もともと教会建築はヨーロッパの観光対象の目玉の一つ。僕も以前から教会建築を見るのは好きだったが、あるとき出張の帰りにたまたま成田空港内の本屋で買った「大聖堂のコスモロジー」という本(講談社現代新書、No.1120)を読んで以来、ますます虜になった。(以下、データは主にこの本より引用。)
日本でゴシック式教会建築というと「ケルンの大聖堂」(ドイツ)が真っ先に思い浮かぶかもしれないが、発祥の地はここイル・ド・フランスだとか。この地域にあるゴシック教会堂を、例えば建築時代の順に沿って;
・ノワヨン (Noyon, 1150年頃?建築開始、以下同じ)
・ラン (Laon, 1150年頃)
・パリ (Paris, 1165年頃)
・シャルトル(Chartres, 1195年頃)
・ランス (Reims, 1211年頃)
・アミアン (Amien, 1220年頃)
・ボーヴェ (Beauvais, 1227年頃)
なんて具合に見ていくと、最高に面白いだろう。僕の場合は、経路の関係で順番は入れ替えてしまったが。2〜3日で全部まとめて見るには、車が欲しい。(詳しい場所は地図で探して見てください。上記は全部、街の名前です。)
このうち、アミアンのカテドラルはフランス最大の教会建築と言われ、天井高さは42メートルある。最後に挙げたボーヴェのカテドラルの天井は更に高く48メートルもあり、完成すればアミアンより遥かに大きな教会になるはずであったが、途中で中断されてしまったまま、現在に至っている。
これら後期のやつになると、塔の高さこそウルム(161m、ドイツ)やケルン(157m、ドイツ)にはかなわないが、本堂の天井の高さではケルン以上ではないかと思う。(手元のガイドブックにはケルンの大聖堂の天井高さの記述がない。)ついでに付言すれば、ケルンやウルムの塔の先端部分は、19世紀になって完成された、いわば「後世の付け足し」部分である。もっとも、イル・ド・フランスのゴシック教会堂の多くも、時期こそもっと早いが、本堂よりは後で増改築された塔を持つものが多い。
「そんなに教会ばっかり見てられないよ」という方へ。
せめてパリの他に一つは見たいものだ。一番華麗かつ有名なのはシャルトル。とりわけステンドグラスが有名で、ツアーでも結構行くみたい。「大きさで勝負」なら、アミアンかボーヴェ。ひっそりと「わび・さび」志向なら、ノワヨンかランがおススメ。
|