07-Dec-97 登場 今年もクリマルの季節がやってきた。「クリマル」って何かって? 拙著「96年クリマル記録」の冒頭(→後日「まえがき」として分離)に書いたので、もしまだご覧でなければ一読ください。
◆ Advent第1週 ・11月29日(土) ベルンカステル、ルクセンブルク、トリアー ・11月30日(日) フランクフルト ◆ Advent第2週 ・12月 6日(土) ダイデスハイム、シュパイヤー ・12月 7日(日) ハーナウ ・12月10日(水) グルノーブル(番外編) ◆ Advent第3週 ・12月12日(金) アルスフェルト、ハン=ミュンデン、ゲッティンゲン ・12月13日(土) フレンスブルク、コルディング、キール
・12月14日(日) キール(続)、リューベック、シュヴァルツェンベーク、 ・12月15日(月) ブレーメン、ツェレ、ゴスラー ◆ Advent第4週 ・12月20日(土) マンハイム、カールスルーエ ・12月21日(日) ベルン、バーゼル、フライブルク ◆ クリスマス本番 ・12月24日(水) ミュンヒェン ◆ おまけ (15-Jan-98 追記) ・1月13日(火) ローマ
事情により今週は「週末一泊旅行」が出来ないので、近場でありながらまだクリマル時期に行ったことのない場所はと考え、ブドウチェックと合わせてモーゼル渓谷へ向かうことに。 【ベルンカステル】 Bernkastel 中部モーゼル、ヴェーレン(Wehlen)村の「日時計」(Sonnenuhr)という名のブドウ畑界隈を簡単にチェックしたのち、この地域の観光の中心地でもあるベルンカステル(Bernkastel)の街へ。旧市街側(東岸側)の国道の一角が臨時閉鎖になっていることから、クリマル開催中であることがただちに分かる。 臨時ホコ天の国道沿いには小さなメリーゴーランドが一つと、食べ物類の屋台が数軒。すぐそばの教会脇の路地にも屋台が並ぶ。この路地を抜けた所の市庁舎前広場にも屋台が数軒。ここの市庁舎前広場は地理的制約(旧市街は谷間の狭いところに発達した)もあって、よくあるような「市庁舎前広場の大クリマル」という訳にもいかない。 グリューヴァイン専門の屋台は一軒のみ。教会脇の路地の奥にある。看板に「モーゼルの....」とか書いてあったような気がするが....ここのグリューヴァイン、白ワインベースのもののみ。白い(透明な)グリューヴァインというのは他でも見ることもあるが、少数派である。カップは絵と地名入りの典型的なやつで、当然のごとく持ち帰る。1個3マルクだから最高に安上がりの記念品だ。 もう一軒、Feuerzangenbowleという、似て非なる飲み物の屋台がある。強いて直訳すれば「炎のヤットコのお椀」か。どんな物かと言うと、グリューヴァイン風(ここのは赤)飲み物に、カップの上にスプーンを渡し、小さ目の角砂糖を2個置いて上から蒸留酒(ラム酒か、あるいはWeinbrandという安ブランデー)をたっぷりかけて、火を点して数十秒置くというもの。適当な所で角砂糖を中に落としてかき混ぜて、「ハイ、出来上がり!」となる。「シュナップス(ドイツ語:スピリッツ類の総称)入りグリューヴァイン」というのもよく見かけるが、それと似たような感じの飲みののである。クリマルで冷えた体を暖めるには有効かもしれないが....僕は普通のグリューヴァインの方が好みである。話を元に戻すと、この屋台では先程のグリューヴァインの店とは違う絵・地名入りカップを使っていたので、止むを得ず(?)一杯買って飲み、カップを持ち帰る。 それなりに注意して見て回ったつもりだが、クリッペは見当たらず。(もちろん、小さなやつはお店で売っている。ここで言っているのは、クリマル会場が設置する、売り物ではない大きなクリッペのこと。クリッペについても必要ならば前拙著をご覧ください。) 【ルクセンブルク】 Luxembourg さてこの後はトリアーへ向かうつもりであったが、悪い癖が出て、トリアーよりちょっと先(車で30分程)のルクセンブルクまで行ってみることに。あそこの雰囲気は完全にフランス語圏なので「きっとクリマルはないだろう」とは思っていたが、やはりこの目で確認せねば。 