんてことしないか
ら。
ヨーコ:じゃあ、今日は運がいいんですね。
アツミ:ええ?なにそれ。運がいい、か。まあ、珍しいことは確かだけどさあ・・・
一つ聞いていい?
ヨーコ:はい?
アツミ:あなた、いくつ?とし。
ヨーコ:ええと。
アツミ:大丈夫だって。だって本当は私だってまだ17だもん。
ヨーコ:え?ああ、えっと私も実は来月で18。
アツミ:そうなの?な〜んだ。じゃあ、あなたの方が年上じゃない。私はこないだ1
7になったばかりだから。
ヨーコ:高校はいかないの?
アツミ:高校?今でも一応高校生だけど。でも、あんまりいかないなあ。もう、学校
行っても皆子供だし、居場所が無いって感じ。つまんないもん。ヨーコさん
こそどうなのよ?
ヨーコ:わたし?一応、定時制の高校に行っているけど・・。
アツミ:ふ〜ん。
ヨーコ:・・・さっき、聞いたんだけど、一月に100万稼いだって、本当?
アツミ:え。うん。先月はそれくらい、いったかな。ここって、仕事結構多いんだ。
やっぱりヨーコさんも、お金が動機?
ヨーコ:え〜、まあそんな所。
アツミ:ほんと、金銭感覚くるっちゃうよ。100円、200円安い、高いだの言っ
ていたのが馬鹿馬鹿しくおもえるぐらい。
ヨーコ:そっかあ。・・家には帰ってるの?
アツミ:・・・まあ、一応。家では学校行ってるって事になってるし。
ヨーコ:でも、ばれない?
アツミ:うちはさあ、父親は単身赴任でここ2年程会ったことないし、母親は母親で
仕事だかなんだか知らないけれど、いつも家にいないしさ。たまに、学校か
らの呼び出しがあったって滅多にいかないね。ま、わたしも馬鹿じゃないか
ら、時々は学校に顔だして、まあ留年したらやっぱ格好悪いしね。
ヨーコ:ねえ、アツミっていう名前、本名?
アツミ:な、わけないでしょ。
ヨーコ:だって、履歴書かかされたでしょう?
アツミ:あんなの適当よ・・・まさか、正直に書いたの?
ヨーコ:齢以外は殆ど・・・まずかったかなあ?
アツミ:あたりまえじゃない。家にばれでもしなよ・・。
ヨーコ:でも、うち一人暮らしだし。
アツミ:両親はいないの?
ヨーコ:3年前に事故っちゃって・・。しばらく、親戚の家にやっかいなってたんだ
けど、なんか居場所なくって、東京に出てきちゃった。
アツミ:親戚の家って、どこなの?
ヨーコ:富山。
アツミ:へ〜。うちの父親が単身赴任に行ってる所だ。どんな所?
ヨーコ:どんなって。普通。私、市内だったから、あんまり東京と変わらないかな。
人は断然、こっちの方がおおいけど。
アツミ:ふ〜ん。でも、いいよ。両親なんてさ、返っていない方がすっきりするよ。
ヨーコ:でも、やっぱり居た方がいいよ。絶対。いなくなれば、そっちだってそう思
うと思うよ。
アツミ:どうかなあ?向こうは、私がどうしようとどうでもいいみたいだし。今でも
いても、いないようなもんだけど、別になにも思わないなあ。
ヨーコ:でも、もったいないな。ちゃんと、両親がいるのに。
アツミ:さっきのヨーコさんの話じゃ、ないけど、居場所がないんだ、家に居ても。
ここ来ればさ、皆と仲いいし、私のこと解ってくれるし。ずっと、このまま
がいいなあ。ま。齢とったら駄目かもしれないけど。それまで、お金ためて
さペンションやるんだ。いいと思わない?
ヨーコ:そうだね。いいと思うよ。
アツミ:絶対いいよ。
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