OECDの分析する日本の医療


  

 

 

 

OECDが世界の先進?30ヶ国の医療を分析しています。
http://www.oecd.org/dataoecd/45/51/38979974.pdf

チェコとかポーランド等やっと追いついた国も含まれています。
こういうことこそ、重要で報道する価値があるのですが、日本のマスコミには分析能力はないのでしょう。
英語能力にも疑問があるのは、このホームページの「イギリスでインフルエンザは大流行しているのか?」を読んでいただければ理解できるとは思います。

さて、日本の寿命は世界一・二を争っているのが現状です。ここを押さえておくのが最も重要です。

医療費の対GDP比は、世界の平均では9%です。これには、チェコやスロベニアなど、低開発国に近い状態からやっと抜け出た国も含まれています。日本は8%ではるか平均以下の21番目で、世界最高寿命を達成しています。

最近はやっとマスコミも現状認識が少しできるようになっていますが、奴隷以下の(労働基準法さえ守られない)医師の労働に支えられている面もあるのです。だから、医師が逃げ出すのです。

ちなみに、フランスは11.1%です。それでも医師の不満は大きい国です。フランスでは医師や看護婦のストライキは珍しくありません。

マスコミどもは、以前は盛んにアメリカと比べて日本の医療が遅れているような論調でしたが、アメリカは対GDP比15.3%と日本の倍ほども使っているのに、寿命はずっと短いです。

国民一人当たりの医療費も平均よりはずっと下で、2358ドルです。平均は2759ドル、アメリカははるか倍以上の6401ドルも使い、平均寿命は日本に遠く及びません。ノルウェーも4364ドルも使って、福祉国家を運営しています。スウェーデンはOECDから距離を置くのか、含まれていません。

マスコミのおばかな論調とは異なり、いかに日本医療が効率的で優秀か、事実が論駁しています。マスコミを信じるのは愚か者のすることです。

2000年から2004年にかけて、OECD全平均で4.3%医療費が増加したのですが、この間の日本の医療費の伸びは2.1%にしか過ぎないとOECDは主張しています。

日本の医師・医療がどれだけ過酷な状況に置かれつつあるかということです。厚生省の無駄遣い等の報道誘導はうそばかりです。

公的保険のカバー率はOECD平均72.5%ですが、日本は優秀で81.7%もカバーしています。

余談ですが、日本の保険制度は高額医療費の払い戻しがあるので、安心して入院できます。例外もあるでしょうが、入院保険などほとんど不必要です。

働く医師の数は1000人当たり3人の医師数が平均ですが、日本は2医師にしか過ぎません。平均の3分の2の人員で世界最高の平均寿命を達成しているのです。いかに、日本の医師が過酷な労働環境であるのかが理解できます。ギリシャ・ベルギーは4人で、2人以下はトルコ・韓国・メキシコくらいしかありません。日本はビリから4番目ということです。それで、世界一の長寿です。マスコミの医療非効率攻撃など根拠を示していただきたいものです。 http://www.oecd.org/dataoecd/53/12/38976551.pdf

重要なのは、団塊の世代が引退することにより、患者数が増加してくることです。このため、多くの国で医師不足が起き、外国人医師に頼らなくてはならない国が増加するとOECDは警告していることです。厚生労働省やマスコミの言ってきたことと正反対の事態が進行しています。世界中で医師不足が進行しているのです。日本も例外ではありえませんし、現状維持でも世界的には最低レベルの医師数で運営されているのです。先見性のないマスコミや役人のおかげです。もう、間に合わないかもしれません。

「夜間医療の充実」・「救急医療の充実」そんなものは大嘘です。日本には必要な数の医師はいません。世界の平均にするだけでも、医師数を1.5倍にしなければならないのです。膝等の手術なら半年以上待ち、1年待ちも珍しくないイギリスでさえ、日本より20%も人口当たりの医師数が多いのです。

もちろんフィリピンあたりから医師を大量導入する手はあるでしょう。アメリカとの取り合いになるでしょう。それよりも恐ろしいことは、フィリピンの田舎等貧しい地域からフィリピン人医師がいなくなり、貧しい子供などが死んでいくことです。金にまかせて輸入すれば解決などはエコノミックアニマルのすることです。先進国の老人医療が、低開発国の子供の命の犠牲の上に成立してはいけないのです。

欧米では1ヶ月の夏休みをとる医師は普通のことですが、周囲でそんな例を知りません。

原因は政府の医師数抑制策であるとOECDも述べています。厚生労働省の「医師過剰」「医師数増加で医療費破綻」「医療費で財政破綻」、マスコミどもの「医師儲けすぎ」「医療費無駄遣い」「医師の巨額不正請求」など、数字がそのうそを暴いています。こんなに効率的医療の国はほかにないのです。

待っている未来は、団塊の世代を世話するだけで精一杯の大量医師不足です。地方の妊婦や子供などは医師不足で死亡が予想されます。世界的視野に立てば、再編しても、適正配置しても日本の医師不足に解決法はありません。医師以外の個人としての対策は、医療施設の充実した大都会へ移住するくらいしかありません。これが、マスコミの医療攻撃、厚生労働省と財務省の言ってきた医療財政破綻論の当然の帰結です。命よりお金を優先・国全体より自分の目の前の仕事の課題を優先するのが日本の役人・マスコミです。そんな国と国民です。

看護士不足にマスコミどもは同情的ですが、1000人当たりの看護士数は9人で、OECD平均の8.6をかなり上回っています。

マスコミの主張など、事実に基づかない「偏見による印象」にすぎないのが理解できます。

もちろん、看護士が効率的な適正配置かは別問題です。

CTやMRIの数は日本では欧米の4倍もあるそうです。非効率かもしれません。しかし、CTの検査代などアメリカの5分の一から10分の一位ですから、国民が手軽に検査できるのは悪いことでは無いと思います。

アメリカの肥満率は32.5%、日本は3.5%、心臓病が少ないのが日本医療の利点だそうです。

最悪なのがひとつだけ指摘されています。喫煙率の高さです。OECD平均の2倍だそうです。

数字を丁寧に追っていけば、マスコミや厚生労働省の主張は砂上の楼閣に過ぎません。


2007.8.1
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初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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