言わずと知れた、ブラジル最大のお祭り。いや、今では世界最大のお祭りと言えるでしょう。各エスコーラの持ち時間は８０分ちょっと。たったこれだけのために４０００人にものぼる人達が一年の努力と一億とも二億とも言われるお金をそそぎ込みます。世界最大の無駄と言われるかも知れませんが、そこから生み出されるエネルギーは人智を越えたものがあります。旅行記にも長文でカルナバルの思い出を書いてますが、だいたいカルナバルを文章で表そうということ自体、所詮無理がありますが。あえて言えばひとつひとつのエスコーラが東京ディズニーランドのエレクトリカルパレード（ファンティリュージョンはまだ見たことないっす）の７４倍ぐらいあって、そんなエスコーラが１４も登場するんです。ちょっと計算してみると

• 参加人数　４０００人×１４＝５６０００人
• 投下資金　１億５千万×１４＝２１億円
• 迫力　７４×１４＝１０３６倍（ＴＤＬ比）

これだけのエネルギーが二晩で爆発します。しかもこれはエスコーラ・エスペシアウに限ったことでこれ以外にもリオ市内各所でたくさんのエスコーラのカルナバルが行われ、天文学的なエネルギーとなります。

●カルナバルは戦いだ！
カルナバルにはエスペシアウからＥまでのクラスがあり、各クラスのエスコーラが集まってそのワザを競います。一般に僕たちが見に行くのがエスペシアウで１４エスコーラがあります。これが日曜日と土曜日に７エスコーラずつ分かれて登場し、一年間の練習の成果を見せるわけです。この模様は審査員によって審査されて成績が発表され、優勝エスコーラが決まります。また、各クラスの下位２エスコーラは下のクラスに降格し、逆に上位２エスコーラは上のクラスにあがります。クラスによって市からの助成金の額も違うので、結構死活問題だったりします。

●チケット
何と言ってもカルナバルで誰もが知りたいのはチケットでしょう。「結局ダフ屋から買わないといけないんじゃない？」と思っている皆さん、朗報です。今回のカーニバルから、ブラジル全土にあるどこのBANCO　BANDEIRANTESの支店でもチケットが購入できるようになりました。まず、SETORの予約をすると５日後にチケットが発行され届くそうです。ただし、どこで買っても、カーニバル直前の週に、チケットに書かれているリオの所定のBANDEIRANTES支店で、プラスチック製の入場券に取り替えてもらわなければなりません。これはリオの町でチケット購入しても同じです。カルナバル直前にいった時にはまだまだ正規チケットがたくさん余っていました。でも旅行社を通して買うと、今でも１００ドル以上で取り引きされているんでしょう。日本で手配すると２００ドルぐらいすると聞きました。ちなみに一番安いアルキバンカーダの定価は４４Ｒ＄、２５ドルぐらいです。

●一般参加
レベルの高いカルナバルですが、その門戸は旅行者にも広く開かれています。かくエスコーラにはそういった外のお客さんのためのアラがあり、お金を払って体のサイズを言っておくと、当日までに衣装を準備してくれあのカルナバルに参加することが出来ます。値段はピンからキリまでありますが、聞いた範囲では１５０Ｒ＄〜４００Ｒ＄ぐらいです。もちろん事前の練習など一切なく、踊り方の決まりもありません。とにかく８０分の間、興奮に包まれながら好き勝手に踊れるというわけです。踊った後は、自分が使った衣装がもらえますが、これってブラジル旅行の究極のお土産じゃないでしょうか。エスコーラの連絡先は一番下のランキングところをご覧下さい。

●もっと詳しいお話は

• ブラジルへようこそ
  カルナバルの歴史などや各学校の性格などが詳しく出ています。
• CASA de NINO
  カルナバルの詳しい説明や１９９８年のカルナバルの写真（ここのよりきれいです）があります。
• サン・パウロ日本人学校
  詳しい楽器の解説はここですね。
• ラテンの学校
  ここも楽器の解説です。

●会場案内

• 観客席の構造
  観客席は「SETOR」によって分けられています。各セトールはパレードに一番近いところにある「カデイラ」その後ろのスタンド「アルキバンカーダ」、アルキバンカーダの下にある個室「カマロッチ」に分けられます。なお、セトール２だけは全席カマロッチです。
• バテリア溜まり
  会場には二カ所バテリアが待機する場所があります。Ａはスタート前に待機する場所で、Ｂはゴール前にあり他のアラの通過待ちのため待機します。その正面にあたるセトール１，３，４では他の場所に比べると心地よいバテリアの音色を長く聞くことが出来ます。
• セトール１，３
  各ジスフィーリのスタート前には別の演奏があり、その後本番の演奏が始まります。そのあたりをじっくり楽しむには最適の場所。スタート時の興奮が楽しめます。
• セトール４
  図を見れば分かりますが、目の前にあるセトール２の建物に遮られてスタート方向が見えません。スタートして３０分ぐらいでやっと見ることが出来ます。
• セトール５，７，９
  このあたりが一番長い間ジスフィーリを楽しむことが出来ます。
• セトール、７，９，１１
  外国人観光客が多いところです。そんなわけであんまり盛り上がりません。とくにセトール１１なんか、カルナバルも佳境の深夜１２時頃になると早々と帰ってしまいとっても寂しそうです。でもゆっくり見るならここ。
• セトール１３，６
  ここも引っ込んでいるのでスタート方向が見えません。

