10月27日(月)

October 27th (Mon), タンペレ通信に戻る( Back to Index)


(HITEC 97)

 先週の火曜日から金曜日まで、タンペレ近郊のピルッカハッリ(外見は、おおきなカマボコのような形の巨大な建て物で、タンペレ空港からヘルバンタに向かう高速道路の脇にあるので、以前から何だろうかと気になっていた。内部には400mトラックが作られており、本来は、屋内陸上競技場だと思う。)で、HITEC 97 という CAD/CAM をメインとする展示会があった。このイベントは、来フィン前からタンペレ市役所のホームページで見て知っていたが、マラさんから話しを聞くまでは、特に関係がないと思い忘れていた。
 月曜日に、マラさんがいきなり振り返り「ひとし(私の名前です)、HITEC 97 のことを知っとるか。たぶん、知らんだろうから言うと、タンペレの誇る巨大な展示場で行われるハイテクフェアで、我々の研究グループも一角に出展するんだ。木曜日には、オッシ(マラさんの共同研究者)が、我々の仕事のプレゼンテーションをやる。入場券があるから、見に来たらどうか」と言って、HITEC 97 の優待入場券(持っていけば無料で入場できる)をくれた。翌日には、特別研究員のヘリさんが、「家族で一緒に見に来てください」と優待券を4枚くれた。現場で見たことと後から聞いたことも合わせてみると、地元の自治体(たぶんタンペレ市)の援助でタンペレ工大が展示会の一角を無償で使えることになり、コンピュータ関係で外部にも紹介できる仕事をしている三グループが、このブースを分けあっているらしい。日本では、このような展示会に大学や高専が出展することは(お金の問題だけとは言わないが)極めて難しいと思う。フィンランドでは大学と企業の運営方法の差が、日本よりも(相対的に)小さいことを示す一例と言えよう。
 いつも忙しくてなかなか姿の見えないセッポさん(私を招いてくれた教授です)も、ぜひ家族で来てくれと誇らしげである。家内はカゼ、素子は保育園の過渡期(最初の2週間はニコニコして通い、適応が早いなあと感心していたら、その後1ヵ月に登園拒否まで含む揺りもどしがあり、最近ようやく安定してきたところ)なので、智と二人で、オッシさんのプレゼンテーションに合わせて、木曜日の午後に出かけることにした。ピルッカハッリまでは、高速道路を使って15分、1時に出れば2時のプレゼンテーションには余裕で間に合う。
 しかし、この目論見は甘かった。火曜日の夜間に降ったが融けない水曜日の昼間にも雪が降り、平均気温が0℃前後などという(日本でいうと)本格的な冬になってしまった(さらに、冬でもほとんどの車が夏用のタイヤをはいたままの東海地方に住む人間にとり、この状況は一冬に一回あるかないかの危険な事態である)。道路を走る車は、路線バスを除いて大部分が冬用のタイヤ(フィンランドでは、冬用のタイヤとは、日本では姿を消しつつあるスパイクタイヤであるから音で分かる)をはき、慎重に走っている。先週末のタイヤ交換時期を逸した Uno は、まだ夏用のタイヤである。車で行くという当初の計画は変更せざるを得なくなった。
  
(ピルッカハッリ)       (HITEC 97)       (研究室のコーナー)

 結局、我々はバスで行くことにした。大急ぎで昼食を終え、いつもの30番に乗ってリンヤアセマ(長距離バスターミナル)まで行き、7番のバス(ピルッカハッリが終点)に乗り換える。リンヤアセマの温度計は2℃、青空も広がり暖かい昼下がりである。2時少し前に会場に入り、ブースはどこかと探していると、マラさんとオッシさんがセミナーホール(の一つ)から出てきた。どうも、プレゼンテーションはキャンセルになったらしい。CAD/CAM がメインの展示会では、マルチメディアを駆使したと銘打っても、教育システムに関心を持つ人は少ないとの判断らしい。その代わり、この日の午後二人はブースにずっと詰めて、興味を持って見に来てくれた人々に個別に説明をするという。
 展示はほとんど CAD/CAM に関するもので(智が生まれたころ、前の職場で使っていた AutoCAD が 新しいリリースR14? を大々的に宣伝し、関連企業も含めて広いスペースを占めていた)、ラリーのシミュレータ(本物の車を台の上に乗せ、画面の変化に合わせて揺すったりするのであるから、ディズニーランドのスペースなんとかと似たようなもの?)や木材伐採機の運転練習機(これもシミュレーション)などの動くものの他は、言葉(フィンランド語)の障害もあって、数多くの小さな(もしかして、興味深いかもしれない)展示は理解できなかった。
 帰りのバスがイーデス湖畔を通ったとき、智が言った「父ちゃん、凍っとるよ」。見ると、湖の8割くらいが氷で覆われていた。天気予報によると、週末は最高気温がマイナスらしい(ただし、このところ一日の最高気温と最低気温の差は小さく、2〜5℃くらいしか違わないことが多い)。寒いというべきか、まだまだ暖かいというべきか。

(タイヤ交換)

 夏時間も終わり(10/26 からフィンランドは冬時間に移行、日本との時差は7時間になった)最高気温が零度を下回って、マイナス何℃という表現がなんだか無用に思えて来ると、もう夏のタイヤで走ることは危険である。天気予報では、毎日スリップ注意報が報じられるし、車で通勤するマラさんとの会話でもタイヤ交換が話題に上る。マラさんが、「11月からは公式に冬(スパイク)タイヤの使用が許可されるが、常識的には、今年はもう替え時を過ぎた。ガソリンスタンドに勤める友人は、夢の中にまでタイヤ交換している自分が現われると言っていた。彼のスタンドで交換してもらったら30分とかからずに交換完了さ。」と言っていたのは先週金曜日の朝である。
 私は、土曜日の朝、タイヤを交換した。もう一週間早ければ、まだ、道が凍っていなかったから、アパートの近くまで車をまわしてタイヤを積むことができたのだが、このときはスランプで何もやらずに過ごしてしまった。凍った道路を夏タイヤで移動する勇気もなく、コロコロとタイヤを転がしながらアパートと秘密基地(地下駐車場とも言う)を往復した。この日、アパートから庭つきの集合住宅に引っ越すパルモネンさんから、「手伝いましょうか?」と聞かれるが、今日は彼の方が忙しいはず。「時間はたっぷりあるから大丈夫です。」と丁寧にお断りする。実際には朝9時前に始めても10時半までに完了する必要があったので、それほど余裕があったわけではないが、前回のタイヤ交換で要領は分かっているので、時間内に交換できる自信があった。
 必要な工具も全て揃っていたので、交換は極めてスムーズに進行予定通り10時半にはアパート横に到着、待っていた智を乗せて、(智のスケート教室がある)ホッケースタジアムに直行した。 ただ、プラスチック製のホイールカバーをきれいにはずす余裕はなく、2/3が大破(壊してはずした)、以前キルップトリで購入した1個と合わせて2個しか残らなかった。この冬、Uno がホイールカバーを装着することはないだろう。
  
(グランド)     (テーッカリン通り)     (氷) 

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