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酒は飲め飲め飲むならば



日の本いちのこの槍を〜〜というのは日本の酒飲みの基本です。普通日本の飲み会では「まあまあ、よく来たね。」といってビールをつがれるのが常識ですね。飲み会の飲み物のデフォルトはビールです。でもこちらに来て驚きました。日系人だから日本と同じかというと同じじゃないですね。あんまりビールを飲む人がいません。最初の乾杯から黒い液体の入ったグラスがたくさん見受けられます。

そうです。コーラです。初めから終わりまでコーラの人達が多いです。初めは「なんだかなぁ、ブラジルって言ったらビールガンガン飲んで陽気に酔っぱらう国だと思ったのに。」と思ってしまいます。しかしいろいろと聞いてみると、彼らなりに大きな原因があるみたいです。

ビールを含め、酒を飲まない日系人はほとんどが二世以下の世代の人達です。逆に一世の人達はガンガン飲みますね。日本人離れしたぐらい「これでもか!」と飲みます。ただ、その酒にも理由があるそうです。決して一世の人達は口を開きませんが、二世の人達に教えてもらいました。

「うちの父ちゃんもさ、初めは日本に帰る気でいたんだけど、仕事は大変だし日本に帰れるあてはないし、そのうち苦労がたまっていったんだよね。かといって家族にはそれをうち明けられないし、まわりには憂さを晴らすところもない。結局毎晩の酒で憂さを晴らしてたんだよ。でもさ、そんなお酒飲んで明るくなるわけないだろ。飲んで酔っぱらった後は暴れたり、大声で泣き出したりするんだよ。たまに町に飲みにいってもさ、グデングデンに酔っぱらって母ちゃんに連れて帰ってもらったり、それは惨めな姿だったよ。だからさ、それ以来酒が嫌いになってさ。今でも飲まないんだ。」

彼らにとって、酒というのは「父ちゃん」に直結していて、それは自分達を含めてとても苦労した移民初期の記憶と深く結びついているようです。それが分かってきた今は、無理にはすすめません。飲みたい人は飲めばいいと思っています。

ただ、高齢になりながらも今も元気な一世達はすこしかわいそうです。大酒を一緒に飲んだ一世の友人達も次々と亡くなっていき、まわりには酒の相手をしてくれない二世以下の若い人達ばかりになってきました。日本から来た僕がたまに遊びに行くと酒飲み仲間が来たと思ってとても喜びますが、でもその喜びようを見ていると少し悲しくなってきます。彼らは誰一人頼る人がいないブラジルに来て裸一貫ですべてを築き上げ、晩年になったらなったで子供達はブラジル人化してしまい、一緒に酒を飲む相手がいないという寂しい境遇にあるように思えます。


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