ひとりよりふたり

行程

3日目

朝、酒田駅にて。

寝坊することもなく、間に合うようなほどよい時間に目を覚ますことができた。

身支度を整えて宿を引き払い、朝の街中を歩く。

酒田には、2年前のサークルの夏合宿で朝日連峰へ向かう途中、乗り換えの待ち合わせに

立ち寄ったことがあった。そのときに先輩二人が分けあってソフトクリームを食べたり、わたしが、得点が

なかなか入らないもぐらたたきをやったりした駅前の大きなスーパーは、すでに閉店になったことを、看板で知った。

それでも、一度歩いた街というのはやっぱり懐かしかった。

羽越本線[酒田−秋田]

高校生が部活動の練習にでも出向く時間か、あるいは出勤か。。。車内はわりと混んでいた。

疲れてはいたが、「もうすぐ降りるから」と口ではいい、「ロングシートで後ろの景色を見ると首が

疲れちゃうし。。」と心の中では言い、座席を他の人に譲り、扉の脇にたって日本海を眺める。

昨日はいわきの近くで太平洋を見、今日は日本海。。。。つくづく贅沢なことをしてるかもなぁ、などと

考えてしまう。

そして、本当はやっぱり、早く秋田駅に着くことを待ち遠しく思っているのであった。

秋田にて。

列車が滑り込んだ駅のホームには、知人が待っていた。

彼の用事が済んでから、レストランで昼食兼朝食を食べる


その後。

秋田から男鹿線に乗って、男鹿半島へ行った。

風が強い中を、ヨットハーバーを見ながらレモンのシャーベットを食べたり、駅前のなまはげの人形を見たりした。

再び秋田駅に戻って、買い物などをしたあと、宿をとってやすんだ。


31日。つまり、この旅の最終日。

ちょっと寝坊をしてしまい、引越しのお手伝いをしてくれることになっていた知人とともに、予定より遅れて

盛岡に戻る。久しぶりの盛岡は、やっぱりまだ冬といっていいくらいに寒くて、鼻水が出た。

駅から歩いて40分ほど。新しい下宿先にはまだ、引越しのトラックは到着していなかった。

しばらく待って、ようやく到着したトラックから、荷物を部屋に4人(わたし、知人、業者の人2人)がかりで

運び入れる。

おおかた整ったところで夕方になったので、彼を駅まで送り出すついでに夕食を取りに外出。

お気に入りのラーメンやさんに連れていった。

店を出て、駅まで北上川沿いの道を歩いていると、ちらほらと雪が舞っていた。


見送りが済んで新しい下宿に戻り、入浴してから布団を延べて横になる。

日常生活でもごくごく当たり前のことなのに、とても幸せに思えた。

また、そんな当たり前の生活ができなかった数日間でもあった。


おしまい。


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