●カルナバル用語の基礎知識

• G.R.E.S.
  正式には　Gremio Recreativo Escola de Samba　「娯楽団体サンバ学校」とでも訳すんでしょうか。一般に「エスコーラ」と言われています。
• Sanbodoromo
  カルナバル専用会場。年に一回しか使いませんが立派です。ブラジルを作ったオスカー・ニーマイヤーの設計。
• Samba-Enredo
  各エスコーラのテーマ曲。カルナバル前には暗記しておかないといけません。
• Desfile
  「行進」のこと。
• Comissao de Frente
  これは文字通り、各エスコーラの先陣を切って登場する人達でいわゆる「露払い」です。
• Carros Alegoricos
  巨大な山車（だし）各エスコーラが趣向を凝らして作り上げる巨大な飾り物。原則として人が後ろから押して動かします。
• Alas
  「翼」のこと。同じ衣装を着た各グループのことをこう呼びます。
• Mestre-Sala e Parta-Bandeira
  Mestre-Salaはエスコーラを代表する男性の踊り手、エスコーラの旗を持った女性の踊り手Parta-Bandeiraをエスコートします。Bateriaの前にいます。両者とも衣装はフリフリで豪華絢爛。
• Bateria
  カルナバルのリズムをとる打楽器隊。最も重要なパートでエスコーラの魂と言われています。Bateriaが目の前を通るとき、客の興奮は最高潮に達します。
• Velha Guarda
  だいたい列の最後にいる、エスコーラのベテラン達。長い間エスコーラを支えてきた功績をたたえて会場からは惜しみない拍手が送られます。
• Baianas
  バイーア風の裾の大きいスカートをはいた女性達。エンレードのサビの部分になるとクルクルと回転し、その瞬間、会場は花が咲いたかのようになります。だいたい年輩女性が担当し、最高齢者は８０歳を越えます。
• Passista
  エスコーラ最高の踊り手。女性はスケスケのコスチュームで激しく踊り、会場をわかせます。同じ人間とは思えないぐらい激しくお尻をふります。あまりの速さに僕には残像しか見えません。男性は片手にパンデイラ（タンバリン）を持って踊ることが多いです。
• Puxador
  エスコーラのエンレードを延々と歌う人。エスコーラ自体を引っ張ることから「引っ張り屋」と言われます。１時間以上歌っています。Bateriaの後ろにいます。
• Carnavalesco
  エスコーラの芸術監督。エスコーラの全演出を担当します。
• Crianca
  「子供」のこと。子供だけのAla
• Fantasia
  カルナバル用の衣装。一切手を抜かない凝った作りが自慢の衣装。

●カルナバルの採点基準

1. Mestre-Sala e Porta-Bandeira
   エスコーラの花形の彼らの踊り、調和、衣装などが採点されます。
2. Comissao de Frente
   エスコーラの最初の顔です。独創性、うまく観客のこころをつかんでいるかを採点します。１０人以下、１５人以上は減点。
3. Fantasias
   衣装の美しさの採点。テーマに合っているかどうかなどを採点します。
4. Alegorias e Aderecos
   一番目立つ山車の採点。デザインや完成度や、それぞれの山車がエンレードに合っているかなどを採点。５台以下、８台以上は減点。
5. Conjunto
   エスコーラ全体の芸術性を採点。
6. Enredo
   各エスコーラのテーマ。その年のテーマに合っているかどうか採点されます。２０００年のテーマは「ブラジル発見５００周年」。
7. Evolucao
   ジスフィーリの進行や盛り上がり具合。カーホ・アレゴリコが遅れたり、アラの間隔が開きすぎると原点。
8. Harmonia
   エスコーラの演奏と、踊り子達の歌唱力の採点。踊ればいいだけではありません。歌も大事。
9. Samba-enredo
   その年のテーマ曲の採点。全体のテーマに合っているかなどが採点されます。
10. Bateria
    バテリアの技術を採点。２００人以下だと減点。 管楽器があると減点。

●２０００年の結果（横の数字は上記採点基準の番号です）
各エスコーラのホームページにリンクしています。