7月7日(月)

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(ヘンな外人)

先週の日曜日(ロバニエミに着いた日)の夕刻、市内観光の後、会議会場まで会議の論文集や資料を取りに片道2.5kmの道を歩いて往復した。帰り道、有名な福音教会の前を過ぎ鉄道の高架下をくぐる道路の近くで、すれ違う外人から、いきなり「こんばんは」とニッコリ笑顔で挨拶された。新興宗教の介入かと、一瞬日本に居る気持ちに戻って警戒したこともあり、返す言葉もなく行き過ぎてしまったが、外見は明らかに外人(フィンランド人でないという意味で)である。アゴ髭は黒に近い濃い褐色で、がっちりとした小柄な体型は、フィンランド人とは思えない。
 火曜日の夕刻、トナカイ牧場へ向かう観光ツアーへ家族を伴うべく同じ道を歩いていて、そのことを思い出した。あっと驚いたのは、このヘンな外人(当人の名誉のために言っておくが、この「へんな」は、否定的な意味ではない。「不思議な」とか、「当方の予備知識にない行動を取る」のような言葉と置き換えて使ってください)は、コンピュータルームで人工言語の話をしていて分かれたばかりのフランス人、オリビエさんだと気がついたからである。数学者のオリビエさんは、日本語の特に漢字に興味を持ち、独学で 日本語を学んで来たと言う。そう言えば、月曜日の昼食時だったか、「数学」という漢字を書いて、その意味を知っていると日本人参加者に説明していたのも、この人オリベエさんだった。フランス人に変わりものが多いのか、それとも、数学者に変わった人が多いのか。

(ラップランドの夏)

 ラップランドでも、今は、夏真っ最中である。人々は、公園で日光浴をし、湖や川で泳ぐ。晴れれば気温は30℃近くまで上昇、曇ると20℃強という気候である。彼等が水泳を楽しむ川の水温は18℃、水に触ると冷たくて気持ちよい。服を着ている限りは、の話であるが。それでも、フィンランド人は楽しそうに川で泳ぎ、野外の雰囲気を満喫しているようである。ここロバニエミは治安も良さそうで、特に、今は白夜で日が暮れない(しかし、天気は悪く、真夜中の太陽を見たのは、先週の月曜日、24時まで続いた最後のセッションが終わり、バスに乗ってホテルに帰る道のりでのことのみである。あとは、曇りか雨で、ミッドナイトサンを撮影するチャンスを逸しているが)こともあって、真夜中を過ぎても深夜独特のちょっと危険な雰囲気が訪れない。

 

 「水辺や森に近づくと飛び交う蚊の数が指数関数的に増加する」と、会議主催者からアナウンスもあるが、町中にとどまる限り、日本で会う以上の被害はない。たぶん、蚊取り線香と虫除けスプレーを併用すれば、トナカイ牧場以外では大丈夫だろう。もちろん、ラップランドの荒野をハイキングしキャンプサイトで夜を過ごすことまで考えているなら、蚊に刺されやすい体質でないことを日本で十分確認してから出発するほうが無難に思うが。ラップランドから下ってフィンランド南部に戻れば、蚊の威力も低下する。蚊に弱い人は、南部の森のハイキングで我慢しておいたほうがよいだろう。とにかく、暑さでうだる日本の夏を避けて、避暑に来るには良い土地である。

  


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