Random Notes


初体験カナダの歯医者
 

   恐れていた事が起ってしまいました。 約10年前日本で治した虫歯の詰め物が、気がつかないうちに取れていました。 ドライ・アプリコットをかんだ時に強烈な歯痛がするので、鏡で見てみたらなんと詰め物をしていた左側下の中間の歯に大きな穴があるではありませんか。 どおりで物をかむと痛い、虫歯むき出しなわけです。
   「恐れていた事・・・」というわけは、自分は歯医者が大の苦手。 小さい頃から歯医者に通っていて、いつも痛い思いと恐怖心でいっぱいだったのです。 その気持ちは今も変わらず、よっぽど痛くない限り歯医者には行かない主義でした。 最後に歯医者に行ったのは10年前です。  会社で「自分は歯医者には10年くらい行ってない」と言うと決まって皆に「今すぐ予約とって行った方がいいよ! 行かないと後で大変な目に合うよ!」と言われ続けていました。 というのも、カナダでは半年に一回歯の検査をするのがあたりまえで、人によっては歯垢を取りに定期的に行くのが習慣となっているのです。 それだけ歯と言う物を大切に扱われているのだと思います。 でも、 いくらカナダの習慣と言われても、歯医者だけには行きたくないと思い続けていただけに、今回の
“虫歯の詰め物が取れた事”は自分にとって大ハプニングだったのです。

   痛い思いをし続けるのはユウツになるので、覚悟を決め歯医者に行くことを決めました。 NO CHOICE の状態でした。  友達に事情を話し歯医者を紹介してもらいました。 幸い電話をした当日に予約が取れ“まな板の鯉”の気分で予約時間を待ちました。  自分が非常にナーバスなっている事に気付いた友達は「虫歯を治すなんて、床屋に行くのと同じだよ。」と気休めを言ってくれましたが、自分の頭の中は歯を削る時のあのキーンと鳴る機械の音が何度も響いている状態でした。 「うむ・・やっぱり嫌だな。」
 


 
 

   カナダの歯の治療は非常に高額と聴いていたので、保険の扱いについて心配になりました。 幸いにも自分が働いている会社には歯の治療もカバーできる保険に加入していたので、全額自分で払う必要は無いとの事。会社の仲間に電話をかけ保険の詳細を聞いてみたら、まずは自分で全額払って、後日保険会社にクレームするとカバーされる分(約80%)が小切手で返されるとの事でした。  会社の保険を使うのも初めてなので、今回の治療が非常に厄介なものに感じ始めました。 それに加え英語が分からない! カナダに7年以上住んでいても未だに医学用語が覚えられない。 虫歯って英語でなんて言うんだったっけ?   詰め物って?  ちゃんと歯医者とコミュニケーションできるだろうか? と不安もつのりはじめました。 

   初診察と言う事で手続きが必要だろうと思い、少し早めに家を出て予約時間より10分ほど早く歯医者に着きました。 レセプションの人に初診察用のフォームを渡され書き込みをするよう言われました。 そのフォームは非常に一般的なもので、名前、住所、連絡先、保険の種類、SIN番号それから健康状態と歯の状態を YES, NO の質問に答えるものでした。 書き終わりフォームをレセプションの人に渡す時に、保険の扱いについて聞きました。 レセプションの人曰く、「直接歯医者から保険会社にクレームする。」との事。 やった!これで難問一つクリアーと思いました。
   しばらくして、20代半ば位の若い男性が自分の前に表れました。 「うむ? この人が治療するのか。 ちょっと若そうだけど大丈夫だろうか?」とちょっと不安が頭の中を過りました。 で、治療室に連れて行かれ紹介されたのがDR.--- と若い女性でした。 ということはドクターを紹介してくれた男性はアシストと言う訳です。 ちょっと日本ではめったに見られない光景では?!

(*SIN とは Social Insurance Number の略。 カナダで働くにはこのSINカードが必要なのです。)
 


 
 

   さて、治療です。 「詰め物が取れてしまって、物があたると痛い。」と歯の状態を説明し、治療が始まりました。 そこからが驚きなのです。 「口元を照らすライトが眩しいでしょ。」と言われ真っ黒のサングラスを渡されました。 確かにライトが目元にも当って眩しいけどサングラスを渡されたのは初めてでした。
   穴のあいた歯をみて、「これでは、すぐに詰めなくちゃいけないわね。」と言う事で、治療内容を説明されました。治療を開始する前に歯のレントゲンを取るとの事。 また、歯の周りを FREEZE してそれから治療を開始するとの事。 "FREEZE?" 単語としては意味を知ってるけど、どうするのか確かじゃなかったので、「FREEZEってどうやってやるんですか?」と聞くと、様は麻酔を打つ事だったのです。 麻酔か? 注射を打つわけか? と思い一瞬不安に思いましたが、 それほど痛みの無い注射で、打って5秒もすると左側の口元がしびれ始めました。
   次に驚いたのが、「治療の音を聞くのが嫌だって言う人もいるから、ヘッドフォーンを通して音楽を聴きますか?」と聞かれました。 で、なんと CDセレクションのリストを渡されたのです。 それも3つや4つではありません。 40種類位のセレクションがありました。 ジャンル毎に分かれており、ダンスミュージック、ロック、ジャズ、クラッシック、メディテーション とまるで音楽カタログの様でした。 歯の治療の時に激しい音楽は聴く気にはなれなかったので、自分は少しでも穏やかな気分になる様にメディテーションのセクションから「ESCAPE」というCDを選びました。 音量ボリュームも自分で調整でき、このまま寝てしまうのではないかと思うぐらい落ち着けるムードになりましたが、 いざ治療が始まると歯を削る感覚、それからあのキーンという音がかすかに聞こえ、麻酔で痛みは無い物のやはり不快でした。 
   約10分後、CD の丁度2曲目が終わった頃に治療がほぼ終わりました。 上下の歯の噛み合いを確認し、それで治療は終了でした。 「なんだ、こんな簡単に済むのか?!」と予想以上に早くそれも痛みが無く終わり、ちょっと拍子抜けした気分でした。
   今回支払った治療費は、150ドル(約11500円)程でした。 「カナダの歯の治療は高い!」と聞いていたので、もっと高い金額を請求されるのだろうと覚悟をしていたので、思ったより高額でなく気が楽になりました。
 

初めてのカナダでの歯の治療。 無事に終わって良かったです。 それに難しい治療でなく友達がいってた「床屋に行くのと同じ感覚。」ってのが、何となく分かったような気もしますがやはり今でも歯医者は苦手です。 
それにしても、サングラスをかけヘッドフォーンをして治療を受けてる姿を第三者がみたら、なんか笑われそうですよね。 まるで浜辺で寝そべっているようで・・・。(笑)
 


 
 
 

BACK

NEXT
1