一般的に医師側は抗酸化ビタミンに否定的です。
しかし、アメリカの栄養学者は肯定的です。
専門家でも立場で意見が分かれます。
実地医家で単純な結論は不可能ですが、現在の事情をまとめます。
正確なダブルブラインドがあり、レベル1と私が思うもの。(科学的に確実と思われるもの)
アメリカで加齢黄班変性を約20%減少させ、失明を予防したもの。
Vitamin ACEと亜鉛・銅のmix
アメリカで食品中に葉酸を添加したところ、脊椎管閉鎖不全の新生児が10分の1に低下した。
注記 脊椎管閉鎖不全
日本では1万人に6人(年間673人)がこの先天異常をもって生まれる。 無脳症、二分脊椎、脳瘤、水頭症などさまざまだが、二分脊椎(脊柱の構造の部分的欠陥で、髄膜と脊椎の奇形を伴うもの等)が半数を占め、増加傾向にある。一生車椅子の生活となることが多い。妊娠可能年齢の若い女性は0.4mg/dayは、サプリメントで摂取すべきと河合 医院は考えます。
その他は科学的証明が不十分です。
ビタミンE論争
医師側の言い分
Annals of internal medicine 2005年1月
ジョンズホプキンスのMiller 135967人分メタアナリシス
そのうち19研究でVE400単位以上投与
11研究で約10%死亡率上昇。
結論は1日400単位以上のVEは投与すべきでない。
アメリカ栄養評議会の反論
高齢者が多く含まれる。
マルチビタミンとして投与されているのでVE単独の結論を出すのは危険。
推進すべき。
孫引きで原著が解らないのですが、
Lee 1923名糖尿病女性 閉経後
VitaminC 300mg/day以上で血管障害のリスク上昇。
2004年Am J Med フィンランド VitaminCで心血管障害が減少
とまったく相反するデータ。
一日200mg以上摂取ではプロオキシダント作用が出現し、抗酸化能力を失うという実験あり。
ビタミンCでさえ、過剰摂取は容認できないかもしれません。
VitaminA 多くても少なくても大腿骨折は増加するというデータ等。
ベータカロチン
喫煙者の肺癌が増加したのは有名。
葉酸
N Eng J Med2004年6月24日
冠動脈ステント後
投与群では再狭窄が増加した。(血管が詰まった)
ただし、はじめに述べたように胎児の奇形が防止できます。
エビデンスも種々あり、
単純にすすめるわけにはいかないようです。
健康群で良いと言うデータを栄養学者が出してきますが、
サプリメントに積極的な人は健康に関心があるというバイアスが
あります。
イソフラボン
サプリメントで摂取すると、避妊用ピルの半量程度の女性ホルモン作用があります。前立腺癌予防にはいいかもしれませんが、不妊化するかもしれませんし、ホルモンを体外から摂取して安全だとは言い切れません。食品からの摂取は容認できますが、高濃度のサプリメントは問題があるでしょう。(証明はまだありません)。
そういえば、内分泌撹乱物質で人類は滅亡すると言った、愚かな東大教授もいましたが・・・。非科学的思考です。
科学的論証に耐える、ダブルブラインドのデータが少なすぎるのです。これからも検討していかなくてはなりません。
しかし、何でもサプリメントは摂ればよいという、一部バカ報道番組に従うわけにはいきません。
食品から、バランスよく摂るのが重要です。
どうしてもサプリメントが必要な人があるとしても、推奨量の3分の1程度でもよいのではないのでしょうか。過剰摂取も怖いものです。
「抗酸化だからよい」など、バカ情報番組に惑わされてはいけません。
薬品の効果が否定され、科学的根拠がまったく無いもの
Q10
追加
鉄分強化食品が見受けられます。肝炎・肝硬変は鉄分過剰で病気が進行します。危険です。10代から20代の生理で鉄が不足しがちな女子には良いでしょうが、過剰も危険です。貧血かどうか確認の必要があります。10代女子でも肝障害が無いとは言い切れません。
2005.10.1
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河合 医院
初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