予想通りここにはクリマルは無かったが、市庁舎前広場には小さな仮設のスケートリンクが出ていて、その脇には焼きソーセージやグリューヴァインを売る仮設スタンドが出ている。しかも「GLUEHWEIN」と、ドイツ語看板である。もっとドイツ語が通じるアルザスの地でも看板は大抵Vin chaudとフランス語で書いてあるのに。もしかしたら、ドイツ文化も混じったアルザスでは地元の人もこれを飲むのでフランス語で書かれるが、ここルクセンブルクでこれを飲むのはドイツから来る観光客だけだからドイツ語表記なのだろうか、と何の根拠もなく勘ぐったりする。 ついでにこの広場の地下は公営駐車場になっているが、料金支払い機は地元通貨ルクセンブルクフラン(ルクセンブルク内ではベルギーフランと限りなく互換性がある)の他、ベルギーフラン、ドイツマルク、フレンチフランの各国通貨で支払いができる。但しお釣はすべてルクセンブルクフラン(硬貨は自家発行せずにベルギーフランを使用)で来る。 も一つついでに脱線すると、この手の多通貨による駐車場料金支払い機はスイスのバーゼル(独・仏との国境に隣接)、オーストリアのザルツブルク(ドイツ国境からすぐ)にもあったが、これらではお釣も支払った通貨で出てきたように思う。(機械がそもそも通貨別だたかもしれない。) 【トリアー】 Trier ルクセンブルクにはクリマルが無いことを確認した後は、本日の主目的地であるトリアーへ向かう。他の時期には何度も来たことがある街だ。さすがにこの地方の中心都市だけあって、クリマルも立派だ。グリューヴァインの店も何軒もあり、結構まちまちなカップを使っている。全部集めるのはとても無理(というより、飲むのが無理)と判断し、2種類のカップを入手、持ち帰る。 ここのクリマルでは、会場の中心に結構立派なクリッペが出ているが、これがみな電気・機械仕掛けでちょっとずつ動く人形である。ごく単純な動きではあるが。ドイツに在住もしくはこの時期にドイツの都会を訪れたことのある方なら、「カウフホーフ・デパートのクリスマス時期のショウウインドウの、動くテディベア群」をご存知か。ここトリアーの「動くクリッペ」は、かの「カウフホーフのテディベア群」を彷彿させるというか、雰囲気はそっくりである。 ここのクリマル、時間が時間なこともあって(夕方7時過ぎ)、物を売る店は全般に空いていて、グリューヴァイン屋の前だけがやたら賑わっている。どちらかといえば大半は若い人達で、グリューヴァイン片手にぎっちり立ち尽くし、とめどもなくおしゃべりに興じている。この雰囲気は、他の季節のパブ・クナイベの類の雰囲気に共通する。どうやらその場所が変っただけということらしい。本日のクリマル巡りはこれにて終了。 【フランクフルト】 Frankfurt am Main 昼間いつもとはちょっと違う目的で(この話は「ブドウ日記」で紹介)ラインガウ方面へ出かけた帰りに、我が街フランクフルトのクリマルの様子を覗く。当地へ来て2年目以降のアドヴェント期間は、週末は仕事で潰れない限りは他所へ出かけることが多かったが、それでも毎年何度かは地元フランクフルトのクリマルは訪れている。 今日はクリマルが始まって最初の週末ということもあってか、一段とすごい人出。当市のクリマルの開かれるレーマー広場(市庁舎前広場の固有名詞)は結構大きな広場だが、そこへ通じる4本の路地はどれも狭い。よって、この路地のところがクリマルに向かう人と帰って来る人がぶつかり合ってカオス状態となる。日本のお正月の著名な神社の初詣風景に通じるものがある。 街によってはクリマルの屋台が規格化されていて整然と碁盤の目状にならぶ所もいくつかある(有名なニュールンベルクもその一つ)が、ここフランクフルトのは正反対で、いろんな形・大きさの仮設店舗が雑然と立つ。僕の趣味としてはこの方が好きだ。もっとも、レーマー広場がメイン会場だとしたら、サブ会場とでもいうべき北隣のパウルス広場の方は、結構規格化された屋台が碁盤目状に並ぶ。 また、大都市になると市内の何個所かにクリマルが出る場合もあるが、フランクフルトの場合は僕の知る限りではここだけである。このように分散しないこともあってか、ここのクリマルの規模はかなり立派な方だと思う。正直に言ってフランクフルトの街自体はあまり好きではないが、ここのクリマルはかなり好みの部類である。