巷でよく言われているブラジルをあらわす言葉に「アミーゴの国」というのがあります。人みな親切で、すぐにアミーゴになれる国と言うことで、これにあこがれる人も多いはず。と同時に「ブラジルはすぐにアミーゴになれるからいいけど、日本人は冷たい」ともよく言われます。
しかしこの国暮らしていると「ブラジル人=アミーゴ=明るい」というのは表のイメージで、その裏には暗闇があるような気がしてなりませんでした。そして今日はそれを感じさせるお話を聞くことができました。
サン・パウロからアクセサリーを仕入れてこの町で店を開いている知り合いの話です。
「先週末もサン・パウロに行って仕入れてきたけど、仕入先の問屋でこんな話しを聞いたよ。なんでもその店と一年か二年ぐらい付き合いがあった商人がいたんだって。で、いつもキッチリと取引していたんだけど、ある日その商人が額面1000R$(6万円ぐらい)の小切手を三枚切ったんだって。問屋の人がいつものようにその小切手を持っていったら銀行から『この小切手は盗難届が出ているから換金できません』って言われて驚いたんだって。。」
つまりその商人は3000R$の小切手を切ったあとに自分の銀行に行って、その小切手は盗難にあったって申請したわけです。おかげで3000R$儲けたことになりますが、知り合いの話しによると、そんなことは日常茶飯事とか。
また、日本に行った出稼ぎの人々は家賃を節約するために、何人かで一緒にアパートに住むことがあります。こんなときでもある日突然ある一人が部屋の中の金目の物をゴッソリ持って出て行くことがよくあるんだそうです。何年も一緒に住んで、安心した頃にドカンと持っていかれるそうで、出稼ぎ斡旋業者も「日本で共同生活をするときには、相手に金目の物を見せないこと。財布や通帳は全て持ち歩くか、分からないところに隠しておくこと」と事前に注意しているぐらい。
これを聞いて、ブラジル人の心の暗闇の一端を垣間見た気がしました。すぐにアミーゴになれるけど、そいつがいつ自分を裏切るか分からない不安。そんなブラジル社会で暮らしていると、どんな友人といるときでも「こいつは裏切るかもしれない…」と考えるようになるんでしょうか。もしそうだとすると、まさにこれこそ大きな暗闇のような気がします。また、だからこそ絶対信頼できる家族の絆が強くなるのかもしれません。
いったん仲良くなり信頼関係が出来たらまず裏切られることはない日本とは大違いですね。単純な考えですが、
ブラジル=すぐに友人が出来るけど、浅いつながりで結びついている。 日本=なかなか友人ができないけど、出来ると深いつながりになる。
というパターンのような気がします。こう考えてみると、アミーゴの国・ブラジルが良いのか、日本が良いのか分からなくなってきますね。