FOLLOW2 AV編 -4-



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ビル内の客室にて……

 タカダ:大丈夫ですよ。でも、一応はきちんとしてくださいよ。
 男1:ま、他の事はともかく病気だけはどうしようもないからな。
 タカダ:ササイ社長、今更始まったことでも無いでしょう。
 男1(ササイ社長):まあ、それはともかく、約束の20万確かに渡したぞ……。
 タカダ:………はい、たしかに。

 その時、ドアが開く音が。

 男2:あのお………アストロ・ジャパンの……。
 タカダ:あ、ここですよ。もう皆さんいますから、あちらで待っていてください。
 男2:はあ。あの、本当に大丈夫なんでしょうか?
 タカダ:何がですか?
 男2:これって、やっぱりいけない事なんでしょう。
 タカダ:問題はありませんよ。いいですか、あなた達はあくまで男優なんです。そし
     て彼女達は、女優なんです。本人もそう思ってますし。全ては演技なんです
     よ。
 男3:それで、具体的にどうすればいいんでしょう。
 タカダ:どうって?好きにやって下さい。台本なんて無いんですから。奥にベットの
     ある部屋があります。彼女達には隠し撮りをしてると、言ってありますから
     カメラの事は気にせず後は御自由にどうぞ。ただし、決して手荒な事や、乱
     暴な言葉は使わないでくださいよ。これだけは絶対守ってくれないと困りま
     す。
 男3:カメラは本当に回っているんですか?
 タカダ:御希望なら、ダビングしてさしあげてもいいですよ。
 男3:いや、そういう訳じゃなくて、流通に出たらまずいんですよ。
 タカダ:そういう事でしたら、そのテープを廃棄しますよ。その変わり、料金の方を
     幾らか割増しさせてもらいますけど。
 男3:……まあ、いいでしょう。
 男2:でも、警察にばれでもしたら、やはり捕まってしまいますよね。
 タカダ:手出しなんか出来ませんよ。くどいようですが、これは全て芝居なんです。
     何か、起こったとしても「撮影をしていた」と言えば、それでおしまいです。
     どうして、そうじゃ無いって言えますか?彼女は、自分が女優と思って、
     芝居をしていると、言うでしょう。そして、あなた達も言うんです、「全て
     演技でしている事だ」と。彼女達は精一杯演技してくれますよ。何しろ女優
     なんですから。あなた達もしつこく彼女達に言ってください。「君は女優な
     んだ」と。そして、こう言ったとしても構わないんです。「演技がまだ足り
     ない。やはり、本物らしくするには、本物であるのが一番だ」と。
 男2:抵抗しませんか?
 ササイ:まずしないね。ここではまず何よりも、彼女達に「自分はプロ」なんだ、と
     思い込ませていますからね。いいものを造るため、そしてなによりも、ギャ
     ラを貰ってる、と思い出させるんです。他の風俗営業とは違うぞ、自分達は
     もっとクリエイティブな事をしているぞと、そういう事で彼女達は納得しま
     す。屈託なく、彼女達は明るいですよ。能天気といってもいいぐらいです。
     友達感覚で接するのが一番いい。
 男3:それに、美人が揃っているし。
 ササイ:もちろん、何しろ女優なんだから。

 笑い声。


その奥の部屋にて……

 ヨーコ:それで、仕事ってきつい?
 アツミ:う〜ん、どうかな?ようするに馴れ、馴れ。ああ、でもやっぱり働いてお金
     稼ぐのって大変だなあ、って思う時もあるかなあ。後でNGだって、言われ
     て全部パーになっちゃった時なんかは。最近は、自分でも芝居うまくなって
     きたかなあ、って思うよ、ほんと。

 ドアの開閉音。

 タカダ:ヨーコちゃん、ちょっとアサカタさんの所行ってくれるかな?少し事前に打
     ち合わせしておかないとね。
 ヨーコ:………はい。
 タカダ:そんなに緊張しないで。大丈夫。
 アツミ:そうそう、皆やさしいよ。
 ヨーコ:うん………。
 タカダ:じゃ、頑張って。

 去って行く足音と、ドアの開閉音。

 アツミ:………ねえ、ねえタカダさん。あの子から色々聞いたけど、履歴書、本当の
     事書いているって言っていたよ。
 タカダ:いけないなあ、そういうスパイみたいなことしちゃあ。
 アツミ:だって、タカダさん言ってたじゃない。皆、うそばっかりついて困るって。
     私がまだ16だって言っても、タカダさん、黙っていなさいって、かばって
     くれたし、私タカダさんにだけは嘘つかないよ。
 タカダ:うれしいよ、ほんと。
 アツミ:でも、年齢だけは来月18になるって言っていたけど。
 タカダ:本当?そう………。
 アツミ:どう、少しは役にたつでしょ。
 タカダ:えらい、えらい。
 アツミ:えへん。……………私ね。
 タカダ:なに?
 アツミ:タカダさんのこと好きだよ、本当に。やっぱ、結婚するなら、タカダさんみ
     たいなタイプがいいかなあ、なんてネ!じゃ、私もアサカタさんの所いくね。
     ばいばい!
 タカダ:ばいばい。

 走りさる足音。しばらくの沈黙。蛍光灯の音が聞こえる。



さらに奥のスタジオにて……

 アサカタ:モーちゃん、どうしたの?
 モヤマ:ごめん、ごめん。ビルの前に先に車入っててさ、まいったよ。駐車する場所
     さがしてぐるぐるしてたら時間くっちゃって……おっ、ヨーコちゃん。今日
     はてこずらせないでよ。
 ヨーコ:はい、あの、昨日はすいません。
 アサカタ:まあ、それぐらいで、いいでしょう。よし、じゃあ、やろうか。まずは緊
      張をほぐすために、イメージショットからいこう。そのスクリーンの前に
      立って………。
 ヨーコ:あの、服は……?
 アサカタ:まずは、そのままでいいよ。素顔のヨーコってとこかな。
 モヤマ:はい、スチールも撮るから、こっちむいて。(シャッター音)やっぱり、い
     い表情してるねえ。

 シャッター音は絶え間無く鳴り続ける………。

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