もちろん、会場の中心付近になかなか立派なクリッペもある。 かれこれ5シーズンに渡ってこの街のクリマルを眺めているが、目に付くような大手の屋台や乗り物類の出る場所は大体決まっているようだ。少なくとも記憶に残るような屋台が「あれっ、今年はこんな所に出ている!」なんていうような事はこれまで無かった。一方、クリッペは去年までは確か広場の中心の泉に並んで市庁舎の方を向いて設置されていたが、今年は市庁舎建物のすぐ前に、逆に広場の泉の方を向いて設置されている。また、市庁舎正面玄関脇の大クリスマスツリーのか飾りの電球は、少なくとも今年のは去年までのとは明らかに違うようだ。(僕の記憶が正しければ、だが。) ここでもグリューヴァインのカップの新しいデザインの物も見かけるが、腹一杯飲み食いしてきた帰りなので、グリューヴァインも見送る。そのうち入手せねば。
【ダイデスハイム】 Deidesheim この街のクリマルも結構立派らしいとの話を最近聞いたが、今日ここを訪れることにした一番の理由は気になっていたプファルツのブドウチェックと一纏めにするのに丁度良い場所だったから。ところが街に来てみれば、街中の街道は一般車通行止めになっており、駅裏の駐車場は満車で、その上観光バスも10台かそこら並んでいる。どうやらこの地方では有数のクリマルだということらしい。 夏のワイン祭りの時に交通を締め出して祭りの会場(と言っても、飲食の仮設店舗が並ぶだけ)となるのと同じ部分が、そのままそっくりクリマル会場となる。但し今度は飲食関係は半分かそれ以下で、他はクリスマスグッズを中心とする物品販売の屋台である。並ぶ屋台の小屋はおおむね規格化されているが、ここが一風変わっているのは奥行きが深く、客が中まで入っていくようになっている小屋が多いことか。屋台の軒先には、屋号と本来の店の所在地と電話番号の書かれた札が下がっているが、これを見ると半数以上はダイデスハイム以外の街の店の出店であることがわかる。一番多いのは数キロ南にある中都市、ノイシュタット=アン=デア=ヴァインシュトラーセ(Neustadt an der Weinstrasse)からのものである。 かつて「ブドウ日記」で書いたように、この地方のワイン祭りでは0.5リットルの大型コップでワインをがぶ飲みする習慣がある。ではグリューヴァインもそうなのか、ということも気になっていたが、行ってみたら何と!! さすがに大多数の人達は普通の0.2もしくは0.25リットルのカップでグリューヴァインを飲んでいるが、屋台の値段表には「0.5リットル」というのも出ていて、棚には特大カップも並んでいる。良く見ると、これでグリューヴァインを飲んでいる人もちらほら見掛ける。我々はカップのデザインの異なる「普通サイズ」を延べ2杯飲み、当然のごとく持ち帰る。 もう一つ「ご当地もの」で嬉しかったのは、焼きソーセージ等を売る食べ物屋台で、名物の「ザウマーゲン」が食べられること。この何とも田舎的食べ物が、たいそう好みなのだ。 (ザウマーゲンについても、この夏のブドウ日記をご覧あれ。) さてもう一つのチェック項目であるクリッペは如何に。会場の通りの中程に明らかにクリッペ展示用と思しき小屋があるのだが、中には羊飼いらしき人物の人形が3体あるだけで、聖家族もヒツジもウシもいない。もっと「本番」が近づくと「主人公」も登場するのだろうか??? なおここのクリマル、ポスターによるとアドヴェント期間中の各週の金・土・日だけやっているとのこと。都市部以外ではよくあるパターンだが、ここの場合は田舎なのに大規模で、客の方も「ヨソ者観光客」が多いだろうから、この設定は妥当であろう。休暇を取って見物に行こうと思う方はご注意。 【シュパイヤー】 Speyer このところクリマル巡りに入れ込んでいる我が家としては、折角遠出をしておいて一個所しか回らないのは勿体無くてならない。(何たる典型的日本人観光スタイル!) とは言え、結構いい時間になってしまったので、田舎の小さな街の「良い子のクリマル」だと閉まっているかもしれない。と言う訳で、車で30分程のところのシュパイヤー(Speyer)へ向かう。数年前に「建都2000年」を祝ったこの街、由来はローマ軍の北方進攻の時分に遡る。 かくも歴史の古い街らしいが、旧市街の端にあるドームや市門跡を除くと、街中の様子は18世紀以降風である。