旧糠平駅周辺に残る士幌線の遺構




十勝三股までがバス代行輸送とされた後の暫定終点となったのが糠平駅でした。代行バスもあくまで士幌線の一部として運行されていたため、当時の時刻表の上ではあたかも十勝三股行きの列車が走っているような記述でした。サボ(列車の行先表示板)にも十勝三股行と書かれ、その下に(糠平−十勝三股間バス代行)と小さく書かれていたようです。
糠平駅跡には上士幌町鉄道資料館が建ち、士幌線の歴史と功績を現在に伝えています。 先に書いた通り士幌線はダム建設によって付け替えが行われていますので、初代の糠平駅はダムの底。鉄道資料館のある場所は「二代目糠平駅跡」と言えるでしょう。


糠平駅跡に建つ上士幌町鉄道資料館。夏の観光シーズンであっても訪れる人影はまばら。
廃止線の駅跡に建つ記念館の中でも数少ない有料展示(入館料\100)となっている分、
使用されていた機材の展示といったものだけでなく、
運転台から撮影された帯広−糠平間のビデオ映像を見ることができる
大型プロジェクタを設置するなど充実度は高い。
これを見てしまうと「電車でGO!で士幌線を運転したいっ!」と思うこと請け合いである。(猛謎)


鉄道資料館に保存されている車掌車。塗装の塗り替えは定期的に行われているらしく、保存状態はよい。
ここから十勝三股方面を望むと・・・
(2枚とも1999/ 1/16撮影)

X型に板を打ち込まれた腕木式信号機が立っている。近くまで寄ってみると
草木が絡まっており、保存されているというよりは放置に近い。


帯広方面にも2機の腕木式信号機が見える。
現示は「停止」だが、この信号機に従う列車はもういない。


資料館の脇で見つけたもの。退避禁止の立て札やキロポスト
(起点からの距離を示す看板のようなもの)が見える。
72キロメートルということは幌加駅周辺にあったものだろう。


糠平駅手前に口を開ける第4糠平トンネル。(帯広方面を望む)
この付近のみレールが敷かれたままとなっている。


向かい合わせに残るのが第5糠平トンネル。
これを過ぎれば終点の糠平駅ももうすぐだった。
なお、廃線跡歩き全般に言えることだが、使用されていないトンネルは崩落の危険性が
あるので絶対に立ち入らないように。


鉄道資料館の脇の歩行者専用道路を歩いていくと、突如として赤い鉄橋が視野に飛び込む。
レールこそ撤去されているものの、今にも向こうからディーゼルカーがやってきそうな雰囲気である。
(以上6枚は1999/ 5/ 2撮影)

追記(2001/06/18):不二川橋梁撤去
平成13年3月に撤去工事が行われたそうで、現在は橋台と橋脚のみになっています。
対岸から見える赤い鉄橋がよい風景となっていたため、非常に残念です。


糠平湖のネイチャートレイル(自然探勝路)を歩いていくと、茂みの奥から見なれたデザインの
めがね橋が現れた。糠平川橋梁である。


以前はネイチャートレイルのコースの一部として供用されていたこの橋も、現在では
大変残念なことに老朽化を理由に全面通行止めである。
何らかの処置を施し、早期の開通を期待したい。
なお、察しのいい方ならお分かりだろうが、このめがね橋を渡れない以上、
ネイチャートレイルはここで通行止めであり、もと来た道を戻ることになる。
間違ってもめがね橋を渡ったりしないこと!
誰のためでもない、あなた自身のためである。


同地点には第7糠平トンネルも残る。
当然だがこちらも通り抜けはできない。
(以上3枚は1999/ 6/27撮影)


− おまけの話 −

日本交通公社(JTB)で宿泊手配すると宿泊地の周辺案内図がもらえるのですが、
糠平温泉の案内図にはいまだに糠平湖のほとり、現在の鉄道記念館のある場所に
「糠平駅」が、そこから伸びる鉄道を示す線には「士幌線」の表示があります。
ひょっとして古い地図をそのまま使っているのかな、と思ったのですが、改版年を見ると1998年ということで、
最近作りなおしたものであることがわかります。
もう廃止から10年以上経つというのにまだJTBの案内図の中では士幌線が現役というのがちょっと滑稽であり、
また意味もなくちょっとうれしかったりもします。(笑)
尚、案内図上では糠平が終点となっており、先に休止線となっていた糠平−十勝三股間については
記載がありませんでした。

この案内図、十勝周辺(十勝川温泉、然別湖、糠平温泉など)の宿泊手配をすればもらえると思いますので
興味のある方はどーぞ。

※1998年8月現在の情報です。


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