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私の家から、車で15 〜20分位で行かれるゴルフ場が二ヶ所ある。つまり、都心からは車で30分位の所にあり、そのうち一つは、すぐ道を隔てた周りを、アパート群や一軒家に囲まれている。これは、ボストンの生活圏内のゴルフ場にいる生き物の話である。街中にもいるのだから、リスは、当然いる。一番よく見るリスは、グレーで、体の大きい(体長30cm弱)やつだ。それから、日本のシマリスを小さくして(体長5cm強)尻尾を短く細くしたような、異常にすばしっこいリスがいる。
そういう、いかにもゴルフ場にいそうな動物はおいといて、である。ある日、幅1mにも満たない小さな川のあるホールでプレイしていた時のこと、川の横を通り過ぎるとき、茶色の猫位の大きさの、それらしい生き物がチャプンと水に飛び込んだのを目にした。何だろう、まさかねえ、と思って目を凝らして見たが、何も出てくる気配はない。「今の、何?」と、たまたま一緒にプレイしていた人に聞くと、「ビーバーだよ。ほら、あそこにダムが見えるでしょ。」と、事も無げに言われてしまった。言われて見れば、吹き寄せられたようにも見えた木々の枝が、川を塞き止める様に組合わさっていたのだと分かった。まさかねえ、と思ったが、こっちのゴルフ場にはビーバーもいるのである。イエロー・ストーン(ワイオミング州にある国立公園)でビーバーを見て喜んでいたが、それは、自分の家のすぐそばにもいたのだった。
そうそう、イエロー・ストーンといえば、ムースを思い出すが、3年前、ブルックラインの隣街、ニュートンの街中ににムースが出て、ニュースになったことがあったなあ。さて、こちらのゴルフ場には、日本では見ない、とても目に付く生き物がいる。目に付くなんてもんじゃない。時としてプレイの邪魔になるぐらい、群れをなしてフェアウェイや、ティーグラウンドにいるのである。子羊程の大きさの、首が長くて羽があるそれは、「カナダ雁」である。
私は、カナダ雁をこっちに来て初めてみた。薄い茶色がかったグレーの体で、お腹とのどが白く、首が黒くて頭の黒と白のツートンに続き、足は黒で、「小さな恋の物語」のチッチの様である。(こんな事を書くと歳がばれるな。)その、形は首の長いカモ、大きさはガチョウ、人に動じない様はハトのカナダ雁は、ゴルフ場で放牧されている羊のように、のんびりと群れを成して地面をつっついている。近づいても慌てて逃げることはなく、うるさいからちょっとどくか、といった感じでゆっくりと動く。クラブやボールに当ったら死んじゃうかもしれないのに、そんな心配をよそに、カナダ雁達はいたって長閑である。そこにいるときは「あぶないよ、ちょっと退いて」、打つほうにいたら「あたったら、ごめんねー」と言いながらやっている。さすがに、「フォアー」とまでは言わないけど。
前に、知人が実際にゴルフボールをカナダ雁に当てちゃったけど、何ともなかったそうである。結構、丈夫な奴らなのだ。これは、ボストンのゴルフ場ではないが、友達が、ニューオリンズでゴルフをした時のこと。川沿いのホールでティーアップする時に、ふと、川岸に目をやったところ、そこには体長2m近いワニが、長々と寝そべっていたそうである。私もそれの写真を見せて貰ったが、本当に大きなワニが、ティーグラウウンドの脇にいた。アメリカって、すごい国である。
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