とりわけ街の中心を貫く広い通りは、どう見ても中世の街の造りではない。そして、この大通の一部を囲った場所がクリマル会場になっている。雰囲気はごくごく普通の地方都市のクリマルといったところか。 グリューヴァインを扱う屋台はざっと見ただけでも5〜6軒以上あり、それぞれがまた違ったデザインのカップを使っている。(同じ物を使う店も無いことはないが。) 中には一軒で数種類のカップを使っているところもある。そういう状況なので「全種類制覇」は不可能なので、とりわけ気に入ったデザイン(ドームの正面の絵が描かれたもの等)の物を選んで、2種類持ち帰る。なおこのカップ、グリューヴァインを飲まずに空のカップだけ買うこともできる。 クリッペは? ....無かったみたい。 【ハーナウ】 Hanau 夕方まで所用があったので、「近場」ということでここへ。 いきなりだが....ここのゴリューヴァインのカップには「ブレーメンの音楽隊の像」の絵がかかれている。絵の脇には「Bremer Stadt Musikanten Weihnachtsmarkt」なんて文字も見える。一瞬、ブレーメンのクリマルのやつを拝借したのかと思ったが、ちゃんとここハーナウの固有のものらしい。実は「Bremer Stadt Musikanten Weihnachtsmarkt」というのが、ここハーナウのクリマルの「正式名称」なのだ。 日本の方々にはちょっとピンと来ないかもしれないが、大学の名前のことを思い浮かべるとわかり易かろう。例えばフランクフルトにある大学は、場合によっては「フランクフルト大学」と呼ばれることもあるが、正式名称は「ヨハン=ヴォルフガンク=ゲーテ大学」である。当市が生んだ有名な詩人兼政治家の名前にちなんで名づけられた。
ハーナウではクリマルにも「正式名称」があり、当地にゆかりのグリム兄弟の著作からその名称を戴いた、というわけだ。なんで「正式名称」が分かるかというと、ポスターや横断幕にその通り書かれているから。ただ、クリマル名称としてはこういうのは例外の部類であって、殆どは単に都市の名前をそのまま使ってた「Frankfurter Weihnachtsmarkt」(フランクフルトのクリスマス市)とか「Muenchener Christkindlmarkt」(ミュンヒェンの幼子キリストの市)とかいうのが「正式名称」となっている。 【グルノーブル】 Grenoble 仕事で、夜遅くこの街についた。明日は夕方まで客先訪問で、夜のヒコーキでFRAへ戻るので観光の時間は全くない。 しかしながら、なんとも偶然、この街にもクリマルがあることを確認した。遅い夕食の為にホテルから車で出かけたとき、車窓より「紛れも無いクリマル」を見た。僕が驚いて唖然としていたら、脇に居たフランス人同僚が言った。「クリスマスマーケットだよ。ドイツではお馴染みの。」
僕: 「あれって、フランスじゃアルザス以外には無い物だと思ってた。」
今年は結局まとまった(1週間単位の)休暇を一度も取らなかった(取れなかった)。せめて「長い週末」をということで、金曜日と月曜日の2日間休暇を取って4連休とする。日本のサラリーマンから見ると優雅なように聞こえるかも知れないが、当地のサラリーマンには年末年始、ゴールデンウィーク、夏休み等の一斉長期休日は全く存在しないことをご理解ください。....なんていう話は「駐在員の独り言」のコーナーに書くべき話だった。 さて、昨夜は遅くまで(というより、本日早朝まで)家で仕事をしていたし、今日の午前中もそのフォローで潰れたため、出発は昼過ぎとなる。 【アルスフェルト】 Alsfeld 小さな街だが、木組みの家が並ぶこととグリム兄弟ゆかりの地の一つとして有名らしく、「地球の歩き方」にも出ている。我が家にとっては2年ほど前に次いで2回目の訪問。クリマル時期は初めて。 ポスターによると、クリマルは12月12日(本日!)から12月21日までの10日間、週末2回分だけの開催とのこと。もし知らずに昨日以前に来ていたらガックリするところであった。きっと日頃の行いが良かったのだろう。 旧市街の中心には小さいながら華麗な木組み建築の旧市庁舎があり、例に違わずその前が広場になっていて、これまた例に違わずクリマル会場になっている。