26-Oct-98

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ブドウ日記  (98年 その12)



10月18日(日) + 10月24日(土)


10月18日(日) ホーホハイム(Hochheim)


ラインガウでも収穫真っ盛り。


先週末は土・日とも悪天候のため、ブドウ散歩は一回休み。昨日土曜日は久々に好天だったが、事情によりブドウ散歩に行けず。結局日曜日のこの日、今にも降り出しそうなどんよりした空のもと、ホーホハイムへ向かう。例年通りなら、収穫真っ盛りのはずだ。

収穫期のこの季節、週末ともなると、どこのブドウ山もブドウ散歩の人達がどっと繰り出す。冴えない空にもかかわらず、ここホーホハイムでもぶらぶら散歩の人影がいつも以上に濃い。最初に目に入る区画は、まだブドウが付いたままであるが、かなり茶色っぽくなってきている。次の区画は収穫済みで、キレイさっぱりという具合。収穫に向かうらしいトラクターが脇を通りかかったりするが、すぐそばで収穫中の光景は見当たらない。日曜日なので、作業をしている人は比較的少ないのだろうと思う。

しばらくすると、「季節の香り」に遭遇する。といっても、あまり良い匂いではない。ブドウの絞りカスや、発酵の終わった酵母の死骸に、これらに残留するアルコールの混じった臭いである。いずれも、醸造所から畑に運んできて、肥しとして畑に撒かれるのだ。もっとも、この臭い(匂い?)を初めて嗅いだ時はなんともエグいものだと感じたが、そのうちわりと平気に感じるようになった。醸造所の庭先なんかにいくと、これまた発酵中の独特の匂い(臭い)が充満している。こちらも、ちょっと変な臭いではあるが、絞りカスよりはましかもしれない。

散歩道(といっても、本来は農道である)に沿って目にする景色から大雑把に推定するに、ちょうど半分くらいの畑で収穫済みといったところだろうか。そうこうするうちに、ようやく収穫中の畑の脇を通りかかる。ここは手摘みである。写真の通り、数人でバケツを持って摘み取っては、トラクターに牽かれたステンレスの専用容器に集める。これが一杯になったらトラクターは醸造所へ向かうわけだ。

別の所では機械収穫をやっている。(機械収穫については97年のブドウ日記の9月28日の所にも少し書いたので、ご存知ない方はご参照あれ。)機械が通りすぎた直後のブドウ(の跡)はこんな具合だ。機械が叩き落とすのはブドウの粒のみで、ブドウの房の枝のようなもの(業界では「梗」と呼ぶらしい)は樹に残り、時間がたってこれが乾けば、こんな具合に見える。手摘みをやればこういうのはまず残らないから、これは機械収穫の証拠のようなものだ。収穫機自体はさほど大量のブドウを蓄える構造にはなっていないので、ブドウ垣根を2、3往復もすれば(もちろん垣根の長さによるが..)一杯になり、こうやって運搬容器に移し替える。

こういう光景も、初めて見たころはとっても新鮮で感激したものだが、さすがに毎年見ていると、当初のような感激はもうない。いわゆる、マンネリというやつか。それでも相変わらず続けているというのも、すべてのお店が完全に閉まる日曜日、外に出かけても散歩ぐらいしかすることがないからでもある。ただ、天気の良い日のブドウ散歩は、どんなに見なれたマンネリの景色であっても、実に気持ちが良いものだ。....残念ながら、この日は天気も最低で、そのうち小雨まで降り出したので、足早に帰路に着く。



10月24日(土) キートリッヒ(Kiedrich)


ビニール覆いの設置も始まった。


収穫真盛りの頃にワイン農協の醸造所なんかを訪れると、ブドウを満載したトラクターが列をなして荷降ろしの順番を待っている光景が見られる。去年までにも何度かそういう光景は目にして、それなりに写真を撮ったりはしているが、まだデジカメ写真がない。今年はぜひともその写真もUPしたいと思い、キートリッヒへ向かう。スケールとしてはプファルツあたりの方が壮観だが、プファルツではおおかた収穫も終わってしまっているだろうと思ったので。

車窓からブドウ畑が見えるようになると、所々で収穫の風景は見られなくもないが、思ったほどではない。....そうするうちに、目的地のキートリッヒに着く。この村で最も高く評価されている「グレーフェンベルク」(Graefenberg)の畑あたりでは、早くもビニール覆いが施されているのが車窓からも見える。集落の外れの小さな駐車場に車を置いてほんの少し歩くと、そこはもうグレーフェンベルクの畑である。....が、しーんと静まり返っているではないか。

この畑ではまだほとんどの区画が未収穫で、しかも相当の部分ではビニール覆いが設置済みである。昨年も書いたが、これらのすべてがアイスヴァインを目指しているのではなく、この畑の大部分を所有するヴァイル醸造所の場合、アウスレーゼ等を目指して収穫を極端に遅らせる部分にもまた、この覆いを施す方針のようだ。覆いのない区画でもまだほとんど収穫は行なわれていないところを見ると、そもそもこのグレーフェンベルク畑からは、シュペートレーゼ以上の等級のワインを集中的に造ろうということか。

これとは対照的に、周囲の畑(グレーフェンベルクではない区画)では、ほとんど収穫が終了していて、ブドウが残っているのは1割にも満たない感じである。結局、ここキートリッヒ界隈でも通常の収穫はほとんど終わってしまっていて、あとは遅摘み用のブドウが残っているだけということのようだ。

この後、ダメもとで農協醸造所へ行ってみたが、ブドウを積んだトラクターは1台もなく、プレスのある建物もしーんとしていて、作業をしている気配はない。外に積まれた絞りカスが、ほんの数日前までプレス作業をしていた名残を感じさせるのみであった。....というわけで、残念ながら「ブドウ満載のトタクターが列をなす光景」の撮影は、機会を逸してしまった。

かわりに、というわけでもないが、本日の写真数点を、どうぞ。

健康なブドウのアップ写真
グレーフェンベルクの畑の全景
同じく、グレーフェンベルクの畑にて
ずっと上の方まで続く、ビニール覆い
たまたま通りかかった自動収穫機




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