98年3月 こんな言葉がありました
言葉は温かい、言葉は辛い、そして言葉はやるせない
特に断りがない場合は、朝日新聞から引用しています
この一週間の世界を振り返ります。どんな言葉があったのでしょう
引用時のミスには気を付けているつもりですが、何かありましたらメールでご指摘ください
♀、♂、NEWS
マーク付けました
ついに一周年。手抜きの一年だったと白状します。お許し下さい
最近の言葉 (3/28)
♀ 「ステキに年をとるためには、あきらめない自分と、受け入れ許す自分とを同時に持つことが大切だと思います」
- 「外見的なことを言うなら、絶対あきらめたらだめ。そうしたらずるずるいっちゃうから。かといって若さにしがみつくのもだめ。年齢を受け入れる。年を重ねてきた自分もまた受け入れる、その上でちょっとだけステップアップをはかる」に続いて
- 六十歳になったらフラメンコのリサイタルを開きたいと現在修行中「まだ時間があるので表面を飾るより、時間をかけて土台を固めたいと考えています」と語り
- 「大人は自由でかっこよく見えた。それに『いい女』の条件は、まず大人であることだと考えていましたから。今は『若さ』への妙な信仰みたいなものがあって、子供でいたい、若く見られたい人が多いでしょう。若いことは必ずしもいいことではないと思うし『若い』と言われて腹のたつことだってあるはずだし。どこかおかしいないという気がします」と語った
♂ 「つくり手がクリエーティブなら、聴き手はイマジネーティブでないと。両者の関係は対等だと思います」
- ジャズ専門紙「スイングジャーナル」の元編集長、 中山康樹さん(45)の言葉
- 「いちばん熱心に音楽を聴いていたころ」を振り返った自伝的小説『スイングジャーナル青春録大阪編』の作者
- 89年に退社し『マイルス・ディビス自叙伝』を翻訳、海賊版を含めた前作品を解説した『マイルスを聴け!!』などを出す
- 「最近の音楽は日常化し、どんどん消費されていく。その対極にあるのが彼の音楽です」
♂ 「僕は不運かもしれないが、不幸じゃなかった。幸せはみんな違う。人と比べるのはやめないか。そこから差別が生まれると思う」
- 高知市役所の係長で「人権」を歌う島村一夫さん(48)の言葉
- 「仕事はちゃんとしたいから」と土、日曜にワゴン車に楽器や音響機器を積んでコンサートに出かける
- 「僕は親に抱きしめられた記憶がない。自分の子どもはギュウギュウ抱きしめて育てた。もっと触って暮らそう」と語る
♀ 「亡くなってから、また夫を愛し始めているのよ」
- 2月13日に死去したフランス文学者・白井健三郎さん(80)の妻、シャンソン歌手・小海智子さんの言葉
- 昨年12月23日、夫の呼吸が急に止ったとき死を強烈に意識してかかれた最初で最後の恋文「智子よわたしたちの賛歌は愛と革命の賛歌だった健三郎」をもらう
- 「学者の彼にとって、私との結婚そのものが革命だった」結婚は12年後だった
- 「夜の12時過ぎ、夫の自転車のあかりが見えてくると、ほっとして…」公演を終えた妻を自転車で駅に迎えに来るのが夫の常だった
- 死の翌日、智子さんは舞台に立った。楽屋で悲しみにくれていると「甘ったれるな。歌いなさい」という声が聞こえたような気がした
(3/21)
♀ 「アリみたいに懸命に生きたい。目標は何でもこなす美空ひばりさん」
- 歌手生活24年、国際的に活躍する韓国人歌手 キム・ヨンジャさん(39)の言葉
- 24年のうち半分以上を故郷韓国を離れて暮らし、紅白歌合戦にも二回出場した
- 「私もわからない。世界中に日本人とコリアンがいて、私を待っているし、私も今では国籍なんかどうでもいい。ただ歌えれば」
♂ 「このこともあって、いま、とにかくひとを傷つけたくない、ひとの心には鈍感でいたくない、という気持ちが誰よりも強いのだと思います」
- 神奈川県座間市の私立保育園に勤める保夫・近藤雅則さん(40)の手記「天使たちの贈り物」より
- 脳性まひにより手足が不自由な彼が「座間子供の家保育園」で働きはじめてから13年が過ぎた
- 子供たちと向き合うことで「障害は、人と違った個性として、神様が用意してくれたのかもしれない」と感じた思いを手記にまとめた
- 養護学校時代、顔が角張りスポーツ刈りの頭がでこぼこでフランケンシュタインに似ていることから友人につけられたあだ名、「フランケン」と自分を呼ぶ
- 高等部での食事指導で飲み物をほ乳びんで飲む練習をさせられ
- 「いまでもはっきりとおぼえています。(ストローで飲めるのに)ほ乳びんで飲むことを強制するという心ない行為にズタズタに引き裂かれた、フランケンの心があったのです」に続いて
- 手足がふにゃふにゃしているフランケンを園児たちには「コンニャク先生」と呼ぶ