出店の数は20軒足かそこらで、規模こそ小さいが、雰囲気は「正しい伝統的クリマル」と言えようか。肉屋の出店のソーセージこそあるが、都会のクリマルで巾を効かせている「大規模飲み食い屋」のスタンドはここには無い。 その割にはグリューヴァインを扱う出店は多く、カップも確認しただけでも3種類出回っている。いい加減に「全数醜集」は止めねばと思っていた所だったので1個だけで我慢する。即ち、グリューヴァインも2人で1杯だけ。今日はまだこれで終わりじゃないし。 クリッペは、小さなクリマルの割には大規模。周囲に柵がこしらえてあって、本物のロバ1頭とヒツジ数頭が「展示」されている。ちょくちょく見かけるパターンである。 肉屋の出店の品書きには、どこでもある「焼きソーセージ」の類に混じって「アルスフェルト名物、ジャガイモソーセージ」なるものも。もしかして我が家のお気に入りのザウマーゲン(これについては、ブドウ日記で2〜3回触れています)に通じるものかと思って試すと、ちょっと違う。一言で言えば、荒挽き肉に、1〜2mmの大きさに刻んだ(砕いた)ジャガイモを混ぜて腸に詰めたもの。外見は普通のソーセージと変わらないが、食べるとジャガイモに気づく。味としてはザウマーゲンに通じるものがある。(原料、加工法とも似ているのだから、味も似ていてあたりまえか....) 時間も押しているので次の街へ。 【ハン=ミュンデン】 Hann=Muenden ヤブ医者「鉄ヒゲ先生」伝説で有名とされる小さな街。僕は旅行ガイドブックで読むまで知らなかったが。ここの旧市街もまた見ごたえのある木組みの家が立ち並ぶ。我が家にとっては3回目の訪問だが、これまたクリマル時期は初めて。2回目の訪問時(95年)には例の「ヤブ医者・鉄ヒゲ先生」は往診にでも出かけたかいるべき所にいなかったが、今日はちゃんと戻っている。 この街もまた判で押したように、旧市街中心の旧市庁舎前広場がクリマル会場となっている。アルスフェルトより更に小規模。グリューヴァインのカップも、地名や当地に固有のイラスト等は全く入っていないもので、少なくとも「記念品」とは成り難い品。故に、パス。 全体としては小規模クリマルだが、その中心には「大規模飲み食い屋のスタンド」がデンと座っている。実は到着したのが19時ちょっと前で、「飲み食い屋」はまだまだやっていたが、クリスマス飾り等の物品販売の出店はほとんど閉まっていた。 クリッペらしき物は見当たらず。他にもさほど見るものもないので、「もう1都市」を狙って先を急ぐ。 【ゲッティンゲン】 Goettingen この街は「ガチョウ姫物語」で有名らしいが、童話の類にはいまいち縁がない僕は、これまた旅行ガイドブックで初めて知った。ここはまた大学町としても有名で、街の規模も全2者よりはるかに大きい。ドイツにおいては「中都市」に分類される。我が家としては以前「ちらっ」と寄り道したことがある他、僕は仕事で2日間滞在したことがある。 旧市街の交通規制と駐車場捜しに手間取り、旧市庁舎前広場(ここでも!)のクリマル会場到着は20時10分前。小都市のクリマルは19時で閉まってしまうことも少なくないが、これくらいの街なら20時まではやっているだろうとの目論見は大正解で、行ってみたら「20時30分まで」と。 「大学町」との先入観もないとは言わないが、それにしても若い人達が多いように感じる。大抵の街のクリマルとは明らかに客の年齢層が違う感じだ。もっとも、普段は土・日以外にはまずクリマルに行く機会がないのに対し、今日は金曜日である。その所為かもしれない。 街の規模に比例してか、クリマルもそこそこ大規模。とは言っても、フランクフルトに比べればずっと小さい。とにかく「閉まってしまわないうちに!」ということで、グリューヴァインを1杯買って、絵入りのカップを確保。見た所、どの店も共通デザインのカップを使っている模様。以前はどの街もだいたいそうだったが、最近は一つの街で複数の種類のカップがあったりして、集める方にとっては大変だ。(そんなの、集めるなって?) クリッペは....市庁舎正面広場側会場には無かったが、裏手の教会の回りの出店に混じって、等身大人形によるクリッペあり。