ハードな一日
そして翌日、日曜日。早朝出発予定。のはずでした、、、が、うかつにも寝過ごしてしまい、目覚めたのは朝10時でした。「まぁいいか、つけばいい。」と思い車のイグニッションを回し、先輩に別れを告げ6時間の旅を始めました。「まぁいいか」などと思った割には焦っていたようで、近道を選び山道を疾走していました。これが後の悲劇を産むことになったのです。車の中で次の行き先を考えつつ微かな記憶の地図を辿っていました。そして最後の峠を越え、あと1時間半も走ればポツダム、というところに差し掛かったところでガソリンスタンドに立ち寄り、車と自分に2度目の燃料を補給しました。オレンジジュース* を飲み干し、ミネラルウォーターのペットボトルと自分の身体を車のなかに放り込み最後の1時間半を走り始めました。峠の手前の道あたりで太陽が落ちてきて夕日がやけに眩しくしかも峠は針葉樹林が陰になり暗く、まだ冬なのもあって凍って滑りやすくなっていました。そのため、サングラスをしているとなにもみえなくなり、サングラスをとる事を余儀なくされてしまいました。峠にさしかかってからスピードを落としつつ進んでいましたが、それは起こってしまいました。。。道路が凍っていたため、峠道の下りのところで夕日が眩しく前が全くみえないまま下り坂でスピンしてしまったのです。コントロールがきかないまま逆の斜線のガードワイヤーにぶつかり、危うく車ごと落ちてしまうところをスピードがたいしてでていなかったせいでしょう。ぶつかってウインカーとヘッドライトを潰す程度ですみました。そして、動こうとするのですがスリップしてしまい全く動けない状態になってしまいました。スタッドレスをはいているはずなのに、なんと無力かと感じてしまいましたが前から車がこない事を祈っていろいろと試し、なんとかタイヤの熱で凍りついた道路の表面をとかしバックしたと同時に奥から4輪駆動のトラックが爆走してきました。道をきこうと思ったのでクラクションを鳴らしたのですが相手は「とまれない」というサインを出して去っていきました。良く考えて見ると、あと少しそこでのんびりしていたら、ボディーの修理も考えなければいけなくなるところでした。仕方ないので地図を見て、現在地を調べ、修理工場にもっていったあとに保険会社に報告しようと思っていました。すぐに一番近くの電話を使って電話をすればあとのごちゃごちゃも起きなかったのでしょうが。。。
やっとのことで寮の裏にある駐車場に車を滑り来ませ荷物をもって自分の部屋に入りCDをつけ、コーヒーを入れる準備をして手元に残ったペットボトルの水を飲み干しました。椅子にすわり、買ってきたばかりの豆で煎れたばかりのコーヒーを飲みつつ、出たばかりの課題に取り組み、その夜は更けていったのです。
次の日の昼、講義の合間に車を修理工場にもっていき、保険会社に電話するつもりで講義の合間に駐車場に向かいました。駐車場で「車の壊れた部分」と「現実」の両方をなんとか直視しつつ修理工場にもっていきました。BLEVINSという日産のディーラーも兼ねた場所にもっていくと、そこにいた人はとてもやさしく、いい人で、わかりやすくどうやって直すのか、どういったパーツを必要としているのかを群に入り細に渡って説明してくれました。そして、料金を調べてくれ、とても親切で丁寧な方々でした。見積りは$200でしたが、保険が利くので大半はカヴァーできると思い、更にそこに「中古のパーツを使えば少しは安くなるね」という天の声が。思わず胸を撫で下ろしました。全部がカヴァーできるわけではないのでなるべく安く仕上げたかったのです。その帰り道、CDとギターの弦とピックを買いに楽器屋さんに行き、用を済ませて戻ろうとテープをかけ、駐車場から出ようとしました。すると、前に一台、黒い4駆の車が出口で止まっていて今にも出ようとしていたので後ろにつきました。そして少したつと急にバックしてきたのです。しかし、自分の後ろにも車はついていてバックするわけにはいかない。そこでクラクションをならし、窓からも顔を出し叫んだのですがいやな音と衝撃を全身に受け止めてしまいました。「グシャ」という音と共に車がどんどんバックして荷台のぶぶんがじわじわとボンネットの上にのってきます。「危ない」と感じ、犯人をとっ捕まえてやろうとドアをあけた瞬間、その車は逃げていきました。回りには数人の老人が車の壊れた部分をみて悲痛な顔をしていました。自分は怒って、というよりも「つかまえて弁償してもらおう」という気持ちが強く、壊れたままその車をおいかけていきました。途中のガソリンスタンドでその車が停車していたので出られないようにと、前をブロックしてナンバーを控え、相手が出てくるのをまちました。そして、いかにも学生であるような男性がでてきたので相手がこれをやった、ということ。警察を呼び、しっかりと処理したいということ。そしてなによりも壊れた部分を弁償してもらいたいこと。を告げると彼は否定し続けました。そこで、しかたないので公衆電話に向かい警察を呼ぼうとすると彼は車をバックさせて逃げていきました。まぁナンバーは控えてあるので構わないと思い警官に相談しても「本人をつれてこい」といわれるだけで結局あてにはなりませんでした。問題は更に続きました。相手につぶされた部分は自分が事故を起こした部分とかぶってしまうので保険が受け取れず、結局は保険会社もあてにならず、修理する方法を決めあぐねてしまい、その日は寮に戻り、冷蔵庫の中に入れてあった日本酒の5合瓶をあおってルームメートと回りに迷惑をかけつつもハードな日は終わりました。
つづく
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