- 「子どもたちが自分の姿を不思議に思い、興味を持つからこそ、その心にもぐりこめる。よしよし、きょうもウケてる、と思う」と話す
♀ 「どんなタイプの女優でありたいとか、目指している人というのがないんですね。チャンスがあれば、ありとあらゆるドアを開けてみたいと思ってる。私はどこまでやるんでしょうか(笑)」
- 女優として「天使の涙」で香港アカデミーの最優秀助演女優賞を受け、歌手としてヒット曲を次々に飛ばす
- 祖父はイギリス人、留学してイタリアとイギリスで学びフランス語、イタリア語をはじめ五ヶ国語を自在に操る
- 「アジア人は、アジア人なりに特殊かもしれないけれど、人間の営みはみんなどこか似ているともいえる。その日常のかせをはずしてくれる力、本物のエンターテインメントは世界に届くと思う」と語り
- 「グローバルな視野と、野心はいつも携帯して、考え込むより行動するわ(笑)」と笑った
♂ 「出来ることを『出来る』とうけ合い、出来ないことを『出来ない』と断る。至極当たり前のことだが、これはなかなか大変である」
- 18日、亡くなった新幹線の生みの親・島秀雄さんの自著「新幹線そして宇宙開発」より
♂ 「季節を表す言葉は、詩人や俳人が作ったものじゃなくて、農民や漁師たちの生活の中から生まれた。だからいい言葉として残っているんだと思います」
- 朝日新聞の金曜夕刊コラム「お天気衛星」の連載を終えた倉嶋厚さん(74)の言葉
- 1964年から始めた「週末の天気」を含めて34年間、毎週一回日本の四季について書き続けた
- 気象庁を退官した後NHKで気象キャスターを勤め、ここ数年は著作に専念していた
- 一番好きな季節は5月「いきいきと活力に満ちて、人生なら青春から壮年に向かうころ。一日なら午前十時という気がする」
- 「でも、実は落ち葉の季節でもあるんです。クスやカシのような常緑樹は若葉をつけるのと一緒に古い葉を落とす」と語った
(3/14)
♂ 「いろいろと…考えました…ねえ…」
- 通算十七枚目のアルバム「九段」を完成させたシンガーソングライター・井上陽水さん(49)の言葉
- 「ミャンマーに行ったら、空港にもホテルにも軍人の写真が並んでいて、こんなことでいいのかなって思った。ヤンゴンの貧困の様子も、ホテルに戻って肉を食べるのを控えてしまうくらいの強い印象がありました」に続いて
- 新作にはミャンマーのアウン・サン・スー・チンさんを思いながら作った『ロングインタビュー』も収められている
- 「人の前で歌って気持ちがいいというのが本当。スタジオのマイクの前で歌うのはしょせんウソなんです。で、今回のアルバムでは徹底してウソをつき倒してみました」と語った
♂ 「事故がなければ? 今はそんなことは気にしていない。イッツ・マイ・ライフ。これが僕の人生だよ」
- 長野パラリンピック距離スキー10キロで銅メダルのハインツ・フライ選手(40)の言葉
- 車椅子マラソンの王者として君臨し、昨年九月にはベルリンで新しい世界記録1時間21分39秒を出した
- 夏のパラリンピックの覇者は「取れるとは思わなかった」と、冬の長野でも輝いた
- 陸上選手として誰よりも速く走りたかった。山岳地帯を走るレース中滑落し下半身不随になったのが20歳の時
- 製図の仕事には7ヶ月で戻った。車椅子のトレーニングは2年後だった
- 「うちひしがれていたが、ある時、すべてを受け入れて、踏み出そうと思った。そして、何よりもスポーツが好きだったことを思い出した」
- 「いま私は、本当に幸せだ。メダルは家族にささげる」と語った
♀ 「若いころの私は歌う機械でした。男とか女とか意識することもあまりなかった。でも年齢を重ね、経験も積んで、作りごとでない道浦さんの生きた言葉が、同じ女性としてよく分かりました」
- 歌人・道浦母都子(みちうらもとこ)の作詞による「邪宗門」を歌う歌手・都はるみさん(50)の言葉
- 「五十代を迎えても四十代と同様に守りに入らず、歌屋の道を突進していきたい」と続く
- 二年前、同い年の二人が出会いこの歌が生まれた。短歌七首を織り込んだ約八分に及ぶ絶唱
- 「抑圧の中を貫く愛、女性は人を愛している時に一番輝いているということを書きたかった」とは道浦さんの言葉
♂ 「そろそろ自分の年格好を考えて、ちゃんと引退してください」
- 東芝の利益供与事件の裁判で菊池勇義被告(75)への正木道夫裁判官のお願い
- 被告は総会屋活動を三十年余続けてきた。懲役六月執行猶予三年が言い渡された
- 「総会屋活動は二度としないと約束して下さいよ」との語り掛けに
- 被告は低い声で「はい」と答えて、杖をつきながら法廷を後にした
NEWS 「(内需拡大要求に)快く応じるが、手をこまぬいて何もしない人」