この人形、どうやら「デパートのマネキン人形」をそのまま使ったとみえて随分モダンな顔形をしていて、マリアとヨゼフは今風のカップル、東方の三賢王は学芸会の衣装を来た素人役者、といった感じ。唯一、羊飼いだけが時代がかった容貌である。 結局、以前仕事で泊ったホテルに駆け込む。もともと、ここいらの工業団地への仕事客目当てのホテルなので、金曜日の今日はガラガラの模様。 昨夜はちょっと意地になって「クリマル即日レポート」を書いていたら寝るのがえらい遅くなってしまい、結局昼近くまで寝てしまったので出発は昼になった。 【フレンスブルク】 Flensburg (ドイツ) ドイツ北端、デンマークとの国境の直前の街。ここへ行った経緯は後述。着いたのはすでに15時頃。 ここの「市街中心部」は、港と丘に挟まれた細長い部分。その南端に大きな教会があって、広場もあるが、そこにはクリマルではない普通の市が開かれていたような形跡がある。クリマルは....細長い市街中心部のホコ天商店街がその会場となっている。立ち並ぶ出店の小屋はまさに「正しいクリマル風」なのだが、広場にまとまっているのではなく商店街に沿ってパラパラと並んでいるので、ちょっと「典型的クリマル」の雰囲気とは違う。 いくつかの店では「グリューヴァイン」と言わずに「パンチ」(Punch)と表記している。「クリマルの絵と名前入りカップ」も見あたらない。とある一軒で、「フレンスブルク港湾博物館20周年」と書かれたカップを使っていた店があったので、これを飲んで記念品とする。 定番の焼きソーセージ(Bratwurst)の他、「デンマーク風ホットドッグ」を売る店が数軒あり。「デンマーク風グリューヴァイン」なる張り紙も見かけたが、見た目は普通のグリューヴァインと変わらず。「普通」を一杯飲んだ直後なので味見はパス。 そう言えば、教会の行事予定のポスターにはギリシャ文字の「φ」みたいな文字や、「a」の上に小さな丸「°」の付いた文字が書かれていたりする。デンマーク語であろう。「教会」も「Kirche」ではなく「Kerk」、「学校」も「Schule」ではなく「Skole」と書かれていたりする。この地方(今のシュレスヴィッヒ=ホルシュタイン州)、かつてはデンマークの一部だったが、ドイツが戦争でぶん取ったのだか、金で買ったのだかで、ドイツに属することになったとの話を何かで読んだことがある。 クリッペは....無いみたい。 【コルディング】 Kolding (デンマーク) 国境から北へ約80キロ、最初に出くわす「そこそこの規模の街」がここである。 何しに行ったかは、以前の「クリマル記録」を読んだ方には容易に想像がつくことと思うが、「デンマークにもクリマルがあるかどうか」の調査のため。結論は「おそらく無し」。少なくともここコルディングにはその気配すら無かった。「デンマークには無い」と断言するためにはコペンハーゲンやオーデンセのような大都会を確認する必要があるが、今回は「まだ見ぬ北ドイツ諸都市のクリマル」が主目的で、時間が足りないので断念。 【キール】 Kiel (ドイツ) ここは軍港の街として有名らしい。そのため大戦でも壊滅的にやられたのか、街の中心部には歴史的建築は少なく、モダンな(言い換えれば、味気ない)建物が並ぶ。 クリマルは、そんな街の中心部の、広い通りに沿った細長い小さな公園が会場となっている。「歴史的建築の旧市庁舎と、その前の石畳の広場」という「典型的クリマル」のお膳立てこそないが、市の中身は「正しいクリマル」である。到着が20時直前になったので閉店時刻が心配だったが、ここのは20時30分閉店だったの駆け込みセーフ。昨夜のゲティンゲンも20時30分までだった。ちなみにフランクフルトは21時まで。地方の小都市では19時くらいで終わったりすることもある。我が家では勝手にこれを「良い子のクリマル」と称している。 グリューヴァインのカップは4種類程が流通している。我々が入手した物には「1996er ....」と、昨年の年号が入っていた。中には「1992er」なんてのも見かける。 クリッペは....無いみたい。 「旅先では地元飯」との我が家の原則に従い、昨夜に続いて「正しいドイツ飯」する。う〜ん.....(無言)。
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