以下引用です。
日系人の件、すごく考えさせられました。と言うのは、同じものをキブツで、南アフリカの若者について、考えさせられることがあったのです。やはり、「郷愁と落胆」だね。南米の日系人と、全く同じパターンです。
なぜここで南アフリカが出てきたというと、何処のキブツにも南アフリカのボランティアが多いからです。が、彼らは、結局、彷徨える者なんですよね。キブツで本当に仲良くなった男の子がいて、下手な英語を駆使して色々交流したんだけれども・・。南アフリカの白人のほとんどは、アパルトヘイト超推進者なんですね。これは私は彼らを攻めることは出来ません。じっさい、白人を狙った犯罪は後を絶たず、彼らもまた、常に死や危険と背中合わせの現実に身をおいているので。でも、彼らの価値観を形成した、その歴史の恐ろしさ、怖さを、イヤと言うほど実感させられました。
彼らは、自分たちの祖先がオランダとイギリスであることにとても誇りを持っています。特に大英帝国ですね。そして、白人であるという誇りと。彼らは自国では黒人のを支配してやりたい放題です。そして、イギリスへの憧れと共にワーキングビザを取得して大方の若者はイギリスに向かうのですが。
昔からその家々で伝えられてきた故国の話を胸に、自分たちのルーツを求めに行っても、イギリスは彼らをアパルトヘイトという世界的歴史的汚点を残した者として自分たちと一緒にしようとはしない。もちろん、自分たちの国に、受け入れようとはしない。貧しい国からやってきた、出稼ぎ労働者、です。
そこで、南アフリカの若者たちは自分たちの居場所を完全に見失います。でも、南アに戻っても、結局は入植者で自分たちは部外者なのです。一種、アイデンティティの喪失、に近いのかも知れません。そして、同じアングロサクソンに生まれながらも、南アを一歩出ると「貧しい国の裸の王様」扱いで、誰も受け入れようとしてくれないその運命の悲しさを嘆く若者が多いことに気付かされました。こうして私の仲良かったゲーリーも、途中から元気が無くなってしまって、立ち直るのに一ヶ月を要しました。
他に仲の良い、サウスアフリカのボランティアは、ジョーンとランディの姉弟。キブツを終えた今、二人はロンドンにて出稼ぎに行っています。二人の父親は大学の教授で、家で乗っている車はベンツです。今でも二人とはメールでやりとりしていますが、お姉さんのランディの方は、ストレートには言ってくれないけれど、ロンドンに対してもの凄い幻滅を感じているようです。常にサウスアフリカに帰りたがっている。ロンドンに到着したときは散々はしゃいでいたのに・・・。今まさに、壁にぶつかっているのです。「ロンドンに、いるだけ恥ずかしい」とさえ思い始めている。私は、どう声をかけてあげて良いのか、悩むところです。一つだけ言えるのは、国でも何でもない、「自分」と言うアイデンティティに自信を持て、国じゃない、私達は「地球人」だ、と言うことくらい。難しいよね、本当に。