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アルゼンチン



そう、それは宿敵。日本にとって韓国がイギリスにとってフランスが永遠のライバルであるようにブラジルにとってアルゼンチンは宿命のライバル。ブラジルから見るとアルゼンチンは隣の席のツンとすました優等生。南米の先進国を自負し、いつも東のヨーロッパを見ているアルゼンチンのことが何かと気に入りません。

そんな日頃の気持ちが表れるのがスポーツの場面。リベルタドーレス杯準決勝でブラジルのパウメイラスとアルゼンチンのリバー・プレートの試合の時もこの大会で一番盛り上がりでした。パウメイラスがゴールを入れるたびに町中から花火があがり、あちこちの家から歓声が聞こえてきます。そして勝った瞬間にはまるで優勝したかのような喜びようです。

次はコパ・アメリカ。決勝リーグ第一戦でアルゼンチンと対戦することになったブラジルでは数日前から新聞やテレビなどでブラジル・セレソンの動きとアルゼンチンの動きを伝えます。もちろん試合も盛り上がります。花火がドンドンとあがり、勝利の後は「セレソン、よくやった!」とこれまた優勝したような騒ぎです。

そして今、パン・アメリカン大会の真っ最中。この大会はアジア大会みたいなものでアメリカ大陸の各国が競う総合競技会です。テレビでは連日ブラジル・セレソンが今日獲得したメダル数をカウントし、金を取るたびに放送中の番組を中断して中継が入ります。そして解説者がいう言葉は「これでブラジルの金は○○個!アルゼンチンとならびました!」や「ついにアルゼンチンを抜きました。金○○個です!」とかとにかくアルゼンチンとの比較です。8月9日現在、メダル数争いはアメリカ・カナダ・キューバのスポーツ大国が独走、その後ブラジル・アルゼンチンの順で追いかけていますが、こっちの人々は「近代スポーツは、選手・トレーナー・栄養士それにトレーニング施設すべてがそろわないと勝ち抜けない。アメリカ・カナダは別格で、キューバも国全体がプロ・スポーツの国、かないっこありません。でもその次に続くのはアルゼンチンじゃなくてブラジルだ!」と思っているようです。

とにかくアルゼンチンに勝てばいいのです。たとえ優勝しなくてもアルゼンチンにさえ勝てば面目が保つのです。


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