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歌う船 アン・マキャフリィ
酒匂真理子訳 創元SF文庫
The ship who sang Anne McCaffrey
cover STORY
 先天的に奇形の体や、機能しない体を持って生まれた赤ちゃんたち。脳に損傷がなければ、 チタニウムの殻の中に入れ、神経シナプシスを機械と繋いだ管理機械として生きる道がある時代。
 ヘルヴァもそんな殻人(シェル・パーソン)の1人だった。
 彼女は、仲間内でもエリートの"頭脳船"(ブレイン・シップ)となる。優秀なサイボーグ宇宙船で ある彼女も、感情のある人間なのだった。泣いたり、怒ったり、人を好きになったり。
 さて、頭脳船は生身の偵察員"筋肉"(ブローン)とコンビで仕事をするのだが・・・。
 魅力的なサイボーグ宇宙船が活躍する連作短編。

COMENT
 私のマキャフリィ・ファン歴は長い。10年来と書こうとして、手元の本の奥付を見たら、1984年と、なっていました・・・。あんまり詳しく言うと年がバレるので、よそう(笑)。
 さて、私はさしてSFファンでもありません。それなのにマキャフリィが好き。
 ものすごく未来なはずなのに、イヤな上司にイライラしたり、グチっぽい同僚がいたり。
 この物語の主人公ヘルヴァも「チタニウムの処女」なんて言われながらも、そういったことに 一喜一憂するかわいいお嬢さんなのです。
 たとえ、恒星間を飛行できる、宇宙船の肉体を持っていてもね。
(でも、自分自身で音速以上のスピードで移動するって、どんな感じでしょう!?)
 これは1人の女性の成長物語と言ってもいいかもしれません。
 ヘルヴァは、初めて選んだ相棒の"筋肉"を任務中の事故で亡くしてしまいます。彼・ジェナンは ヘルヴァの初恋。歌うのが好きな彼女についたあだ名、"歌う船"を大事にしてくれた人でした。
 彼が死んですぐ、同じ頭脳船と彼女のやりとり。
「834号?歌う船ね?」
「もう歌わないわ」
 SFを読んで泣くことがあるかと聞かれれば、私はYesと答えます。
3.38KB

 さて、ひさしぶりのイメージイラスト付きオススメです。
SFファンで詳しい方。深くツっこまず、広い心で見ていただけると嬉しいです。
(右のサムネイルをクリックすると、大きい画像が見られます)


(99.08.10)

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