- 22日、米ニューヨークタイムズ紙は橋本龍太郎首相をこう評した
NEWS 「橋本首相は97年の増税が誤りであったと認めるか、主要七カ国(G7)の他の国から無能な人とみなされるか、どちらが自分をより傷つけるかじっくり考える必要がある」
♂ 「自動車のビジネスは『築城三年落城一日』だ」
- 10日、1988年の上場以来初の赤字決算を発表した三菱自動車工業の河添克彦社長の言葉
- 90年前半はレジャー用車(RV)で業績は順調だった
- 「今の市場は商品戦略の感覚がちょっとゆるむと、食い荒らされる」と戦略のミスから大幅な経営建て直しを迫られている
- 今期過去最高益を記録する本田技研工業は逆に93年までは不振を極めていた
(3/7)
♂ 「それでもなお、極刑をもって臨むということには躊躇を感ぜざるを得ない」
- 2日、東京地裁で開かれたオウム真理教元幹部・林郁夫被告(51)に対する論告求刑より
- この日地下鉄サリン事件の実行犯として無期懲役が求刑された
- 同被告が地下鉄サリン事件と共に起訴されている監禁致死事件の被害者、仮谷清志さんの長男実さん(38)は『この恨み、憎しみ、憤り、悔しさを、私たちは生涯忘れることはできない。かなうならば、犯人たちに父と同じ恐怖と苦痛を味わわせたい。犯人を殺しても、父は戻らない』
- 『憎しみだけでは生きていけない。私たちは明日を生きていかなければならない。だから、今を、そして明日をいつも楽しいものにしようと行動している』と弁護士を通じてコメントした
♀ 「骨つぼを抱いて、腹を立ててたたいては泣き、なでては泣いた。深い暗い穴の中に入ったような気がした」
- 伊丹十三の死後二ヶ月、4月から始まるドラマの制作発表で女優・宮本信子さん(52)の言葉
- 「暮れは身も心もバラバラになり、一生分泣いた」に続いて
- 「それを現実に戻してくれたのはこの仕事。女優の仕事で乗りきらないといけない。伊丹もそう望んでいると思う」とも語った
♂ 「森を守るために、悪党と戦わなくちゃならないからね。日本人になったよ。今は刑務所に入る権利もあるよ。学校もつくった。政治家にもなれる。けどいやだね」
- この10年間で長野・黒姫に四万五千坪の森を買った作家・C・W・ニコルさんの言葉
- 「オリンピックで道路がいっぱい出来て、トラックが毎日毒を森に捨てに来るよ。医療廃棄物、電池ね。ダイオキシン、PCB…水源地だから恐ろしい」と続き
- 「役人は知らんぷりよ。日本は世界でも珍しい自殺国。自分の手で自分の国を殺している」と
- 故郷ウェールズでは「本を木に変えた男」と言われている
♂ 「当社を除けば、こんなに危険で影響力のある実業家にはだれも文句は言えない」
- マイクロソフトの商法の是非をめぐる公聴会でサン・マイクロシステムズのスコット・マクニーリー会長の言葉
- 実業家とはもちろんマイクロソフト社のビル・ゲイツ氏のこと。反トラスト法(独占禁止法)違反で米司法省から提訴されている
- マイクロソフトと取引関係の無いほぼ唯一のコンピュータメーカーがサン・マイクロシステムズと言われている
♂ 「しょせん、テレビゲームやクイズが得意な人と変わらないのに『キャリアは人格も能力も優れている』という幻想が強かった」
- 「中央官庁のキャリアは大学入試や国家公務員試験の成績がよかった人間だ」に続いて
- 「その意識が、今回の汚職事件を育てる土壌になった」と続く
♀ 「父親がだれかや、妊娠した方法についてはしゃべらない」
- 米人気女優のジョディ・フォスターさん(35)の言葉
- 5日、妊娠し出産予定は9月であることが明らかになった
- 『妊娠するための方法が複数あるとは知らなかった』(憂鬱のK)
♂ 「コンセンサスなんて無意味だと、若くして教わった」
- 第23回木村伊兵衛写真賞を受賞した編集者・都築響一さん(42)の言葉
- 大学時代のアルバイトが縁で、フリーの立場で十年いた出版社では一度も編集会議がなかった
- 企画、撮影、編集を全て一人でやるスタイルを確立。週刊SPAの連載約150回分をまとめた「ROADSIDE
JAPAN珍日本紀行」での受賞
- 「俺がやらなきゃだれが、と始めるんですけど、すぐ熱中しちゃう。自然と分厚い本に結実するんです」
♂ 「妻であり、親友であり、子供たちの母親である女性」
- 松本サリン事件の被害者として証言した事件の第一通報者・河野義行さん(48)の言葉
- 同じ被害者の妻澄子さん(50)は一昨年一月中旬「症状が固定した、つまりもう治らない状態」になり重症心身障害者の養護施設に移った
- 「妻は私によって支えられているが、私も妻に支えられている。長生きして、出来れば治って欲しい」と語った