朝、酒田駅にて。
寝坊することもなく、間に合うようなほどよい時間に目を覚ますことができた。
身支度を整えて宿を引き払い、朝の街中を歩く。
酒田には、2年前のサークルの夏合宿で朝日連峰へ向かう途中、乗り換えの待ち合わせに
立ち寄ったことがあった。そのときに先輩二人が分けあってソフトクリームを食べたり、わたしが、得点が
なかなか入らないもぐらたたきをやったりした駅前の大きなスーパーは、すでに閉店になったことを、看板で知った。
それでも、一度歩いた街というのはやっぱり懐かしかった。
羽越本線[酒田−秋田]
高校生が部活動の練習にでも出向く時間か、あるいは出勤か。。。車内はわりと混んでいた。
疲れてはいたが、「もうすぐ降りるから」と口ではいい、「ロングシートで後ろの景色を見ると首が
疲れちゃうし。。」と心の中では言い、座席を他の人に譲り、扉の脇にたって日本海を眺める。
昨日はいわきの近くで太平洋を見、今日は日本海。。。。つくづく贅沢なことをしてるかもなぁ、などと
考えてしまう。
そして、本当はやっぱり、早く秋田駅に着くことを待ち遠しく思っているのであった。
秋田にて。
列車が滑り込んだ駅のホームには、知人が待っていた。
彼の用事が済んでから、レストランで昼食兼朝食を食べる。
その後。
秋田から男鹿線に乗って、男鹿半島へ行った。
風が強い中を、ヨットハーバーを見ながらレモンのシャーベットを食べたり、駅前のなまはげの人形を見たりした。
再び秋田駅に戻って、買い物などをしたあと、宿をとってやすんだ。
31日。つまり、この旅の最終日。
ちょっと寝坊をしてしまい、引越しのお手伝いをしてくれることになっていた知人とともに、予定より遅れて
盛岡に戻る。久しぶりの盛岡は、やっぱりまだ冬といっていいくらいに寒くて、鼻水が出た。
駅から歩いて40分ほど。新しい下宿先にはまだ、引越しのトラックは到着していなかった。
しばらく待って、ようやく到着したトラックから、荷物を部屋に4人(わたし、知人、業者の人2人)がかりで
運び入れる。
おおかた整ったところで夕方になったので、彼を駅まで送り出すついでに夕食を取りに外出。
お気に入りのラーメンやさんに連れていった。
店を出て、駅まで北上川沿いの道を歩いていると、ちらほらと雪が舞っていた。
見送りが済んで新しい下宿に戻り、入浴してから布団を延べて横になる。
日常生活でもごくごく当たり前のことなのに、とても幸せに思えた。
また、そんな当たり前の生活ができなかった数日間でもあった。
おしまい。